2015/16年度の砂糖生産量はやや増加、輸出量はかなり増加の見込み
2015/16砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、39万ヘクタール(前年度比3.2%増)とやや増加と見込まれ、主産地であるクイーンズランド州(以下「QLD州」という)の降雨量不足は続いているものの、生産量は3310万トン(同2.3%増)とわずかに増加と見込まれている(
表7)。砂糖の生産量は480万トン(同4.9%増)とやや増加し、インドネシアや韓国への粗糖の輸出が好調なことから、輸出量は388万トン(同12.9%増)とかなりの増加が見込まれている。
一方、豪州農業資源経済科学局(ABARES)が発表した12月時点の2015/16年度の生産予測によると、砂糖の生産量は480万トン(前年度比5.0%増)、輸出量は348万トン(同7.0%増)と、ともに増加が見込まれている。
国内最大手Wilmar社を含む外資系製糖企業3社は、2017年よりクイーンズランド砂糖公社(以下「QSL」という)
(注1)を介さず、粗糖輸出を行うこととなっている
(注2)。製糖企業優位の契約体制への懸念から、サトウキビ生産者団体は、製糖企業との収益分配に関する交渉権の法制化を、20カ月にわたり要望していた。これを受けて、砂糖産業法の見直しが行われていたが、12月2日にQLD州議会は、同法の改正案を可決し、サトウキビ生産者の要望が認められることとなった。
しかし、豪州製糖協会(ASMC)からは、サトウキビ生産者の収益分配に対する関与は、製糖企業の砂糖産業への投資を抑制するものとし、今後も法改正に反対する意向であることが伝えられている。
(注1)製糖業界が運営している組織。粗糖の輸出および国内販売を行っている。
(注2)製糖企業は、2006年の砂糖産業法の改正により、粗糖の輸出においてQSLを介しての販売か、自社の直接販売かを選択できる。QSLを介することで低利融資やリスクマネージメント、輸出先との調整などのサービスを受けることができるが、近年、豪州に参入している外資系製糖企業のうち、Wilmar社(シンガポール)、MSF社(タイ)、COFCO社(中国)の3社が2017年より、直接販売に移行すると発表している。