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平成27年度甘味料の需要実態調査の概要〜異性化糖、ソルビトール調製品、ミルク調製品〜

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最終更新日:2016年6月10日

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平成27年度甘味料の需要実態調査の概要〜異性化糖、ソルビトール調製品、ミルク調製品〜

2016年6月

調査情報部

【要約】

 異性化糖は、「砂糖と違った甘みを出すため」「作業の効率化のため」などの理由から調査対象企業の7割で使用され、中でも果糖ぶどう糖液糖は特に飲料で多く使用されていた。加糖調製品は、ソルビトール調製品にあってはコスト削減のために砂糖の代替として使用する事例、ミルク調製品にあってはコスト削減に加え、乳原料の安定調達のために使用する事例が多く見られた。
 

はじめに

 当機構では、甘味料の需要実態を把握するため、菓子類、飲料、乳製品、パン、調味料などを製造する食品製造企業52社に対して、平成27年(1〜12月)における甘味料(砂糖、液糖、黒糖(国内産)、異性化糖、加糖調製品、人工甘味料など)の使用状況について、選択回答式によるアンケート調査を実施した。

 調査項目は、使用している甘味料ごとに、「使用製品」「使用理由」「仕入れ量」「仕入れ量の動向」「今後の仕入れ見込み」「仕入れ価格」「仕入れ価格の動向」「品質面および調達面に関する評価」などとした。

 本稿では前月号の砂糖、液糖、黒糖(国内産)に続き、異性化糖(ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖)、ソルビトール調製品およびミルク調製品の調査結果を報告し、次号以降でココア調製品、加糖あん、人工甘味料などの調査結果を報告する。
 

1. わが国における異性化糖の需要動向

 農林水産省によると、異性化糖の需要量は年度によって増減があるものの、80万トン前後で推移しており、平成27砂糖年度(10月〜翌9月)は81万2000トン(前年度比2.5%増)とわずかに増加する見通しである(図1)。

 



 


 平成26砂糖年度における異性化糖の製品用途別販売割合は、清涼飲料向けが全体の49.6%と最も多く、次いで乳性飲料向け同7.9%、酒類向け同7.7%、調味料向け同7.7%、パン類向け同5.4%、菓子類向け同2.2%と、ほとんどが食品向けに販売されている(図2)。特に清涼飲料、乳性飲料、酒類といった飲料向けが販売量全体の65.2%を占めており、飲料製造企業における消費動向が異性化糖の需要動向に大きな影響を与えると言える。

 
 

2.異性化糖の需要実態

 異性化糖は日本農林規格(JAS)において、果糖の含有率によって、ぶどう糖果糖液糖(50%未満のもの)、果糖ぶどう糖液糖(50%以上90%未満のもの)、高果糖液糖(90%以上のもの)に分類される。本調査ではこれらの分類のうち、使用量の多いぶどう糖果糖液糖と果糖ぶどう糖液糖について調査を行った。

 異性化糖を使用していたのは調査対象企業52社のうち38社で調査対象企業の7割を占めた。分類別の内訳を見ると、ぶどう糖果糖液糖を使用していたのが20社、果糖ぶどう糖液糖を使用していたのが27社で、両方を使用していたのは9社であった。分類ごとの需要実態は以下の通りである。
 

(1)ぶどう糖果糖液糖

ア.使用状況
 ぶどう糖果糖液糖を使用していたのは52社のうち20社で調査対象企業の約4割を占めた。製品分類別の使用企業数(延べ数)は乳製品が5社と最も多く、次いで飲料4社、パン4社、菓子類3社、調味料3社、その他食品2社であった。各分類の主な使用製品を見ると、乳製品は発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、アイスクリームなど、飲料は清涼飲料、酒類(ワイン、リキュール類)など、菓子類はクッキー、ビスケット、焼き菓子など、調味料はしょうゆ、たれ、ソース、ドレッシング、ケチャップなど、その他食品は漬物、カレールー、総菜などであった。

 使用理由(延べ数)は、「作業の効率化のため」が11社と最も多く、次いで「砂糖と違った甘みを出すため」9社、「コスト削減のため」6社、「低温下で甘みを引き出すため」4社、「甘みを抑えるため」1社であった(図3)。


 



 

イ.調達状況

(ア)仕入れ量
 平成27年(1〜12月)における仕入れ量は、「1000〜4999トン」5社、「5000〜9999トン」5社、「100トン未満」3社、「100〜999トン」3社、「1万トン以上」1社であった(図4)。使用量の多い企業の製品分類を見ると、「5000〜9999トン」はパン2社、乳製品1社、飲料・乳製品1社、調味料1社、「1万トン以上」は乳製品(乳酸菌飲料)であった。

 


 


 


(イ)仕入れ量の動向
 平成27年における仕入れ量の前年からの動向は、「横ばい」が10社と最も多く、次いで「やや減少」5社、「やや増加」4社、「大幅に減少」1社であった(図5)。「やや増加」と回答した企業の製品分類は乳製品2社、パン1社、飲料1社で、増加の理由はすべての社が「使用製品の製造量の増加」であった。
「減少」と回答した企業の製品分類は、「やや減少」は菓子類2社、飲料1社、パン1社、その他食品(漬物)1社で、「大幅に減少」はパンで、減少の理由は4社が「使用製品の製造量の減少」であった。

 

 



 

(ウ)今後の仕入れ見込み
 今後の仕入れ見込みは、「横ばい」が14社と最も多く、「やや増加」4社、「やや減少」2社であった(図6)。「やや増加」と回答した企業の製品分類は乳製品2社、飲料1社、パン1社で、増加の理由はすべての社が「使用製品の製造量の増加」であった。「やや減少」と回答した企業の製品分類は飲料1社、乳製品1社で、減少の理由は「使用製品の製造量の減少(乳製品)」であった。

 


 




 

(エ)仕入れ価格の動向
 1キログラム当たりの仕入れ価格(平成28年1月時点)について8社から回答が得られた。回答企業の価格帯は、「100円未満」7社、「100〜109円」1社であった。同月のぶどう糖果糖液糖(果糖42%もの)の日経相場は1キログラム当たり131〜132円で、回答企業の仕入れ価格は日経相場よりも低価格であった。

 平成27年の仕入れ価格の動向は、「横ばい」が9社と最も多く、次いで「やや下落」5社、「大幅に下落」1社であった(図7)。同年のぶどう糖果糖液糖の日経相場は、年間を通じて同131〜132円で推移したことから、仕入れ価格に大きな変動はなく「横ばい」と回答した企業が多かったとみられる。また、「やや下落」と回答した1社と、「大幅に下落」の理由は、「仕入先との交渉による」であった。

 
 



 


ウ.品質面および調達面に関する評価
 品質面および調達面について「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階で評価した。品質面について18社から回答が得られ、「満足」7社、「やや満足」4社、「普通」7社と、すべての社が「普通」以上の評価であった。また、調達面について17社から回答が得られ、「満足」4社、「やや満足」2社、「普通」9社、「やや不満」1社、「不満」1社であった。「やや不満」の理由は、「ローリー車不足により夏場の配送に不安があるため(乳製品)」であった。

エ.砂糖への切り替えの意向
 砂糖への切り替えの意向について16社から回答が得られ、「意向あり」1社、「意向なし」15社で、「意向あり」と回答したのはパン製造企業であった。「意向なし」と回答した企業に対し、砂糖への切り替えの条件を尋ねたところ、「製品の特性に合わないので切り替えは困難」が8社と最も多く、次いで「砂糖価格の低下」2社、「砂糖の品質の改善」1社であった。この他、「液糖タンクから原料を供給しているため切り替えは困難(パン)」との回答もあった。

(2)果糖ぶどう糖液糖

ア.使用状況
 果糖ぶどう糖液糖を使用していたのは52社のうち27社で調査対象企業の約5割を占めた。製品分類別の使用企業数(延べ数)は、飲料が13社と最も多く、次いで乳製品7社、菓子類3社、調味料3社、パン2社、その他食品6社であった。

 各分類の主な使用製品を見ると、飲料は炭酸飲料、果汁飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、チューハイ、ワインなど、乳製品は乳飲料、乳酸菌飲料、アイスクリームなど、菓子類は錠菓、グミ、ビスケット、ゼリーなど、調味料はケチャップ、ドレッシング、しょうゆ、たれなど、その他食品はスープ、水産加工品、総菜などであった。

 使用理由(延べ数)は、「砂糖と違った甘みを出すため」が15社と最も多く、次いで「作業の効率化のため」12社、「コスト削減のため」12社、「低温下で甘みを引き出すため」4社であった(図8)。この他、「甘さを抑えるため(菓子類)」「食感を出すため(菓子類)」が挙げられた。

 


 


イ.調達状況

(ア)仕入れ量

 平成27年(1〜12月)における仕入れ量は、「1000〜4999トン」が7社と最も多く、次いで「100〜999トン」5社、「100トン未満」4社、「1万トン以上」4社、「5000〜9999トン」3社であった(図9)。仕入れ量の多かった企業の製品分類は、「5000〜9999トン」は飲料1社、パン1社、飲料・乳製品1社、「1万トン以上」は飲料3社、乳製品1社であった。「1万トン以上」と回答した飲料2社の仕入れ量はそれぞれ5万トン以上であった。

 


 


(イ)仕入れ量の動向
 平成27年における仕入れ量の前年からの動向は、「横ばい」が13社と最も多く、次いで「やや減少」8社、「大幅に増加」2社、「やや増加」2社、「大幅に減少」1社であった(図10)。「増加」と回答した企業の製品分類を見ると、「やや増加」は飲料1社、乳製品1社で、「大幅に増加」は飲料1社、菓子類1社であった。増加の理由は、すべての社が「使用製品の製造量の増加」であった。

 「減少」と回答した企業の製品分類を見ると、「やや減少」は飲料4社、乳製品2社、飲料・乳製品1社、菓子・その他食品1社で、「大幅に減少」は飲料であった。「やや減少」の理由は、「使用製品の製造量の減少」6社、「天候不順のため(飲料)」1社であった。平成27年はお盆以降の夏後半が天候不順であったことから飲料の製造量に影響があったとみられる。「大幅に減少」の理由は、「他の甘味料への切り替え」であった。


 



(ウ)今後の仕入れ見込み
 今後の仕入れ見込みは、「横ばい」が17社と最も多く、次いで「やや増加」4社、「やや減少」4社、「大幅に増加」1社であった(図11)。「増加」と回答した企業の製品分類を見ると、「やや増加」は飲料2社、飲料・乳製品1社、パン1社、「大幅に増加」は菓子類であった。増加の理由は、いずれも「使用製品の製造量の増加」であった。

 「やや減少」と回答した企業の製品分類を見ると、飲料3社、乳製品1社であった。「やや減少」の理由は、2社が「使用製品の製造量の減少」を、1社(飲料)が「他の甘味料への切り替え」を挙げた。


 


 


(エ)仕入れ価格の動向
 1キログラム当たりの仕入れ価格(平成28年1月時点)について13社から回答が得られた。回答企業の価格帯は、「100円未満」9社、「100〜109円」3社、「110〜119円」1社であった。同月の果糖ぶどう糖液糖(果糖55%)の日経相場は、1キログラム当たり137〜138円で、回答企業の仕入れ価格は日経相場よりも低価格であった。

 平成27年の仕入れ価格の動向は、「横ばい」が17社と最も多く、次いで「やや下落」8社であった(図12)。「やや下落」の理由は、「相場の変動」5社、「仕入先との交渉による」3社であった。同年の果糖ぶどう糖液糖の日経相場は、年間を通じて同137〜138円で推移したことから、仕入れ価格に大きな変動はなく「横ばい」と回答した企業が多かったとみられる。

 



 


ウ.品質面および調達面に関する評価
 品質面および調達面について「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階で評価した。品質面は「満足」15社、「やや満足」4社、「普通」8社と、すべての社が「普通」以上の評価であった。また、調達面は「満足」14社、「やや満足」2社、「普通」10社、「不満」1社であった。

エ.砂糖への切り替えの意向
 砂糖への切り替えの意向について22社から回答が得られ、「意向なし」20社、「条件が合えば検討する」2社で、「意向あり」と回答した企業はなかった。「意向なし」「条件が合えば検討する」と回答した企業に対し、砂糖への切り替えの条件を尋ねたところ、「製品の特性に合わないので切り替えは困難」が7社と最も多かった。この他、「砂糖価格の低下」4社、「商品コンセプトとの合致」1社などが挙げられた。また、「製品によって、砂糖と果糖ぶどう糖液糖を使い分けている(スープ)」との回答も見られた。

 

3. ソルビトール調製品の需要実態

 ソルビトール調製品は、ソルビトール(ブドウ糖を還元して製造される糖アルコール)と砂糖などを混合したものである。

 財務省「貿易統計」によると、ソルビトール調製品の輸入量は増加傾向で推移しており、平成27年は11万8559トン(前年比1.7%増)と、わずかに増加している(図13)。主な輸入先国はタイと韓国であり、27年の輸入量はタイ6万2667トン、韓国5万5892トンである。



 

(1)使用状況

 ソルビトール調製品を使用していたのは52社のうち14社で、調査対象企業の約3割を占めた。製品分類別の使用企業数(延べ数)は菓子類が10社と最も多く、次いでパン3社、その他食品2社であった。各分類の主な使用製品を見ると、菓子類はキャンディ、グミ、ビスケット、和菓子、洋菓子など、その他食品は総菜、加工食品などであった。

 使用理由(延べ数)は、「コスト削減のため」が11社と最も多く、次いで「製品の特性に合うため」3社、「調製作業の効率化のため」3社と、ソルビトール調製品が主にコスト削減のために砂糖の代替として使用されていることがうかがえる(図14)。


(2)調達状況

ア.仕入れ量
 平成27年(1〜12月)における仕入れ量は、「100〜499トン」が5社と最も多く、次いで「500〜999トン」3社、「100トン未満」2社、「1000トン以上」1社であった(図15)。仕入れ量の多かった企業の製品分類を見ると、「500〜999トン」はいずれも菓子類で、「1000トン以上」はパンであった。

 回答が得られた9社における原産国(延べ数)はタイ6社、韓国6社で、3社が両国産を併用していた。

 


 


イ.仕入れ量の動向
 平成27年における仕入れ量の前年からの動向は、「横ばい」5社、「やや減少」5社、「やや増加」2社であった(図16)。「やや増加」と回答した企業の製品分類はいずれも菓子類で、増加の理由は「使用製品の製造量の増加」であった。「やや減少」と回答した企業の製品分類は菓子類2社、パン1社、菓子類・パン1社、その他食品1社で、減少の理由は「使用製品の製造量の減少」3社、「商品構成の変更(菓子類)」1社、「砂糖への切り替え(菓子類)」1社であった。

 


 


ウ.今後の仕入れ見込み
 今後の仕入れ見込みは、「横ばい」が8社と最も多く、次いで「やや増加」2社、「やや減少」1社であった(図17)。「やや増加」と回答した企業の製品分類はいずれも菓子類で、増加の理由は「使用製品の製造量の増加」であった。「やや減少」と回答した企業の製品分類はその他食品(総菜)で、減少の理由は「使用製品の製造量の減少」であった。

 



エ.仕入れ価格の動向
 1キログラム当たりの仕入れ価格(平成28年1月時点)について5社から回答が得られた。回答企業の価格帯は「120〜139円」が4社、「140〜159円」が1社であった。

 平成27年の仕入れ価格の動向は、「やや上昇」6社、「横ばい」5社であった(図18)。「やや上昇」の理由は、「相場の変動による」3社、「為替の変動による」2社であった。同年のソルビトール調製品の輸入価格は、1キログラム当たり84円(前年比2.8%高)とわずかに上昇したことから、「やや上昇」と回答した企業が多かったとみられる。

 
 



 

(3)品質面および調達面に関する評価

 品質面および調達面について「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階で評価した。品質面について12社から回答が得られ、「満足」5社、「普通」7社と、すべての社が「普通」以上の評価であった。また、調達面について11社から回答が得られ、「満足」3社、「普通」7社、「不満」1社であった。不満の理由は「円安への対策が必要であるため」であった。
 

(4)砂糖への切り替えの意向

 砂糖への切り替えの意向について12社から回答が得られ、「意向なし」7社、「条件が合えば検討する」5社で、「意向あり」と回答した企業はなかった。「条件が合えば検討する」と回答した企業の製品分類はいずれも菓子類であった。「意向なし」「条件が合えば検討する」と回答した企業に対し、砂糖への切り替え条件を尋ねたところ、「砂糖価格の低下」が5社と最も多く、価格次第ではソルビトール調製品から砂糖への切り替えが進むとみられる。この他、2社から「製品の特性に合わないので切り替えは困難」との回答があった。
 

4.ミルク調製品の需要実態

 ミルク調製品は砂糖と全粉乳または脱脂粉乳などを混合したものである。財務省「貿易統計」によると、ミルク調製品の輸入量は平成21年以降年々増加しており、27年は15万7841トン(前年比5.0%増)とやや増加した(図19)。主な輸入先国はシンガポール、韓国、豪州、ニュージーランドで、この4カ国で輸入量の9割以上を占めている。この他、タイ、マレーシア、米国など、27年における輸入先国は14カ国にのぼる。



 

(1)使用状況

 ミルク調製品を使用していたのは、52社のうち22社で調査対象企業の約4割を占めた。製品分類別の使用企業数(延べ数)は、乳製品が9社と最も多く、次いで菓子類8社、飲料7社、パン3社、調味料1社、その他食品2社であった。

 各分類の主な使用製品を見ると、乳製品はアイスクリーム、ヨーグルト、乳飲料、練乳など、菓子類はチョコレート、クッキー、生洋菓子など、飲料はコーヒー飲料、紅茶飲料など、調味料はドレッシング、その他食品はスープ、加工食品であった。

 使用理由(延べ数)は「乳原料の安定調達のため」「コスト削減のため」がそれぞれ16社と最も多く、次いで「製品の特性に合うため」3社、「調製作業の効率化のため」2社であった(図20)。ソルビトール調製品と同様にコスト削減のために、砂糖の代替として使用する事例や、近年、国内の脱脂粉乳などの乳原料の価格が上昇傾向にあることなどから、脱脂粉乳などの乳原料の安定調達を目的として使用する事例が多く見られた。



 

(2)調達状況

ア.仕入れ量
 平成27年(1〜12月)における仕入れ量は、「1000トン未満」が9社と最も多く、次いで「1万トン以上」5社、「1000〜4999トン」3社、「5000〜9999トン」2社であった(図21)。「1万トン以上」と回答した企業の製品分類は乳製品2社、パン1社、菓子類・飲料・乳製品1社、菓子類・乳製品1社であった。

 回答が得られた16社における原産国(延べ数)はシンガポールが12社と最も多く、次いで韓国3社、豪州3社、ニュージーランド2社であった。

 


 


イ.仕入れ量の動向
 平成27年における仕入れ量の前年からの動向は、「横ばい」が9社と最も多く、次いで「やや増加」6社、「大幅に増加」3社、「やや減少」3社であった(図22)。「やや増加」の理由は「使用製品の製造量の増加」5社、「果糖ぶどう糖液糖からの切り替え(菓子類・飲料・乳製品)」1社であった。「大幅に増加」の理由は「使用製品の製造量の増加(菓子類・乳製品)」1社、「新商品に採用したため(菓子類・飲料)」1社、「コスト削減で液糖から切り替えたため(飲料)」1社であった。

 
 



 

ウ.今後の仕入れ見込み
 今後の仕入れ見込みは、「横ばい」が13社と最も多く、次いで「やや増加」6社であった(図23)。「やや増加」と回答した企業の製品分類は乳製品3社、飲料1社、菓子類・乳製品1社、菓子類・飲料1社で、増加の理由はすべての社が「使用製品の製造量の増加」であった。

 
 


 


エ.仕入れ価格の動向
 1キログラム当たりの仕入れ価格(平成28年1月時点)について12社から回答が得られた。回答企業の価格帯は、「200〜299円」が6社と最も多く、次いで「300〜399円」3社、「400円以上」2社、「100〜199円」1社であった。

 平成27年の仕入れ価格の動向は、「やや下落」が8社と最も多く、次いで「横ばい」5社、「やや上昇」3社、「大幅に下落」2社と、回答企業の半数以上で仕入れ価格の下落が見られた(図24)。同年におけるミルク調製品の輸入価格は、1キログラム当たり190円(前年比14.0%安)と、かなり下落したことから回答企業の仕入れ価格も下落したとみられる。



 





 

(3)品質面および調達面に関する評価

 品質面および調達面について「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」の5段階で評価した。品質面について19社から回答が得られ、「満足」6社、「やや満足」5社、「普通」8社と、すべての社が「普通」以上の評価であった。また、調達面について17社から回答が得られ、「満足」6社、「やや満足」2社、「普通」8社、「不満」1社であった。「不満」の理由は、「円安への対策が必要であるため」であった。
 

(4)砂糖への切り替えの意向

 砂糖への切り替えの意向について18社から回答が得られ、「意向なし」12社、「条件が合えば検討する」6社で、「意向あり」と回答した企業はなかった。「意向なし」「条件が合えば検討する」と回答した企業に砂糖への切り替えの条件を尋ねたところ、「国内乳原料の安定調達」が9社と最も多く挙げられた。中には「従来、砂糖を使用していたが、乳原料の安定調達が困難になったためミルク調製品に切り替えた」との声もあった。この他、切り替えの条件として「砂糖価格の低下」4社、「商品コンセプトとの合致」1社が挙げられた。また、2社からは「製品の特性に合わないので切り替えは困難」との回答があった。
 

おわりに

 異性化糖はぶどう糖果糖液糖および果糖ぶどう糖液糖ともに、コスト削減のために砂糖の代替として使用する事例も見られたが、作業の効率化のため、砂糖と違った甘みを出すため、低温下で甘みを引き出すためなど、異性化糖の性質を生かした使用事例がより多く見られた。砂糖への切り替えについては、製品の特性に合わないので切り替えは困難であるとの意見が多く、異性化糖がさまざまな食品において甘味料として定着していることがうかがえる。

 一方、加糖調製品はコスト削減のために砂糖の代替として使用している事例が多く、特にソルビトール調製品では調査対象企業の約8割を占めた。これらの企業からは砂糖への切り替えの条件として、砂糖価格の低下が挙げられており、価格次第ではソルビトール調製品から砂糖への切り替えが進むとみられる。ミルク調製品については、乳原料の安定調達のために使用する事例も多く、砂糖への切り替えについては砂糖価格の低下だけではなく、国内における乳原料の安定調達が条件になっている。
 

 最後にお忙しい中、本調査にご協力いただいた企業の皆さまに、改めて厚く御礼申し上げます。
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713