当機構は毎年度、鹿児島県と沖縄県の基幹作物であるさとうきびをめぐる課題の解決に向けた、関係者の意見交換と具体的方策の検討を目的に、さとうきび・甘蔗糖関係検討会を開催している。
第14回となる今年度は、「さとうきび生産における経営の安定化」をテーマに、鹿児島県と沖縄県のさとうきび生産者、生産者団体、国内産糖製造事業者、研究者、行政などの関係者約230名の参加を得て、10月22、23日に、当機構那覇事務所の主催により沖縄県那覇市で開催した。
初日は、東京大学大学院総合文化研究科の永田淳嗣准教授による基調講演の後、「さとうきび生産における経営の安定化」をテーマにパネルディスカッションを行った。この他、農林水産省政策統括官付地域作物課から砂糖をめぐる現状と課題について、当機構鹿児島事務所から品目別経営安定対策の取り組みについて、それぞれ報告した。また、沖縄県農業研究センターなどの研究機関からは、さとうきび育種などに関する研究成果を発表した。
2日目は、沖縄県農業研究センター、農業生産法人野原ファーム、さとうきび生産者など、沖縄本島南部のさとうきび生産現場や試験研究機関などを視察した。
パネルディスカッションでは、各地域のさとうきび生産者2名、行政関係者2名の計4名のパネリストが、「支援組織の活用による省力化・機械化」および「複合経営による経営の安定化」について報告した後、生産者代表による意見交換が行われた(
表)。
鹿児島県農政部農産園芸課の厚ケP技術主幹からは、補助事業を活用した機械導入やハーベスタの機能向上など、支援組織の活用による省力化の取り組みなどについて、沖縄県農林水産部糖業農産課の安田班長からは、他品目との複合経営による経営の安定化に向けた取り組みなどについて、報告が行われた。
本稿では、パネルディスカッションでの報告などを基に、各生産者の経営の安定化の取り組みについて紹介する。