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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2015年1月9日

砂糖類の国内需給

2015年1月

調査情報部、鹿児島事務所

1.需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。9月に「平成26砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した。その概要は以下のとおりである(詳細は2014年10月号参照)。
 

2. さとうきびの生産見込み(鹿児島県)

前年産から増加見込みも回復の途上
 鹿児島県農政部農産園芸課が取りまとめた「平成26年産さとうきびの生産見込みについて(11月1日現在)」によると、26年産さとうきびの収穫面積は、1万104ヘクタール(前年産比7.8%増)で、うち熊毛地区が2703ヘクタール(同0.3%減)、大島地区が7401ヘクタール(同11.1%増)の見込みである。また、生産量は53万8718トン(同6.0%増)で、うち熊毛地区が16万1032トン(同15.0%減)、大島地区が37万7686トン(同18.6%増)の見込みである。10アール当たりの収量は5332キログラム(同1.6%減)の見込みである(表3)。

 26年産さとうきびの生育状況は、7月中旬までの低温や日照不足などから生育遅延(茎数不足など)が発生していたものの、その後は、干ばつや台風による大きな被害もなく、順調な生育が期待された。しかし、10月に台風18号、19号が相次いで襲来したため、折損や葉片裂傷、潮風害が発生し、特に種子島および奄美大島では被害が大きく、生産量にマイナスの影響を与えることになった。

 このため、県全体としては収穫面積および生産量は前年産実績を上回るものの、地区別の生産量を見ると、大島地区が前年産を上回るのに対して、熊毛地区は前年産を大きく下回る見込みとなっている。また、過去5年間の実績と比較すると、不作だった23年産および24年産以降、生産量は回復傾向にあるものの(表4)、単収は平年(過去10年間の中庸8年平均)の91%であり、22年産以前の水準には戻っていない状況である。

 なお、収穫面積の確保に向けて、各島が実施した夏植え推進の結果、26年産夏植えの収穫面積は、前年産実績を大きく上回る1764ヘクタール(同56.0%増)となる見込みである。(鹿児島事務所)
 

3. 異性化糖の移出動向

11月の移出量は前年同月および前月からやや減少
 2014年11月の異性化糖の移出数量は、5万7615トン(前年同月比4.2%減、前月比4.2%減)と、前年同月および前月からやや減少した(図1)。

 同月の規格別の移出量は、次のとおりであった(図2)。

果糖含有率40%未満 400トン(前年同月比12.6%増、前月比15.9%増)
果糖含有率40%以上50%未満 1万5839トン(同7.5%減、同9.8%減)
果糖含有率50%以上60%未満 3万9956トン(同3.2%減、同2.8%減)
果糖含有率60%以上 1420トン(同4.3%増、同25.4%増)
 
 

4. 輸入動向

【分みつ糖の輸入動向】
10月の輸入量は前月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2014年10月の分みつ糖の輸入量は、14万3756トン(前年同月比9.9%増、前月比123.4%増)と、前月から大幅に増加し、10月の輸入量としては、2009年以来となる14万トンを超える高水準となった(図3)。輸入先国は豪州、タイ、南アフリカ、米国の4カ国であった。

 2014年10月の国別の輸入量は次のとおりであった(図4)。

豪州 8万2996トン (前年同月比45.7%増、前月輸入実績なし)
タイ 4万5753トン (同4.4%増、前月比7.2%減)
南アフリカ 1万4981トン (同50.1%減、同0.1%減)
米国 26トン (同6.5倍、同18.2%増)
 
 2014年10月の1トン当たりの輸入価格は、4万4500円(前年同月比3.3%安、前月比2.6%安)となった(図5)。

 同月の国別の1トン当たりの輸入価格は、次のとおりであった。

豪州 4万4356円 (前年同月比3.7%安、前月輸入実績なし)
タイ 4万2209円 (同4.2%安、前月比3.4%安)
南アフリカ 5万2067円 (同7.0%高、同0.1%高)
米国 17万4308円 (同1.8%安、同3.6%安)
 
【含みつ糖の輸入動向】
10月の輸入量は前年同月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2014年10月の含みつ糖の輸入量は、249トン(前年同月比39.7%減、前月比9.7%増)と、前年同月から大幅に減少した(図6)。輸入先国は、中国、ボリビア、米国の3カ国であった。

 同月の国別の輸入量は次のとおりであった(図7)。

中国 176トン (前年同月比12.1%増、前月比18.1%減)
ボリビア 69トン (同65.7%減、前月輸入実績なし)
米国 4トン (前年同月および前月輸入実績なし)
 
 10月の1トン当たりの輸入価格は、11万6197円(前年同月比8.7%高、前月比1.7%安)となった(図8)。

 国別の1トン当たりの輸入価格は、次のとおりである。

中国 11万2733円 (前年同月比7.9%高、前月比0.5%安)
ボリビア 12万3768円 (同21.5%高、前月輸入実績なし)
米国 13万8000円 (前年同月および前月輸入実績なし)
 
【加糖調製品の輸入動向】
10月の輸入量は3カ月ぶりに5万トンを超える

 財務省「貿易統計」によると、2014年10月の加糖調製品の輸入量は、5万262トン(前年同月比1.4%増、前月比2.1%増)となった(図9)。

 品目別の輸入量は、次のとおりであった。

ミルク調製品 1万3315トン (前年同月比2.1%増、前月比6.7%減)
ソルビトール調製品 1万1280トン (同5.3%増、同16.8%増)
ココア調製品 8596トン (同0.6%減、同8.3%増)
その他調製品 6887トン (同2.3%増、同4.2%減)
調製した豆(加糖あん) 5705トン (同0.3%増、同4.8%減)
穀粉調製品 4447トン (同5.7%減、同7.4%増)
コーヒー調製品 33トン (同7.0%減、同13.6%増)
 

5. 価格の動き

【市場価格】
 11月の砂糖の上白糖大袋価格(日経相場)は、東京は1キログラム当たり185〜186円、大阪は同186円、名古屋は同189円と、前月と同水準で推移した。11月の異性化糖の大口需要家向け価格(果糖分55%、東京、タンクローリーもの)は、1キログラム当たり137円〜138円と、原料トウモロコシ価格の下落などを背景に、糖化製品業者が値下げを行ったことから、前月から3円下落した。

【販売価格】
 日経POSデータの小売店販売価格調査によると、11月の小袋のスーパーにおける平均小売価格は、以下のとおりであった。

上白糖 184.8円 (前年同月比2.5円安、前月比0.4円高)
グラニュー糖 223.6円 (同1.0円高、同0.5円高)
三温糖 220.1円 (同1.5円安、同2.3円高)

 上白糖の販売価格を地域別に見ると、関西で前月から5.5円下落した(図10)。一方で、東北(前月比5.5円高)、関東など(同3.4円高)、中国・四国(同8.0円高)、九州(同4.9円高)では上昇した。

 最も安かったのは関東などの175.5円で、最も高かった中国・四国の204.0円と比較すると、28.5円の価格差があった。
 
 グラニュー糖の販売価格を地域別に見ると、首都圏で前月から2.1円上昇したが、その他の地域ではおおむね前月と同水準となった(図11)。最も安かったのは北海道の184.3円(前月比0.1円安)で、最も高かった関東などの240.3円(同0.1円高)と比較すると、56.0円の価格差があった。
 
 三温糖の販売価格を地域別に見ると、関東など(前月比11.0円高)と中国・四国(同9.9円高)で前月から上昇し、その他の地域では前月とおおむね同水準となった(図12)。最も安かったのは中部の207.2円(同0.7円高)で、最も高かった北海道の229.3円(前月同)と比較すると、22.1円の価格差があった。
 
【購入金額および購入量】
 総務省「家計調査」によると、2014年10月の1世帯当たりの砂糖に係る支出金額は、98円(前年同月比3.9%安、前月比12.6%高)となった(図13)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、487グラム(同0.8%増、同16.2%増)となった(図14)。
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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