2015/16年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量は大幅増の見込み
2015/16砂糖年度(10月〜翌9月)は、前年度に引き続きコメからの転換が推進されているため、サトウキビの収穫面積は151万ヘクタール(前年度比1.1%増)とわずかに増加するものの、生産量は1億トン(同5.6%減)と、やや減少が見込まれている(
表6)。
また、砂糖の生産量も、サトウキビ生育時期の降雨不足および成熟時期の過度な降雨によって産糖量の低下が見られることから、1097万トン(同8.9%減)とかなりの減少が見込まれている。
他方、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)
(注1)は、2015/16年度の砂糖の1月時点生産予測を、当初予測の1160万トンから1000万トンに下方修正した。これは、2015年から続いている干ばつの影響により、産糖量の低下が懸念されるためとしている。
砂糖の輸出量は、インドネシアへの粗糖の輸出に加え、カンボジア、ミャンマーおよび中国への精製糖の輸出が好調なことから、971万トン(同18.6%増)と大幅な増加が見込まれている。
一方で、OCSBは、2016年の輸出量を、前年から2割下回る、710万トンと予測している。これは、2015/16年度の砂糖生産量が当初の見通しより下方修正されたことに加え、観光シーズンの盛り上がりなどにより国内需要がさらに高まっていることによるものとしている。
なお、OCSBは2月末に、国内供給向け砂糖(A割当)の販売割当数量
(注2)について、245万トンから250万トンへの引き上げを承認した。
現地報道によると、エネルギー省は3月初旬、2018年までにE10オクタン価91(エタノール混合率10%のレギュラーガソリン)を、2027年までにE10オクタン価95(同10%のハイオクガソリン)をそれぞれ廃止する考えを明らかにした。これにより、エタノール混合率の高いE20(同20%)やE85(同85%)の燃料に絞り、エタノールの消費拡大を図るとしている。
また、タイの生産者に支払われる補てん金は不当として、ブラジル政府が、WTOにタイ政府を提訴する考えを3月初旬に明らかにしたことを受けて、サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)は、当該補てん金の財源は、「サトウキビ・砂糖基金」
(注3)であり、政府は関与していないことから、貿易協定を順守していると主張している。
(注1)タイのサトウキビおよび砂糖関連政策の執行機関である3省(工業省(製糖関係)、農業協同組合省(原料作物関係)、商務省(砂糖の売買関係))とサトウキビ生産者および製糖企業の代表で構成され、工業省内に設置された「サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)」の事務局。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当制度が行われている。
(注3)サトウキビ生産者と製糖企業からの拠出金や国内販売時に上乗せされる砂糖1キログラム当たり5バーツ(16円(2月末日TTS:1バーツ=3.26円))を基金へ拠出し、財源としている。