2015/16年度の砂糖生産量はやや減少、輸出量は前年度並みの見込み
LMC Internationalの2015年12月現在の予測によると、2015/16砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、849万ヘクタール(前年度比3.5%減)とやや減少するものの、生産量は6億5000万トン(同2.8%増)と、わずかな増加が見込まれている。しかし、エルニーニョ現象の影響とされる過度な降雨でサトウキビの出穂現象が見られており、産糖量の減少が懸念されることから、砂糖の生産量は3653万トン(同4.3%減)とやや減少、輸出量は2465万トン(同0.9%減)と前年度並みと見込まれている(
表2)。
また、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)
(注1)が発表した2015年4〜11月の生産実績によると、ブラジル中南部地域のサトウキビの生産量は、5億6329万トン(前年同期比1.6%増)とわずかに増加したが、砂糖の生産量は2942万トン(同6.4%減)とかなりの減少となった。これは、過度な降雨により、サトウキビ1トン当たりの産糖量が52.2キログラム(同7.9%減)と減少していることに加え、企業が短期間で利益を回収できるエタノールへの仕向け量を増やしていることが影響しているものと考えられる。
同報告によると、同4〜11月のエタノールの生産量は、2579万キロリットル(前年同期比2.3%増)となっている。また、11月の含水エタノール
(注2)の国内販売量は、144万キロリットル(前年同月比23.1%増)となり、輸出量も含めた4〜11月のエタノールの販売数量は、2027万キロリットル(前年同期比24.9%増)に達している。
2015年9月末に、国営石油公社ペトロブラス社がガソリンの卸売価格を6%引き上げたことで、含水エタノール需要がさらに強まり、11月には、ガソリン価格の7割
(注3)を超えるなど価格は上昇傾向にある。それでもなお、含水エタノール需要が旺盛であることから、政府は、国内企業に需給がひっ迫している無水エタノールの増産を奨励している。
来年度に、ガソリンにかかる国税の燃料税(CIDE)の増税の可能性もあることから、さらなるエタノール需要の増加が予想されている。
(注1)ブラジル全体の砂糖生産量の9割を占める中南部地域を区域としている団体。
(注2)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に得られた水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除きアルコール100%としたもので、ガソリンに混合して利用される。
(注3)一般的なフレックス車のエタノール燃料効率がガソリンの70%程度とされていることから、消費者の購入判断の基準となっている。