地域だより
最終更新日:2015年1月29日
平成26年度砂糖の出前講座を藤女子大学で開催
2015年1月
当機構では、砂糖の価格調整制度の周知・浸透を図る取り組みとして、砂糖について「より詳しく知りたい」と関心を寄せる大学や消費者団体などに当機構の職員が出向いて講義などを行う「砂糖の出前講座」を実施している。
平成27年1月15日(木)〜16日(金)に北海道石狩市の藤女子大学人間生活学部にて、食物栄養学を専攻し専門的な知識を習得している学生94名を対象に、出前講座を実施した。
本講座では、当機構特産調整部管理課の一丸忠生課長代理が砂糖の価格調整制度の概要を説明するとともに、外部講師としてお招きした精糖工業会アドバイザー斎藤祥治農学博士による「砂糖の知識」を内容とする講義およびワークショップを行った。
日本の砂糖を支える仕組み 〜砂糖の価格調整制度の紹介〜
一丸課長代理から、スライドやパンフレットを使い、当機構が、国民生活の安定を目的とした業務を実施していることを踏まえ、国産農畜産物の安定的な供給を図るため、生産者の経営安定対策を中心に、需給調整・価格安定対策、緊急対策、情報収集・提供に関する業務を実施していることを冒頭で説明した。砂糖の価格調整制度の説明については、わが国の食料自給率が年々低下している状況と砂糖自給率の推移などから、輸入に依存した構造であることを説明した。
また、 1)北海道のてん菜や鹿児島県および 沖縄県のサトウキビに関わる産業が、その地域の経済や雇用に重要であること、 2)砂糖には大きな内外価格差があり、価格調整を図る必要があること、 3)生産者への農業所得の確保や国内産糖の安定的な供給を図るために「砂糖の価格調整制度」が存在していることについて、分かりやすく説明した。
砂糖の価格調整制度を学生に分かりやすく説明
(説明者:特産調整部管理課 一丸課長代理)
砂糖の知識に関する講義 〜べっこう飴を作る〜
―加熱による砂糖の物性を観察する―
斎藤氏から「砂糖について」と題した講義が行われ、着色成分は砂糖とは別ものであることを、精製糖やてん菜糖の製造工程をもとに解説した。この他に甘味資源作物の特性、砂糖の化学、体内での糖質の消化と吸収などについても幅広く解説した。
砂糖の特性を化学的に説明する精糖工業会アドバイザー 斎藤氏
講義の後、ワークショップが開催され、砂糖(グラニュー糖250グラム)に一定の水を加えた後、かき混ぜながら加熱すると砂糖の物性が変化し、結晶がどのように変化して、最終的にべっこう飴になるかの実験を行った。
グラニュー糖を煮詰めてべっこう飴を作る受講者
完成したべっこう飴
さらに、顕微鏡を用いて「フォンダン」(注1)が微細な砂糖の結晶体であることや「べっこう飴」(注2)が結晶構造を持たない物質であることを観察した。
(注1) 砂糖を107℃から115℃まで煮詰めると細かく泡立ち、冷めると白くなる。
(注2) 砂糖を165℃まで煮詰めると茶褐色となり香ばしい状態になる。
顕微鏡でフォンダンの結晶を観察する受講者
講義終了後に、受講生を対象にアンケートを実施した。受講生からは「てん菜が北海道で生産され、わが国の砂糖の生産が、砂糖の価格調整制度によって支えられていることを初めて知った」との価格調整制度に対する理解が図られた意見が出された他、「北海道で栽培されているてん菜がどのような工程を経て、砂糖になるのか理解できた」「砂糖についての講義を受講した後、べっこう飴を作ることができたため、砂糖に対する知識が一層広がった」などの感想が寄せられた。
将来、受講生たちが管理栄養士や栄養教諭などの職業に就いた折には、今回の出前講座で紹介した砂糖の価格調整制度や砂糖の知識が、消費者などに対し広く普及することを期待したい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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