砂糖類の国内需給
最終更新日:2014年10月10日
砂糖類の国内需給
2014年10月
1.需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。9月に「平成26砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した。その概要は以下のとおりである。
(1)砂糖の消費量
前年度からわずかに増加の201万2000トンの見通し
平成26砂糖年度の砂糖の消費量は、201万2000トン(前年度比1.4%増)と見通している(表1)。内訳を見ると、分みつ糖の消費量は、近年の消費動向を基に、国際糖価の安定などが見込まれることを踏まえ、198万トン(同1.4%増)と見通している。含みつ糖の消費量は、3万2000トン(同3.2%増)と見通している。
(2)砂糖の供給量
前年度同水準の196万7000トンの見通し
平成26砂糖年度の砂糖の供給量は、196万7000トン(前年度比0.2%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖が194万8000トン(同0.2%増)、含みつ糖が1万9000トン(同11.8%増)となっている。
国内産糖の供給見通しを見ると、てん菜については、作付面積が前年産から1.6%減少する見込みであるものの、全体として生育がおおむね順調に推移していることから、産糖量は58万4000トン(同5.9%増)と見通しており、供給量は58万3000トン(精製糖換算。同5.8%増)と見通している。
サトウキビについては、収穫面積が前年産から4.8%増加する見込みであることや、全体として生育はおおむね順調に推移していることから、産糖量は15万2000トン(同12.2%増)と見通しており、供給量は14万5000トン(精製糖換算。同12.2%増)と見通している。
この結果、国内産分みつ糖供給量は72万8000トン(同7.1%増)と見通している。
(3)異性化糖の需給見通し
前年度からわずかに減少の80万7000トンの見通し
平成26砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、80万7000トン(前年度比1.1%減)と見通している(表2)。異性化糖の供給量は、消費量に見合った量が供給されるものと見通している。
2. 異性化糖の移出動向
8月の移出量は前月から大幅に減少
2014年8月の異性化糖の移出数量は、7万3732トン(前年同月比9.8%減、前月比20.8%減)と、前年同月および前月を下回る水準となった(図1)。例年、異性化糖の移出量は7月にピークを迎え、8月には減少する動きを見せることから、本年も例年どおりの動きであったと言える。規格別の移出量は、次のとおりであった(図2)。
果糖含有率40%未満 316トン(前年同月比15.4%減、前月比19.3%減)
果糖含有率40%以上50%未満 1万7799トン(同9.2%減、同21.0%減)
果糖含有率50%以上60%未満 5万2073トン(同9.1%減、同20.0%減)
果糖含有率60%以上 3545トン(同20.8%減、同30.0%減)
3. 輸入動向
【分みつ糖の輸入動向】
7月の輸入量は前年同月および前月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2014年7月の分みつ糖の輸入量は、16万8970トン(前年同月比32.2%増、前月比28.3%増)と、前年同月および前月を大幅に上回る水準となり、この3年間では、2012年5月(17万1122トン)に次ぐ水準となった(図3)。輸入先国は、豪州、タイ、米国の3カ国であった。2014年7月の国別の輸入量は次のとおりであった(図4)。
豪州 9万7549トン (前年同月比75.5%増、前月比110.3%増)
タイ 7万1392トン (同22.4%増、同16.3%減)
米国 29トン (同21.6%減、同12.1%減)
2014年7月の1トン当たりの輸入価格は、4万5881円(前年同月比3.3%高、前月比0.3%高)となった(図5)。同月の国別の1トン当たりの輸入価格は、次のとおりであった。
豪州 4万7058円 (前年同月比7.5%高、前月比1.3%高)
タイ 4万4226円 (同2.8%安、同2.3%安)
米国 16万4103円 (同0.5%高、同2.9%安)
【含みつ糖の輸入動向】
7月の輸入量は前年同月および前月から大幅に減少
財務省「貿易統計」によると、2014年7月の含みつ糖の輸入量は、295トン(前年同月比60.2%減、前月比66.7%減)と、前年同月および前月から大幅に減少した(図6)。輸入先国は、中国、タイ、コロンビアの3カ国であった。同月の国別の輸入量は次のとおりであった(図7)。
中国 272トン (前年同月比42.4%減、前月比63.1%減)
タイ 21トン (同91.1%減、同85.4%減)
コロンビア 2トン (前年同月および前月輸入実績なし)
7月の1トン当たりの輸入価格は、11万1471円(前年同月比0.8%安、前月比0.4%安)となった(図8)。国別の1トン当たりの輸入価格は、次のとおりである。
中国 11万790円 (前年同月比0.6%安、前月比1.2%安)
タイ 8万6905円 (同18.0%安、同19.7%安)
コロンビア 46万2000円 (前年同月および前月輸入実績なし)
【加糖調製品の輸入動向】
7月の輸入量は14カ月ぶりの5万トン超え
財務省「貿易統計」によると、2014年7月の加糖調製品の輸入量は、5万1348トン(前年同月比3.5%増、前月比7.5%増)と、14カ月ぶりに5万トンを上回った(図9)。品目別の輸入量は、次のとおりであった。
ミルク調製品 1万4804トン (前年同月比4.0%増、前月比14.8%増)
ソルビトール調製品 1万90トン (同3.2%減、同1.7%減)
ココア調製品 8389トン (同16.0%増、同19.5%増)
その他調製品 7300トン (同4.0%増、同1.5%増)
調製した豆(加糖あん) 6055トン (同3.6%増、同3.3%増)
穀粉調製品 4676トン (同3.9%減、同4.1%増)
コーヒー調製品 35トン (同6.6倍、同52.1%増)
4. 価格の動き
【市場価格】
8月の砂糖の上白糖大袋価格(日経相場)は、東京は1キログラム当たり185〜186円、大阪は同186円、名古屋は同189円と、前月と同水準で推移した。8月の異性化糖の大口需要家向け価格(果糖分55%、東京、タンクローリーもの)は、1キログラム当たり140円〜141円の水準で推移した。
【販売価格】
日経POSデータの小売店販売価格調査によると、8月の小袋のスーパーにおける平均小売価格は、以下のとおりであった。
上白糖 183.7円 (前年同月比4.7円安、前月比2.0円安)
グラニュー糖 223.8円 (同1.3円高、同0.3円高)
三温糖 217.0円 (同4.0円安、同3.7円安)
上白糖の販売価格を地域別に見ると、東北と九州において前月から価格が上昇した。特に、東北では、前月から11.9円の上昇が見られた(図10)。
最も安かったのは関東などの171.4円(前月比6.2円安)で、最も高かった東北の206.3円(前月比11.9円高)と比較すると、34.9円の価格差があった。東北では、2カ月連続で10円以上上昇しており、この2カ月の間で販売価格が大幅に上昇した。
グラニュー糖の販売価格を地域別に見ると、北海道で前月から2.5円の上昇が見られたが、その他の地域ではおおむね前月と同水準で推移した(図11)。最も安かったのは北海道の182.1円(前月比2.5円高)で、最も高かった関東などの同242.2円(前月同)と比較すると、60.1円の価格差があった。
三温糖の販売価格を地域別に見ると北海道と中国・四国では前月と同額であったが、その他の地域では前月から下落した(図12)。最も安かったのは関西の204.4円(前月比1.7円安)で、最も高かった北海道の235.5円(前月同)と比較すると、31.1円の価格差があった。
【購入金額および購入量】
総務省「家計調査」によると、2014年7月の1世帯当たりの砂糖に係る支出金額は、102円(前年同月比6.4%安、前月比38.6%安)となった(図13)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、425グラム(同5.6%減、同35.9%減)となった(図14)。
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