(2)中耕・除草作業の省力化
てん菜の栽培管理において、中耕・除草作業は、雑草の成長を抑制するとともに、土壌の塊を砕き、空気と水分の透通を良好にし、根部の生育を高める効果がある。また、一般的に生育初期は浅耕2〜3センチメートルとし、生育が進むにつれて深耕し、後期の中耕は10センチメートル程度とすることが一般的である。
中耕・除草作業用機械のカルチベーター(以下「カルチ」という)の運転には高度な技術が求められることから、トラクターの操作に慣れた作業者が運転し、カルチにより除去しきれなかった雑草を、別の作業員がホー除草をするというのが一般的である。三浦農場では、カメラを装着するなどの工夫により、誰でもカルチの操作を行える作業体系を実現している。
三浦農場では、カルチに2台のカメラを設置している。1台は、トラクターの天井部に設置し、4畝の作物列全体を映し、カルチが作物を引っ掛けることがないよう監視している(
写真6)。もう1台はカルチの牽引部に設置し、除草機械と作物をアップで映し、トラクターが正確に畝に沿って走行していることを監視している(
写真7)。これらのカメラにより、作業の精度が向上し作物を引っ掛けるなどのトラブルを回避することができる。
また、トラクターには、前輪付近にマーカーを装着している(
写真8)。マーカーの横位置は、カルチをかける作物の畝幅に応じて自在に調整できる。運転者は、このマーカーと作物畝が一致するようにハンドルを操作することで、正確にカルチ作業が行える。この他、作業をしやすくするため、キャビン内のディスプレーを目線の先に配置したり(
写真9)、カルチの要所に蛍光テープを貼る(
写真10)などの確認しやすくする工夫を行っている。これらの工夫により誰でもカルチ作業が行えるようになるという。
三浦農場では、このように農業機械にさまざまな工夫を行うことで、カルチ作業を誰でも迅速かつ正確に行うことを可能としており、さらにはホー除草にかかる作業時間の大幅な削減も実現している。また、カルチ作業を繰り返し行うことにより、てん菜のほ場では除草剤の散布をやめることができ、7.5ヘクタールで約20万円の除草剤の購入経費の削減にも成功している。