【生産・輸入動向】
2014/15年度の砂糖生産量は大幅に減少、輸入量は大幅に増加
2014/15砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積が141万ヘクタール(前年度比13.2%減)とかなり減少したことに加え、最大生産地である広西自治区が、天候不順により大幅な減産となることから、サトウキビ生産量は8064万トン(同24.2%減)と大幅な減少が見込まれる(
表4)。この減産により、甘しゃ糖の生産量は1034万トン(同23.9%減)と大幅に減少する見込みである。
他方、てん菜の収穫面積は13万ヘクタール(同4.1%減)、てん菜の生産量は642万トン(同0.2%減)、てん菜糖の生産量は80万トン(同1.1%減)の見込みである。この結果、砂糖生産量は1114万トン(同22.6%減)と大幅に減少する見込みである。
中国砂糖協会によると、5月までの砂糖生産量(精製糖換算)は、1052万トン(前年同期比21.0%減)と前年同期を大幅に下回る水準となっている。これは、てん菜糖生産量は前年度並みであるものの、広西自治区の甘しゃ糖生産量が634万トン(同25.9%減)と大幅に減少していることによる(
図5)。
中国気象局は、エルニーニョの発生に伴い、南部では激しい降雨が予想される一方で、北部では干ばつに近い状態になり得るという今夏の気象予測を発表した。すでに今春は、広西自治区と広東省で深刻な干ばつが発生しており、砂糖生産への影響が懸念される。
中国政府は2015年4月、国際価格が下落傾向にある中で国内価格を安定させるべく、2015年の輸入量を350万トンに抑制することを発表し、国内企業の輸入動向に対する統制をさらに強めることとした
(注)。
しかし、国内需要量から見た砂糖の輸入必要量として533万トン(前年度比47.8%増)が見込まれており、輸入量を抑制しつつ国内需要量を補うためには、政府が備蓄砂糖を放出するなどの措置が必要になると予想される。
一方、現地報道によると、政府は先頃、2015年〜2020年までのサトウキビ生産推進計画を策定し、2020年までにサトウキビ生産量を1億400万トンに拡大し、その実現に向け、かんがい面積の拡大や機械化による労働費の削減などを推進することとしている。同計画では、2020年までに国内の砂糖需要量が1800万トンに達すると予測しており、このうち300万トンは輸入で補う必要があるとしている。
(注)中国政府は2014年11月1日、関税割当(精製糖換算195万トン、枠内関税15%)の枠外(税率50%)で、安価な精製糖の輸入量が増加した結果、国内価格が下落して国内産砂糖の在庫が増加する事態となっていることを受け、輸入割当制度を見直し、枠外で輸入できる業者に登録を義務付けることとした。さらに、2015年1月、枠外数量の上限を190万トンと設定し、実質385万トンの輸入数量の上限を定めていた。