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3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向 (2015年4月時点予測)

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最終更新日:2015年5月11日

3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向 (2015年4月時点予測)

2015年5月

 
【生産・輸出動向】
2014/15年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量はかなり大きく減少の見込み

 英国の調査会社Agra CEAS Consulting社の2015年4月現在の予測によると(以下、特段の断りがない限り同予測に基づき記述)、2014/15砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、前年度並みの889万ヘクタールの見込みである。主要生産地であるサンパウロ州では、生育時期の干ばつが影響し単収が低下するとみられ、サトウキビの生産量は6億9249万トン(前年度比6.3%減)、砂糖の生産量は3700万トン(粗糖換算(以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算)、同6.3%減)と減産となる見通しである。砂糖の輸出量は減産が響き2349万トン(同13.2%減)と前年度に比べかなり大きく減少する見込みである(表2)。

 一方、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA(注1))が公表したブラジル中南部地域の製糖実績報告によると、2014/15年度のサトウキビ生産量は、干ばつの影響により、年度後半のサトウキビ収穫量が平年の水準を下回ったことから、5億7134万トン(前年度比4.3%減)とやや減少した。また、堅調な国内需要を反映し、エタノール生産量が2615万キロリットル(同2.2%増)と増加したため、砂糖の生産量は3199万トン(同6.7%減)とかなり減少した。

 政府は3月16日から、ガソホール政策を強化し、ガソリンに混合する無水エタノール(注2)の比率を25%から27%に引き上げた。これにより、エタノールは年間80万キロリットル(サトウキビ換算で1000万トン)の追加需要が見込まれるため、サトウキビの砂糖への仕向け量は今後も減少が見込まれる。

 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB(注3))は先頃、2015/16年度の砂糖の生産予測を発表した。これによると、サトウキビの単収は生育当初は干ばつの影響により低下が懸念されていたが、収穫前に十分な降雨がもたらされたことから、1ヘクタール当たり73.9トン(前年度比2.5%増)と向上し、サトウキビ生産量は、6億5461万トン(同2.0%増)とわずかな増加が見込まれている。このうち、エタノールへの仕向け量は3億6772万トン(同1.9%増)となり砂糖への仕向け量も増加するものと見込まれ、砂糖生産量は3735万トン(同5.0%増)となる見通しである。

(注1)ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)は、ブラジル全体の砂糖生産量の9割を占める中南部地域を区域としている団体。
(注2)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に得られた水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除いたアルコール100%で、ガソリンに混合して利用される。
(注3)ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は、ブラジル農務省直轄の公社であり、主要作物の生産状況報告や予測などを行っている機関。
 
 
【生産・輸出動向】
2014/15年度の砂糖生産量は前年度を上回るも輸出量は大幅に減少

 2014/15砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は前年度並みにとどまるものの、高単収苗の普及に伴い単収の向上が見込まれることから、サトウキビの生産量は3億4439万トン(前年度比0.9%増)とわずかに増加する見込みである。天候に恵まれたことにより製糖歩留まりが向上することから、砂糖の生産量は2767万トン(同4.1%増)とやや増加する見込みである(表3)。

 一方で、インド砂糖製造協会(ISMA)によると、3月末時点の砂糖の生産量は、主要生産地であるマハーラーシュトラ州、ウッタル・プラデーシュ州およびカルナータカ州で前年同期を上回っており、精製糖換算で2472万トン(前年同期比13.0%増)とかなり大きく増加しているため、表3の生産量予測は今後修正される可能性がある(図3)。

 他方、砂糖の輸出量は、170万トン(前年度比38.0%減)と大幅に減少する見込みである。このうち、粗糖は107万トンと前年度並みとなるものの、精製糖は63万トン(同60.0%減)と大幅な減少が見込まれる。

 粗糖が前年度並みと見込まれる理由は、インド国内の砂糖価格が過剰な砂糖在庫を背景に低下している一方、製造コストは上昇しており、負債を抱えた製造事業者から生産者への原料代の支払が滞っている中で、政府は、国内砂糖価格安定のための対策として、粗糖に対する輸出補助金(注)の支払いを承認したことによる。政府はまた、砂糖の輸入関税の25%から40%への引き上げを検討しているとされている。

 なお、最も多くの生産者を抱えるマハーラーシュトラ州政府は、独自の措置として、輸出補助金の上乗せ(1トン当たり1000ルピー(2090円(3月末TTS:1ルピー=2.09円))や製糖事業者への無利子融資を発表している。

(注)インド政府によると、粗糖の輸出補助金は2015年9月末までの措置としており、対象数量は140万トン、単価は1トン当たり4000ルピー(8360円(3月末TTS:1ルピー=2.09円))である。なお、単価は、米ドル為替に連動して2カ月ごとに設定された前年度の平均より同1000ルピー程度高く設定された。
 
 
【生産・輸入動向】
2014/15年度の砂糖生産量は大幅に減少、輸入量は上限数量まで増加

 2014/15砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は182万ヘクタールと前年度並みであるものの、サトウキビの生産量は、最大生産地である広西自治区が天候不順により大幅な減産となることから、1億1225万トン(前年度比10.6%減)とかなりの減少が見込まれる(表4)。この減産と製糖歩留まりの低下により、甘しゃ糖の生産量は1068万トン(同21.9%減)と大幅に減少する見込みである。

 他方、てん菜の収穫面積は前年度並みの25万ヘクタール、てん菜の生産量は1235万トン(同2.5%増)、てん菜糖の生産量は87万トン(同7.6%増)の見込みである。この結果、砂糖生産量は1155万トン(同20.2%減)と大幅に減少する見込みである。

 また、中国砂糖協会によると、3月までの砂糖生産量(精製糖換算)は、955万トン(前年同期比21.9%減)と前年同期を大幅に下回る水準となっている。これは、てん菜糖生産量は前年度並みであるものの、広西自治区の甘しゃ糖生産量が610万トン(同23.9%減)と大幅に減少していることによる(図4)。

 一方、砂糖の輸入量は、政府の輸入制限(注)により前年度をかなり下回るものの、生産量の減少を受けて、輸入制限量の上限水準である380万トン(前年度比6.3%減)となる見込みである。

(注)中国政府は2014年11月1日、関税割当(精製糖換算195万トン、枠内関税15%)の枠外(税率50%)で、安価な精製糖の輸入量が増加した結果、国内価格が下落して国内産砂糖の在庫が増加する事態となっていることを受け、輸入割当制度を見直し、枠外で輸入できる業者に登録を義務付けることとした。さらに、2015年1月、枠外数量の上限を190万トンと設定し、実質385万トンの輸入数量の上限を定めた。
 
 
 
【生産・輸入動向】
2014/15年度の砂糖生産量はかなり増加、輸入量は大幅に減少の見込み

 2014/15年度(10月〜翌9月)のてん菜の収穫面積、生産量ともに前年度並みと見込まれるものの、EUの主要生産国であるフランス、ドイツ、ポーランド、英国およびオランダが天候に恵まれ、生育や根中糖分が前年度を上回ったことから、てん菜糖の生産量は1860万トン(前年度比12.7%増)とかなり増加し、生産割当数量(精製糖換算で1353万トン)を超える見込みである(表5)。なお、生産割当数量を超えた分は、非食用(エタノールや工業製品)や輸出用などに向けられる。

 砂糖の輸入量は、生産量の増加を受けて244万トン(同38.7%減)と前年度を大幅に下回る見込みである。
 
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