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平成27年産てん菜の生産状況について

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最終更新日:2016年6月10日

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平成27年産てん菜の生産状況について

2016年6月

北海道農政部生産振興局農産振興課

【要約】

 平成27年産のてん菜は、減少傾向であった作付面積が増加に転じるとともに、生育が順調に進み、前年を上回る生産量になった。また、平均根中糖分も過去10カ年の中で、21年産に次いで高水準であった20年産と同程度になった。
 

1.最近のてん菜の作付動向

 てん菜は、北海道の畑作経営の輪作体系を維持する上で基幹的な作物であるとともに、てん菜糖業は地域経済の維持・発展に重要な役割を担っており、平成12年以前の作付面積は7万ヘクタール前後と安定して推移していた。

 近年は生産者の高齢化や経営規模の拡大に伴う労働力不足、他作物への転換、天候不順の影響により不作が続いていたことなどによって、作付面積は減少傾向で推移していたが、11年ぶりに増加に転じた(図1)。
 
 

2.27年産てん菜の生育概況

 播種作業は平年並みに行われ、移植作業も4月中旬から5月上旬の気温が高く、日照も多かったことから順調に進み、移植期は平年より6日早くなった。

 5月中旬以降も気温が高めに推移したことから平年を上回る生育となり、8月中旬以降は、おおむね気温が低く、日照が少なめに推移し、根中糖分の上昇が進んだ。

 10月上旬は、台風23号から変わった温帯低気圧の影響で大雨となったが、生育期間を通じて平年を上回る生育で推移し、収量・糖分とも良好な結果となった。

 病害虫の発生状況について、ヨトウガは平年よりやや早く発生したが、発生量は少なめであった。褐斑病は、8月中旬以降の気温が低めに推移したため、発生量はやや少なかった。また、西部萎黄病は、対策の徹底により発生が減少し、平年並みとなった。
 
 

3.27年産てん菜の生産状況

 平成27年産てん菜の作付面積は、前年産と比べ1448ヘクタール増加し5万8682ヘクタール、10アール当たり収量は457キログラム増加し6689キログラム(平年比111%)、生産量は35万9000トン増加し392万5000トン(前年比110%)となった。また、平均根中糖分は17.4%と、前年産より0.2ポイント向上し、2年連続で17%を超える高い糖分となった(表2図2)。
 
 
 
 品種別の作付構成は、「パピリカ」(23.1%)、「リッカ」(13.1%)、「アンジー」(11.8%)、「リボルタ」(11.3%)、「あままる」(9.1%)の順となっており(表3)、前年より面積が増加した品種は、褐斑病の抵抗性が優れる「リボルタ」および「アンジー」、糖量の多い「パピリカ」および「あままる」などとなっており、近年認定された優良品種への転換が進んでいる。
 
 
 てん菜の作付戸数は道南地域では平成27年に微増となったが、全道的には減少傾向が続いており、27年は7352戸となり、10年前(平成18年)と比べ2498戸減少(25%減少)となった。また、1戸当たりの作付面積は、27年は1戸当たり8.0ヘクタールと、10年で1.2ヘクタール増加した(表4)。このような作付規模の拡大や労働力不足などに対応するため、近年では、春の育苗・移植作業に要する労働力を大幅に削減できる直播栽培に取り組む地域も増加しており、27年は前年より1274ヘクタール増加の1万1388ヘクタール(作付面積の19.4%)となった(図3)。
 
 
 

4.てん菜糖の生産状況

 北海道内の製糖工場は、3社8工場が操業している。平成27年産原料処理量は392万5000トンで前年比110%となり、また前年産よりも歩留まりが高く、砂糖生産量は67万7000トンで前年比111%であった(表5)。
 
 

おわりに

 平成26年産から経営所得安定対策における畑作物の直接支払交付金の見直しによりてん菜の交付単価が引き上げられた中、26年産と27年産てん菜の収量・根中糖分が2年連続して平年を上回ったことで、生産者の作付意欲は向上している。

 しかしながら、砂糖需要の低迷をはじめ、てん菜・てん菜糖をめぐる情勢は変化していることから、輪作体系上重要な基幹作物として、さらには地域経済への影響も考慮し、てん菜の作付けの安定化を図ることが重要である。

 このことから、今後も生産者団体、製糖業者、行政などの関係者が連携しながら、低コストで省力的な持続的生産体制の確立や、糖量の多い耐病性品種の導入などの取り組みの推進が必要である。
 
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