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地域だより

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最終更新日:2014年7月15日

平成26年度てん菜輸入品種検定試験現地調査について

2014年7月

札幌事務所 坂上 大樹

 平成26年度てん菜輸入品種検定試験現地調査は、一般社団法人北海道てん菜協会の主催により、平成26年7月2日(水)〜3日(木)の2日間行われた。

 てん菜の優良品種の認定に当たっては、多収性で高糖分であることの他、近年、北海道では夏期に高温傾向になる年が多く、そう根病や褐斑病に罹病しやすい状態や環境にあることから、病気に強い品種への期待、ニーズも高まっている。

 このことから北海道では、優良品種の効率的な育成・増殖を図るため、国内の試験研究機関での新品種の育成と並行して、さまざまな特徴を持つ海外の品種の中から優良品種候補を選抜することを目的とした「てん菜輸入品種検定試験」が実施されている。

 その現地調査は、当該試験が実施される十勝地域とオホーツク地域の試験ほ場において、関係者間での情報交換および品種選抜を行うために必要なデータを取得するため、毎年行われている。

 なお、今回の現地調査は、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センター(以下「北農研」という)、地方独立行政法人北海道立総合研究機構十勝農業試験場、同機構北見農業試験場(以下「北見農試」という)、日本甜菜製糖株式会社(以下「日甜」という)、ホクレン農業協同組合連合会(以下「ホクレン」という)および北海道糖業株式会社(以下「北糖」という)の各試験ほ場で実施され、行政、研究機関、製糖会社などの関係者約20名が参加した。

 当事務所では、この機会を利用して、当該地域でのてん菜の生育状況(7月2日現在または3日現在)について聞き取りなどにより状況把握を行ったので、てん菜輸入品種検定試験現地調査の概要などと併せて報告する。

1 優良品種として認定されるまでの仕組み(概略)

 輸入品種が北海道の優良品種として認定されるための試験(以下「認定試験」という)は、予備試験を含めると4年以上を要する(図)。今回の現地調査の対象となった輸入品種検定試験は、認定試験の一部である。
 
 

2 現地調査後の検討会

 現地調査後に今回の調査に対する意見交換が行われた。概要は以下のとおり。

(1)十勝地域の一部の試験ほ場では、4月下旬の凍霜害の影響による補植対応によって生育にばらつきが発生し、品種の特性や能力などを判断する試験精度・結果に影響が出るのではないかと懸念された。しかし、今回の調査段階においては、おおむね生育は回復している様子。今後の各試験に支障はないと思われる。

(2)害虫(主にヨトウガ:葉の食害により根重、糖分に影響が出る)の発生が早い傾向にある。早めの防除をお願いする。

(3)褐斑病は、例年7月中旬頃に初発するので、発生状況について注意深くモニタリングすることが必要である。

3 各地域の生育状況【7月2日現在または7月3日現在】  

地域 生育状況

十勝 
地域 

  • 春先の乾燥と強風による影響で活着が遅れた。さらに4月下旬の凍霜害の発生、その後の干ばつにより5月20日時点では草丈および葉数ともに平年よりもやや遅れた生育となった。
  • 5月下旬から6月中旬は降雨に恵まれ、生育が回復し、6月20日時点では草丈および葉数ともに平年よりもやや良い。
  • 特に凍霜害を受けた個体では葉数が多い傾向にある。凍霜害により生長点に障害を受けた影響により繁茂したものと思われる。
  • 7月2日現在の生育は良好である。しかしながら、6月中旬以降は降雨が少なく、干ばつの傾向が見られる。 

オホーツク 
地域
  • 融雪は平年よりも遅かった。そのため、作業の遅れが心配されたものの4月下旬には気温が高い日が続いたことから作業開始時期には平年との差はない。
  • 直播の一部の個体では5月中旬の大雨により生育不良の症状が見られた。
  • 移植の個体は、移植前後に断続的な降雨があったことから活着が順調に進んだ。
  • 気温が高めに推移し、5月中旬の降雨により5月20日時点での生育は平年よりもやや良い。
  • 5月下旬からは少雨傾向にあったが、土壌水分が十分保持されていたことから、乾燥による影響はなかった。
  • 6月20日時点では平年よりもやや良い。
  • 7月3日現在の生育は良好である。しかしながら、6月中旬以降は降雨が少なく、干ばつの傾向が見られる。 

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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