【生産・輸出動向】
2014/15年度の砂糖生産量は前年度を大幅に上回るも輸出量は大幅に減少の見込み
2014/15砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は前年度並みにとどまるものの、高単収苗の普及に伴い単収の向上が見込まれることから、サトウキビの生産量は3億7628万トン(前年度比5.6%増)とやや増加する見込みである。天候に恵まれたことにより製糖歩留まりが向上していることから、砂糖の生産量は3052万トン(同16.2%増)と大幅に増加する見込みである(
表3)。
インド砂糖製造協会(ISMA)によると、5月末時点の砂糖の生産量は、主要生産地であるマハーラーシュトラ州、ウッタル・プラデーシュ州およびカルナータカ州で前年同期を上回っており、精製糖換算で2796万トン(前年同期比16.3%増)と大幅に増加している(
図3)。特に、マハーラーシュトラ州は過去最高の砂糖生産量が見込まれており、同協会は、2014/15年度の国内砂糖生産量は、史上最高を記録した2006/07年度に近い水準になると予想している。大部分の工場が5月末までに2014/15年度の操業を終えているものの、一部の工場が7月に再稼働予定であることから、同協会は、2014/15年度の砂糖生産量を2830万トン前後と見込んでいる。
また、砂糖の輸出量は、220万トン(前年度比20.0%減)と大幅に減少する見込みである。政府は2015年9月まで粗糖に対する輸出補助金
(注1)を措置していることから、粗糖の輸出量は大幅には減少しないという見方もあるが、国際価格が低迷していることから、今後も砂糖の輸出は伸び悩むことが予想される。
2015/16年度の砂糖生産量はかなり減少の見込み
2015/16年度は、国内企業による生産者への原料代の支払いが滞っていることから、サトウキビの収穫面積は、511万ヘクタール(前年度比1.1%減)とわずかに減少し、株出しほ場の増加により単収の低下が懸念されることから、サトウキビ生産量は3億5429万トン(同5.8%減)とやや減少し、砂糖生産量も、2857万トン(同6.4%減)とかなり減少するものと見込まれる。
政府は、国内外の砂糖価格が低迷する中、国内の砂糖在庫を削減し、負債を抱える国内の企業を支援するため、 これまで、 1)砂糖の輸入関税の引き上げ(25%から40%)、 2)粗糖輸入に係る事前許可制度(ALS(Advanced Licensing Scheme))
(注2)における再輸出までの期間の短縮(18カ月以内から6カ月以内)、 3)砂糖の副産物である糖みつを原料とするエタノールに係る消費税の非課税化(次年度(2015年10月)から)、といった対策の実施を決定してきた。
加えて、政府は、生産者への原料代支払いを促進するため、60億ルピー(125億円)の予算を講じ、国内の製糖企業に対し、無利子融資を行うこととしている。企業ごとの融資は、原料代の未払額に応じて9月末までに行われることとなっている。
(注1)インド政府によると、粗糖の輸出補助金は2015年9月末までの措置としており、対象数量は140万トン、単価は1トン当たり4000ルピー(8360円(6月末TTS:1ルピー=2.09円))である。なお、単価は、米ドル為替に連動して2カ月ごとに設定された前年度の平均より同1000ルピー程度高く設定された。
(注2)精製後の輸出を条件に粗糖の輸入関税を免除する制度。