2015/16年度の砂糖生産量、輸出量はともにかなり減少の見込み
2015/16砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、511万ヘクタール(前年度比1.5%減)とわずかに減少し、株出しほ場の増加により単収の低下が懸念されることから、生産量は3億5138万トン(同6.0%減)、砂糖の生産量も2804万トン(同8.1%減)と、ともにかなりの減少が見込まれている(
表3)。
インド砂糖製造協会(ISMA)が先ごろ発表した2015年10月〜12月の生産実績によると、砂糖の生産量は精製糖換算で799万トン(前年同期比6.5%増)とかなり増加した。このうち、最大生産地であるマハーラーシュトラ州が338万トン(同3.4%増)とやや増加、ウッタル・プラデーシュ州やカルナータカ州でも、それぞれ183万トン(同8.1%増)、155万トン(同24.7%増)と、ともに増加した(
図3)。これは、国内製糖企業が、新しい輸出促進政策
(注)への期待から圧搾開始期を早めたためと考えられる。
一方、砂糖の輸出量は、247万トン(前年度比9.6%減)とかなりの減少が見込まれている。これは、砂糖の国際価格が下落傾向にある中、国内価格は2015年10月より上昇し、高水準で推移していることから、国内製糖企業が輸出よりも国内供給へと転換を図るとの見方によるものである。
インド政府は、2015年12月に、ガソリンへのエタノール混合率を現行の5%から10%へと引き上げを検討していることを発表した。政府は、大気汚染の問題からバイオ燃料使用を推進しており、国家政策として2017年までにエタノール混合率を20%まで引き上げる目標を掲げていることから、国内製糖企業にエタノール生産を奨励している。そのため、政府は、負債に苦しむ国内製糖企業の収入源となるよう、すでに石油管理会社への販売価格となるエタノール参考卸売価格の設定や糖みつ由来のエタノールに係る付加価値税の免除を実施している。ISMAは、実際にエタノール混合率が引き上げられれば、エタノール供給量は倍増すると予想している。
また、去る1月上旬には、砂糖課税法の改正案が大統領の承認を得たとの発表があった。これにより、国内販売される砂糖への課税額が100キログラム当たり25ルピー(49円(12月末日TTS:1ルピー=1.97円))から200ルピー(394円)に引き上げられることとなり、製糖企業へのサトウキビ代金支払いの補てんの財源に充てられるものとみられている。
(注)インド政府が、負債に苦しむ国内製糖企業に対して新設した救済措置。輸出促進を図るため、2015/16年度の輸出割当数量を400万トンと設定し、過去3年の平均生産量を基に各工場に割り当てる。加えて、輸出割当数量の8割以上を輸出できた国内製糖企業に限り、生産者へ支払う原料代のうち、サトウキビ1トン当たり45ルピー(89円)を補てんすることを発表した。