2014/15年度の砂糖生産量はやや減少、輸出量はかなり減少の見込み
LMC International(農産物の需給などを調査する英国の大手民間調査会社)の2015年11月現在の予測によると(以下、特段の断りがない限り同予測に基づく記述)、2014/15砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、879万ヘクタール(前年度比4.5%増)とやや増加となるが、主要生産地であるサンパウロ州で、生育時期の干ばつの影響により単収が低下したことから、生産量は6億3213万トン(同3.2%減)となり、砂糖の生産量は3819万トン(以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算。同5.8%減)とやや減少する見込みである。また、砂糖の輸出量は減産が響き、2487万トン(同12.9%減)とかなり減少する見込みである(
表2)。
2015/16年度の砂糖生産量はわずかに減少、輸出量は前年度並みの見込み
2015/16年度のサトウキビの収穫面積は844万ヘクタール(前年度比4.0%減)とやや減少するものの、生産量は6億5000万トン(同2.8%増)と、わずかな増加が見込まれる。一方、エルニーニョ現象の影響とされる過度な降雨でサトウキビの出穂現象が見られており、産糖量の減少が懸念されることから、砂糖の生産量は3707万トン(同2.9%減)とわずかに減少するものの、輸出量は2480万トン(同0.3%減)と前年度並みの見込みである。
また、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)
(注1)が発表した2015年4〜10月の生産実績によると、ブラジル中南部地域のサトウキビの生産量は、5億1882万トン(前年同期比0.7%増)とほぼ前年度並みであるが、砂糖の生産量は2752万トン(同6.7%減)とかなりの減少となった。これは、過度な降雨により、サトウキビ1トン当たりの産糖量が53.0キログラム(同7.3%減)と減少していることに加え、企業が砂糖よりも短期間で利益を回収できるエタノールへの仕向け量を増やしていることが影響しているものと考えられる。
同報告によると、4〜10月のエタノールの生産量は、2370万キロリットル(前年同期比1.8%増)となっている。また、10月の含水エタノール
(注2)の国内販売量は、170万キロリットル(前年同月比36.4%増)となり、輸出量も含めた4〜10月のエタノールの販売数量は、1777万キロリットル(前年同期比25.4%増)に達している。
なお、9月末に、国営石油公社ペトロブラスがガソリンの卸売価格を6%引き上げたことから、さらなるエタノールの需要増が予想されている。
現地報道によると、国立社会経済開発銀行(BNDES) は、サトウキビの生産性向上を目的とする融資策(Prorenova)
(注3)に対し、15億レアル(457億5000万円(10月末日TTS:1レアル=30.5円))の追加融資を承認した。これにより、今後、40万ヘクタールのサトウキビほ場が拡大される見込みである。
(注1)ブラジル全体の砂糖生産量の9割を占める中南部地域を区域としている団体。
(注2)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に得られた水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除きアルコール100%としたもので、ガソリンに混合して利用される。
(注3)サトウキビの新植促進や新規ほ場拡大を目的に、2012年1月より、政府が講じている融資策。