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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2015年10月9日

砂糖類の国内需給

2015年10月

調査情報部

1. 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。9月に「平成27砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した。その概要は以下の通りである。
 
(1)砂糖の消費量
 平成26砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、194万4000トン(前年度比2.0%減)の見込みである(表1)。内訳を見ると、分みつ糖の消費量が191万トン(同2.2%減)、含みつ糖の消費量が3万4000トン(同9.7%増)の見込みである。

 27砂糖年度の砂糖の消費量は、197万4000トン(同1.5%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の消費量は、近年の消費動向を基に、景気が緩やかな回復基調が続いていることなどを踏まえ、194万トン(同1.6%増)と見通している。含みつ糖の消費量は、近年の消費動向などを勘案し、3万4000トン(前年度同)と見通している。

(2)砂糖の供給量
 平成26砂糖年度の砂糖の供給量は、197万1000トン(前年度比0.4%増)の見込みである。内訳を見ると、分みつ糖の供給量が195万3000トン(同0.4%増)、含みつ糖の供給量が1万8000トン(前年度同)の見込みである。国内産糖の供給量は、平成26年産におけるてん菜の生産量の増加などにより、73万7000トン(同7.3%増)と、かなりの程度増加する見込みである。

 27砂糖年度の砂糖の供給量は、195万7000トン(同0.7%減)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の供給量は193万7000トン(同0.8%減)、含みつ糖の供給量は2万トン(同11.1%増)と見通している。

 国内産糖の供給量を見ると、国産分みつ糖では、てん菜については、作付面積が前年産に比べて2.5%増加したこと、干ばつの影響が生じているほ場があるものの、全体として生育はおおむね順調に推移していることから、産糖量は60万1000トン(前年産比1.1%減)と見通しており、供給量は60万トン(精製糖換算。前年度比1.1%減)と見通している。サトウキビについては、収穫面積が前年産に比べて2.8%増加したこと、長雨や日照不足などにより生育が大幅に遅延している地域や、台風被害が発生した地域はあるものの、一定の降雨もあり、全体として生育はおおむね順調に推移していることから、産糖量は15万トン(前年産比17.4%増)と見通しており、供給量は14万4000トン(精製糖換算。前年度比17.4%増)と見通している。
 
(3)異性化糖の需給見通し
 異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、80万5000トン(前年度比1.3%増)と見通している。また、異性化糖の供給量は、消費量に見合った量が供給される見通しである。
 

2. 異性化糖の移出動向

8月の移出量は前月から大幅に減少
 2015年8月の異性化糖の移出数量は、7万3618トン(前年同月比0.2%減、前月比16.6%減)と、2カ月連続の減少となった(図1)。
 同月の規格別の移出量は、次の通りであった(図2)。

果糖含有率40%未満 392トン (前年同月比24.1%増、前月比9.8%減)
同40%以上50%未満 1万7873トン (同0.4%増、同15.9%減)
同50%以上60%未満 5万4585トン (同4.8%増、同17.1%減)
同60%以上 768トン (同78.3%減、同8.0%増)
 

3. 輸入動向

【分みつ糖の輸入動向】
7月の輸入量は前年同月および前月から大幅に減少
 財務省「貿易統計」によると、2015年7月の分みつ糖の輸入量は、11万8080トン(前年同月比30.1%減、前月比20.8%減)と、前年同月および前月から大幅に減少し、7月の輸入量としては直近3年間で最低となった(図3)。輸入先国はタイ、グアテマラ、豪州、米国の4カ国で、グアテマラからの輸入は3月以来、4カ月ぶりとなった。7月の国別の輸入量は次の通りであった(図4)。

タイ 6万4079トン (前年同月比10.2%減、前月比35.4%減)
グアテマラ 2万9982トン (前年同月および前月輸入実績なし)
豪州 2万3991トン (同75.4%減、同51.9%減)
米国 28トン (同3.4%減、同57.6%減)
 
 2015年7月の1トン当たりの輸入価格は、4万1830円(前年同月比9.0%安、前月比1.1%高)と、前月からわずかに上昇し、2カ月連続で前月を上回ったものの、依然として4万1000円台の低水準となった(図5)。
 同月の国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

タイ 3万9535円 (前年同月比10.4%安、前月比3.2%安)
グアテマラ 4万7119円 (前年同月および前月輸入実績なし)
豪州 4万1143円 (同12.9%安、同2.5%安)
米国 21万8214円 (同33.0%高、同3.4%高)

 タイからの輸入価格が4万円を下回ったのは、2009年11月(3万9209円)以来となった。
 
【含みつ糖の輸入動向】
7月の輸入量は前月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2015年7月の含みつ糖の輸入量は、283トン(前年同月比4.1%減、前月比63.6%減)となった(図6)。輸入先国は中国、タイ、モーリシャス、米国の4カ国で、モーリシャスからの輸入は、昨年11月以来8カ月ぶりであった。
 同月の国別の輸入量は次の通りであった(図7)。

中国 184トン (前年同月比32.4%減、前月比72.6%減)
タイ 73トン (同3.5倍増、同14.1%増)
モーリシャス 22トン (前年同月および前月輸入実績なし)
米国 4トン (前年同月輸入実績なし、前月同)
 
 2015年7月の1トン当たりの輸入価格は、12万106円(前年同月比7.7%高、前月比2.9%安)となった(図8)。
 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りである。

中国 12万4196円 (前年同月比12.1%高、前月比1.7%高)
タイ 10万7973円 (同24.2%高、同3.7%安)
モーリシャス 11万4364円 (前年同月および前月輸入実績なし)
米国 18万5000円 (前年同月輸入実績なし、同7.1%高)
 
【加糖調製品の輸入動向】
7月の輸入量は前月からかなりの程度増加

 財務省「貿易統計」によると、2015年7月の加糖調製品の輸入量は、5万963トン(前年同月比0.8%減、前月比6.7%増)となった(図9)。
 同月の品目別の輸入量は、次の通りであった。

ミルク調製品 1万5816トン (前年同月比6.8%増、前月比1.5%減)
ソルビトール調製品 1万972トン (同8.7%増、同13.0%増)
ココア調製品 8134トン (同3.1%減、同18.1%増)
その他調製品 7536トン (同3.2%増、同5.1%増)
調製した豆(加糖あん) 5658トン (同7.0%減、同20.9%増)
穀粉調製品 2817トン (同39.8%減、同13.4%減)
コーヒー調製品 30トン (同14.1%減、同71.7%増)
 

4. 価格の動き

【市場価格】
 8月の上白糖大袋価格(日経相場)は、東京は1キログラム当たり185〜186円、大阪は同186円、名古屋は同189円、関門は同189円と、前月と同水準で推移した。

 また、同月の本グラニュー糖大袋価格(日経相場)は、東京は同190〜191円、大阪は同191円、名古屋は同194円と、前月と同水準で推移した。

 8月の異性化糖の大口需要家向け価格(果糖分55%、東京、タンクローリーもの)は、1キログラム当たり137円〜138円と、前月と同水準で推移した。

【小売価格】
8月の上白糖小袋の平均小売価格は東北で前月から11.7円下落

 日経POSデータ(全国200店舗)によると、8月の小袋(1キログラム)のスーパーにおける上白糖の平均小売価格は、186.2円(前年同月比0.4円高、前月同)であった。
 同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった。

北海道 174.3円 (前年同月比0.9円高、前月比0.5円高)
東北 186.7円 (同12.1円安、同11.7円安)
関東など 180.5円 (同5.2円高、前月同)
首都圏 201.0円 (同0.3円安、同0.1円安)
中部 183.7円 (同6.3円高、同0.2円安)
関西 177.7円 (同4.0円安、同4.2円高)
中国・四国 196.5円 (同2.7円安、同4.2円安)
九州 181.6円 (前年同月同、同1.1円高)

 最も高かったのは、前月と同様に首都圏で、唯一200円台となった。最も安かった北海道との価格差は26.7円であった。

(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
  関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
  首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
  中部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
  関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県


8月のグラニュー糖小袋の平均小売価格は九州で前月から7.8円上昇
 日経POSデータ(全国200店舗)によると、8月の小袋(1キログラム)のスーパーにおけるグラニュー糖の平均小売価格は、226.0円(前年同月比0.3円高、前月比1.0円高)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった。

北海道 185.5円 (前年同月比4.0円高、前月同)
東北 231.6円 (同2.9円安、前月同)
関東など 245.9円 (同0.6円安、前月同)
首都圏 239.3円 (同1.3円安、同1.4円高)
中部 225.5円 (同0.9円高、同0.1円安)
関西 208.3円 (同2.7円高、同0.8円安)
中国・四国 229.6円 (同1.2円高、前月同)
九州 213.5円 (同0.1円安、同7.8円高)

 最も安かったのは、前月と同じく北海道であった。一方、最も高かったのも前月と同じく関東などで、北海道との価格差は60.4円であった。

8月の三温糖小袋の平均小売価格は前月からわずかに下落
 日経POSデータ(全国200店舗)によると、8月の小袋(1キログラム)のスーパーにおける三温糖の平均小売価格は、218.0円(前年同月比2.7円高、前月比0.3円安)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった。

北海道 233.6円 (前年同月比3.7円安、前月同)
東北 228.8円 (同5.2円高、同0.7円高)
関東など 224.8円 (同5.4円高、前月同)
首都圏 216.0円 (同2.4円安、同0.8円安)
中部 212.8円 (同6.6円高、同0.2円安)
関西 206.5円 (同2.9円高、前月同)
中国・四国 218.0円 (同6.7円高、前月同)
九州 217.1円 (同3.7円高、同1.5円安)

 最も安かったのは前月と同じく関西であった。一方、最も高かったのも前月と同じく北海道で、関西との価格差は27.1円であった。

【購入金額および購入量】
7月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は前月から大幅に減少

 総務省「家計調査」によると、2015年7月の1世帯当たりの砂糖に係る支出金額は、101円(前年同月比1.0%安、前月比39.9%安)となった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、457グラム(同7.5%増、同24.2%減)となった(図11)。
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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