2015/16年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量は大幅増の見込み
2015/16砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、514万ヘクタール(前年度比0.7%減)とほぼ前年度並みにとどまる上、株出しほ場の増加により単収の低下が懸念されることから、生産量は3億5992万トン(同6.0%減)、砂糖の生産量は2804万トン(同8.1%減)と、ともにかなりの減少が見込まれている(
表3)。
インド砂糖製造協会(ISMA)が先ごろ発表した2015年10月〜2016年2月の生産実績によると、砂糖の生産量は、精製糖換算で1995万トン(前年同期比2.0%増)とわずかに増加した。主要生産地であるウッタル・プラデーシュ州やカルナータカ州は、それぞれ537万トン(同8.2%増)、361万トン(同8.9%増)と、ともにかなり増加した(
図4)。これは、国内製糖企業が、2015/16年度に新設された輸出促進政策
(注)への期待から圧搾開始期を早めたためとみられている。最大生産地であるマハーラーシュトラ州でも、昨年12月までは前年同期を上回るペースで圧搾を行っていたものの、干ばつの影響によりサトウキビの生産量が減少したことで、原料不足に陥り、すでに圧搾を終了させた国内製糖企業もあり、砂糖の生産量は、704万トン(同5.9%減)とやや減少した。
砂糖の輸出量は、国際砂糖価格の上昇に加え、主にミャンマーへの輸出が増えていることなどから、302万トン(前年度比22.3%増)と大幅な増加が見込まれている。
また、マハーラーシュトラ州政府は2月下旬、2015/16年度に生産した砂糖の12%を輸出した製糖企業に限り、サトウキビ購入に係る3%の州税(100キログラム当たり9ルピー(16円(2月末日TTS:1ルピー=1.80円)))を免除すると発表した。これにより、今後、輸出量は、上方修正される可能性もある。
インド政府は、ガソリンへのエタノール混合率を現行の5%から10%へと引き上げる検討をしていることを2015年12月に発表したが、2015年のエタノール混合率が実質3%程度にとどまった現状を受け、2016年2月初旬に、改めてエタノール混合率5%の達成を目指すことを示唆した。政府は、大気汚染の問題からバイオ燃料の使用を推進しており、国家政策として2017年までにエタノール混合率を20%まで引き上げる目標を掲げていることから、国内製糖企業にエタノール生産を奨励している。そのため、政府は、負債に苦しむ国内製糖企業の収入源となるよう、すでに石油管理会社への販売価格となるエタノール参考卸売価格の設定や糖みつ由来のエタノールに係る付加価値税の免除を実施している。また、政府は、さらなる混合率引き上げのため、砂糖生産の副産物であるバガスや稲わらなどからのエタノール生産の奨励も始めている。
(注)インド政府が、負債に苦しむ国内製糖企業に対して新設した救済措置。輸出促進を図るため、2015/16年度の輸出割当数量を400万トンと設定し、過去3年の平均生産量を基に各工場に割り当てる。加えて、輸出割当数量の8割以上を輸出した当該企業に対し、生産者へ支払う原料代のうち、サトウキビ1トン当たり45ルピー(81円)を補?することを発表した。なお、この補?金の財源は、国内販売される砂糖への課税額引き上げ(100キログラム当たり25ルピー(45円)から200ルピー(360円))により、拠出されるものとみられる。