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5.日本の主要輸入先国の動向(2016年3月時点予測)

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最終更新日:2016年4月11日

5.日本の主要輸入先国の動向(2016年3月時点予測)

2016年4月

 近年、日本の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.14−110)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであるものの、2015年の主要輸入先国ごとの割合は、タイが71.8%(前年度比13.9ポイント増)、豪州が21.8%(同8.5ポイント減)、グアテマラが6.3%(同4.6ポイント増)と、この3カ国でほぼ全量を占めている(財務省「貿易統計」)。

 タイおよび豪州は毎月、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回はグアテマラを報告する。
タ イ
2015/16年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量は大幅増の見込み
 2015/16砂糖年度(10月〜翌9月)は、前年度に引き続きコメからの転換が推進されているため、サトウキビの収穫面積は151万ヘクタール(前年度比1.1%増)とわずかに増加するものの、生産量は1億トン(同5.6%減)と、やや減少が見込まれている(表6)。

 また、砂糖の生産量も、サトウキビ生育時期の降雨不足および成熟時期の過度な降雨によって産糖量の低下が見られることから、1097万トン(同8.9%減)とかなりの減少が見込まれている。

 他方、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)(注1)は、2015/16年度の砂糖の1月時点生産予測を、当初予測の1160万トンから1000万トンに下方修正した。これは、2015年から続いている干ばつの影響により、産糖量の低下が懸念されるためとしている。

 砂糖の輸出量は、インドネシアへの粗糖の輸出に加え、カンボジア、ミャンマーおよび中国への精製糖の輸出が好調なことから、971万トン(同18.6%増)と大幅な増加が見込まれている。

 一方で、OCSBは、2016年の輸出量を、前年から2割下回る、710万トンと予測している。これは、2015/16年度の砂糖生産量が当初の見通しより下方修正されたことに加え、観光シーズンの盛り上がりなどにより国内需要がさらに高まっていることによるものとしている。

 なお、OCSBは2月末に、国内供給向け砂糖(A割当)の販売割当数量(注2)について、245万トンから250万トンへの引き上げを承認した。

 現地報道によると、エネルギー省は3月初旬、2018年までにE10オクタン価91(エタノール混合率10%のレギュラーガソリン)を、2027年までにE10オクタン価95(同10%のハイオクガソリン)をそれぞれ廃止する考えを明らかにした。これにより、エタノール混合率の高いE20(同20%)やE85(同85%)の燃料に絞り、エタノールの消費拡大を図るとしている。

 また、タイの生産者に支払われる補てん金は不当として、ブラジル政府が、WTOにタイ政府を提訴する考えを3月初旬に明らかにしたことを受けて、サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)は、当該補てん金の財源は、「サトウキビ・砂糖基金」(注3)であり、政府は関与していないことから、貿易協定を順守していると主張している。

(注1)タイのサトウキビおよび砂糖関連政策の執行機関である3省(工業省(製糖関係)、農業協同組合省(原料作物関係)、商務省(砂糖の売買関係))とサトウキビ生産者および製糖企業の代表で構成され、工業省内に設置された「サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)」の事務局。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当制度が行われている。
(注3)サトウキビ生産者と製糖企業からの拠出金や国内販売時に上乗せされる砂糖1キログラム当たり5バーツ(16円(2月末日TTS:1バーツ=3.26円))を基金へ拠出し、財源としている。

 
豪 州
2015/16年度の砂糖生産量はかなり増加、輸出量は大幅増の見込み
 2015/16砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、41万ヘクタール(前年度比9.1%増)とかなりの増加が見込まれ、主産地であるクイーンズランド州の特に北部が生育時期の天候に恵まれたことから、生産量も3480万トン(同7.5%増)とかなりの増加が見込まれている(表7)。

 これにより、砂糖の生産量は510万トン(同12.2%増)とかなり増加し、インドネシアや韓国への粗糖の輸出が好調なことから、輸出量は417万トン(同22.1%増)と大幅な増加が見込まれている。

 3月1日に、豪州農業資源経済科学局(ABARES)は、2015/16年度および2016/17年度の生産予測を公表した。これによると、2015/16年度の砂糖の生産量は、降雨不足などの影響によりサトウキビの単収は低下するものの、480万トン(同5.0%増)と増加が見込まれている。また、砂糖の輸出量は385万トン(同4.7%増)と増加し、輸出額は、国際砂糖価格が再び上昇傾向に転じていることや豪ドル安の進行により、17億6600万豪ドル(1465億7800万円(2月末日TTS:1豪ドル=82.95円)、同7.5%増)に上ると見込まれている。2016/17年度の砂糖の生産量は、サトウキビ栽培面積の増加や単収の向上により、508万トン(前年度比5.9%増)とやや増加が予想されている。輸出量も400万トン(同4.1%増)と増加し、輸出額は、18億8300万豪ドル(1562億8900万円、同6.6%増)に上ると予想されている。

 また、去る2月4日に、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の署名が行われ、2015年10月に大筋合意した協定の内容が確定することとなった。
 
 
グアテマラ
2015/16年度の砂糖生産量はやや減少、輸出量はかなり減少の見込み
 2015/16砂糖年度(10月〜翌9月)は、サトウキビの収穫面積が27万ヘクタール(前年度比増減なし)、生産量は2742万トン(同3.0%減)と見込まれている(表8)。

 過度の降雨の影響により圧搾開始が遅れたことから、砂糖の生産量は308万トン(同3.9%減)とやや減少と予想されている。

 砂糖の輸出量は減産に加え、主要輸出先国である韓国への輸出が、同国の自由貿易協定(FTA)締結国である豪州やタイ(ASEANとして)の台頭により縮小していることなどから、228万トン(同9.9%減)とかなりの減少が見込まれている。
 
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