砂糖類の国内需給
最終更新日:2016年1月8日
砂糖類の国内需給
2016年1月
1. 需給見通し
農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。9月に「平成27砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した。その概要は以下の通りである(詳細は
2015年10月号参照)。
2. 異性化糖の移出動向
11月の移出量は前年同月からやや増加
2015年11月の異性化糖の移出数量は、6万559トン(前年同月比5.1%増、前月比1.0%増)となった(
図1)。
同月の規格別の移出量は、次の通りであった(
図2)。
果糖含有率40%未満 325トン (前年同月比18.6%減、前月比14.7%減)
同40%以上50%未満 1万6552トン (同4.5%増、同5.1%減)
同50%以上60%未満 4万2925トン (同7.4%増、同4.0%増)
同60%以上 757トン (同46.7%減、同10.7%減)
3. 輸入動向
【分みつ糖の輸入動向】
10月の輸入量は前年同月から大幅に減少
財務省「貿易統計」によると、2015年10月の分みつ糖の輸入量は、6万8960トン(前年同月比52.0%減、前月比9.9%減)であった(
図3)。10月の輸入量が10万トンを下回ったのは、2007年(8万6000トン)以来、8年ぶりとなった。輸入先国はタイ、豪州、米国の3カ国で国別の輸入量は次の通りであった(
図4)。
タイ 4万2950トン (前年同月比6.1%減、前月比43.9%減)
豪州 2万5977トン (同68.7%減、前月輸入実績なし)
米国 33トン (同26.9%増、同26.7%減)
豪州からの高糖度原料糖(糖度98.5度以上99.3未満、HSコード1701.14-200)の輸入量は6万9525トンであり、本年5月以降の輸入量の累計は、17万7942トンとなった。
2015年10月の1トン当たりの輸入価格は、3万5703円(前年同月比20.1%安、前月比5.6%安)となった。3カ月連続で前月を下回り、2カ月連続で4万円を下回った(
図5)。
同月の国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。
タイ 3万4887円 (前年同月比17.9%安、前月比7.5%安)
豪州 3万6828円 (同17.3%安、前月輸入実績なし)
米国 21万2515円 (同21.9%高、同2.3%安)
【含みつ糖の輸入動向】
10月の輸入量は前年同月および前月から大幅に増加
財務省「貿易統計」によると、2015年10月の含みつ糖の輸入量は、740トン(前年同月比3.0倍増、前月比83.2%増)となった(
図6)。輸入先国は中国、ブラジル、ボリビア、フィリピン、米国の5カ国であった。
同月の国別の輸入量は次の通りであった(
図7)。
中国 337トン(前年同月比91.5%増、前月比8.7%減)
ブラジル 190トン (前年同月および前月輸入実績なし)
ボリビア 178トン (同2.6倍増、前月輸入実績なし)
フィリピン 31トン (前年同月輸入実績なし、前月同)
米国 4トン (前年同月同、前月同)
2015年10月の1トン当たりの輸入価格は、15万6404円(前年同月比34.6%高、前月比21.6%高)となった(
図8)。
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りである。
中国 11万5872円 (前年同月比2.8%高、前月比7.2%安)
ブラジル 23万5374円 (前年同月および前月輸入実績なし)
ボリビア 14万2433円 (同15.1%高、前月輸入実績なし)
フィリピン 18万6452円 (前年同月輸入実績なし、同13.1%安)
米国 20万9000円 (同51.4%高、同5.2%高)
【加糖調製品の輸入動向】
10月の輸入量は前年同月からかなりの程度減少
財務省「貿易統計」によると、2015年10月の加糖調製品の輸入量は、4万7180トン(前年同月比6.1%減、前月比0.6%増)となった(
図9)。
同月の品目別の輸入量は、次の通りであった。
ミルク調製品 1万2104トン (前年同月比9.1%減、前月比11.3%減)
ソルビトール調製品 1万801トン (同4.3%減、同1.5%増)
ココア調製品 8267トン (同3.8%減、同8.7%増)
その他調製品 6873トン (同0.2%減、同3.6%増)
調製した豆(加糖あん) 5588トン (同2.0%減、同3.0%増)
穀粉調製品 3510トン (同21.1%減、同20.3%増)
コーヒー調製品 36トン (同9.3%増、同50.1%増)
4.価格の動き
【市場価格】
11月の上白糖大袋価格(日経相場)は、東京は1キログラム当たり183〜184円、大阪は同184円、名古屋は同187円、関門は同187円となった。
また、同月の本グラニュー糖大袋価格(日経相場)は、東京は同188〜189円、大阪は同189円、名古屋は同192円となった。
11月の異性化糖の大口需要家向け価格(果糖分55%、東京、タンクローリーもの)は、1キログラム当たり137円〜138円と、前月と同水準で推移した。
【小売価格】
11月の上白糖小袋の平均小売価格は首都圏で前月から17.3円の上昇
日経POSデータ(全国200店舗)によると、11月の小袋(1キログラム)のスーパーにおける上白糖の平均小売価格は、186.4円(前年同月比0.1円高、前月比1.9円高)であった。
同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった。
北海道 175.2円(前年同月比2.8円安、前月比0.1円安)
東北 199.0円 (同3.5円高、同11.0円高)
関東など 181.0円 (同4.1円高、同4.0円安)
首都圏 203.7円 (同1.4円高、同17.3円高)
中部 184.1円 (同5.8円高、同0.7円安)
関西 173.7円 (同6.9円安、同3.1円安)
中国・四国 197.3円 (同1.0円安、同0.7円安)
九州 180.1円 (同1.1円安、同2.9円安)
最も高かったのは唯一200円を超えた首都圏で、最も安かった関西との価格差は30円であった。
(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県
11月のグラニュー糖小袋の平均小売価格は九州で前年同月から16.9円上昇
日経POSデータ(全国200店舗)によると、11月の小袋(1キログラム)のスーパーにおけるグラニュー糖の平均小売価格は、225.4円(前年同月比0.2円安、前月比1.1円安)であった。
同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった。
北海道 182.1円 (前年同月比0.9円安、前月比2.4円安)
東北 231.6円 (同1.1円安、前月同)
関東など 246.2円 (同0.7円高、同0.1円高)
首都圏 236.5円 (同1.2円安、前月同)
中部 226.2円 (同0.7円高、同2.4円安)
関西 204.3円 (同3.6円安、同3.1円安)
中国・四国 229.6円 (前年同月同、前月同)
九州 230.4円 (同16.9円高、前月同)
前月と同様に最も高かったのは関東などで、最も安かった北海道との価格差は64.1円であった。
11月の三温糖小袋の平均小売価格は九州で前年同月から16.2円下落
日経POSデータ(全国200店舗)によると、11月の小袋(1キログラム)のスーパーにおける三温糖の平均小売価格は、214.8円(前年同月比3.4円安、前月比0.4円安)であった。
同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった。
北海道 228.5円(前年同月比7.8円安、前月比1.0円高)
東北 227.2円(同2.6円高、前月同)
関東など 223.3円(同0.4円高、同1.7円安)
首都圏 215.9円(同5.1円安、同0.1円安)
中部 212.3円(同3.0円高、同0.5円安)
関西 201.6円 (同4.0円安、同5.0円安)
中国・四国 218.8円 (前年同月同、前月同)
九州 199.6円 (同16.2円安、同7.5円高)
最も高かったのは北海道で、最も安かった九州との価格差は28.9円であった。
【購入金額および購入量】
10月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は前年同月から大幅に減少
総務省「家計調査」によると、2015年10月の1世帯(2人以上)当たりの砂糖に係る支出金額は、93円(前年同月比5.1%安、前月比1.1%高)となった(
図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、393グラム(同19.3%減、同4.1%減)となった(
図11)。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713