【生産・輸出動向】
2014/15年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量はかなり大きく減少の見込み
2014/15砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、前年度並みの889万ヘクタールの見込みである。主要生産地であるサンパウロ州では生育時期の干ばつが影響し、単収が低下するものとみられ、サトウキビの生産量は6億9249万トン(前年度比6.3%減)、砂糖の生産量は3700万トン(同6.3%減)と減産となる見通しである。砂糖の輸出量は減産が響き2349万トン(同13.2%減)と前年度に比べかなり大きく減少する見込みである(
表2)。
ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA
(注1))が公表したブラジル中南部地域の製糖実績報告によると、2014/15年度の4月から2月までのサトウキビ生産量は、干ばつの影響により、年度後半のサトウキビ収穫量が平年の水準を下回ったことから、5億7107万トン(前年同期比4.2%減)とやや減少した。また、堅調な国内需要を反映し、エタノール生産量が261億913万リットル(同2.3%増)と増加したため、砂糖の生産量は3196万トン(同8.3%減)と減少した。
政府は3月16日から、ガソホール政策を強化し、ガソリンに混合する無水エタノール
(注2)の比率を25%から27%に引き上げる。これにより、エタノールは年間8億リットル(サトウキビ換算では1000万トン)の追加需要が見込まれるため、サトウキビの砂糖への仕向け量は今後も減少が見込まれる。
また、UNICAによると、懸念されていた干ばつの影響が2月からの降雨により限定的であったことから、2015/16年度の中南部地域のサトウキビ生産量は、5億9800万トン(前年度比4.0%増)とやや増加するものの、エタノール向けが285億リットル(同11.3%増)と拡大することから、砂糖生産量は3100万トン(同3.1%減)と前年度に続き減産の見通しである。
現地報道によると、多くの製糖工場(大半がエタノール製造設備を併設)の多くは、負債
(注3)を抱える中、砂糖および原油の国際相場の下落を受けて収益が悪化しており、2015/16年度において、現在、稼働している370工場のうち10工場以上が資金難で一時閉鎖または途中で圧搾を中止する見込みとされている。製糖工場の稼働停止により、今後の砂糖生産の減少も懸念される。
(注1)ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)は、ブラジル全体の砂糖生産量の9割を占める中南部地域を所管している団体。
(注2)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に得られた水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、ガソリンに混合して利用される無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除いた100%アルコールである。
(注3)2015年3月時点で総額854億レアル(約3兆2000億円)の負債がある。また、ドル建てで借入しているため、レアル安によりさらに負債額は増加している。