2015/16年度の砂糖生産量はやや減少、輸出量は前年度並みの見込み
LMC Internationalの2016年2月現在の予測によると(以下、特段の断りがない限り同予測に基づく記述)、2015/16砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、849万ヘクタール(前年度比3.5%減)とやや減少するものの、生産量は6億5000万トン(同2.8%増)と、わずかな増加が見込まれている。しかし、エルニーニョ現象の影響とされる過度な降雨でサトウキビの出穂現象が見られており、産糖量が減少していることから、砂糖の生産量は3637万トン(以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算。同4.8%減)とやや減少するものの、輸出量は2498万トン(同0.4%増)と、レアル安により堅調なため、前年度並みと見込まれている(
表2)。
また、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)
(注1)が発表した2015年4月〜2016年1月の生産実績によると、ブラジル中南部地域のサトウキビの生産量は、5億9987万トン(前年同期比5.2%増)とやや増加したが、砂糖の生産量は3068万トン(同4.0%減)とやや減少となった。これは、過度な降雨により、サトウキビ1トン当たりの産糖量が51.2キログラム(同8.8%減)と減少していることに加え、企業が短期間で利益を回収できるエタノールへの仕向け量を増やしていることが影響しているとみられている。同報告によると、同期間のエタノールの生産量は、2744万キロリットル(同5.4%増)となっている。また、輸出量も含めた同期間のエタノールの販売数量は、2511万キロリットル(同21.4%増)に達している。
しかし、1月の含水エタノール
(注2)の国内販売量は、126万キロリットル(前年同月比2.7%減)とわずかに減少した。これは、現在収穫の端境期にあるため、これまでの旺盛な消費により在庫量が低下し、エタノールの価格が、高騰していることが要因として挙げられる。石油・天然ガス・バイオ燃料監督庁(ANP)によると、1月の含水エタノール小売価格(サンパウロ州)が、1リットル当たり2.60レアル(78円(1月末日TTS:1レアル=30.17円))と、ガソリン小売価格の同3.52レアル(106円)の70%
(注3)を上回っている。このため、含水エタノールのガソリンに対する優位性は低下していると考えられる。
2月初旬に、国立社会経済開発銀行(BNDES)より、融資策(Prorenova)
(注4)における2015年の融資実績が報告された。このうち、サトウキビの生産性向上を目的とする融資の実績は、2014年の18億7100万レアル(561億3000万円)に対し、8億9300万レアル(267億9000万円)にとどまったとの発表があった。2016年の融資限度額はまだ公表されていないが、総額25億レアル(750億円)〜30億レアル(900億円)の間ではないかとみられている。
(注1)ブラジル全体の砂糖生産量の9割を占める中南部地域を区域としている団体。
(注2)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に得られた水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除きアルコール100%としたもので、ガソリンに混合して利用される。
(注3)一般的なフレックス車のエタノール燃料効率がガソリンの70%程度とされていることから、消費者の購入判断の基準となっている。
(注4)サトウキビの新植促進や新規ほ場拡大などを目的に、2012年1月より、政府が講じている融資策。