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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2016年8月10日

砂糖類の国内需給

2016年8月

調査情報部

1. 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。6月に「平成27砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第4回)」を公表した。その概要は以下の通りである。

 

(1)砂糖の消費量
 平成27砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、197万1000トン(前年度比1.3%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の消費量は近年の消費動向を基に、景気はこのところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いていることなどを踏まえ、193万5000トン(同1.2%増)と見通している。含みつ糖の消費量は、近年の消費動向などを勘案し、3万5000トン(同2.9%増)と見通している。
 
(2)砂糖の供給量
 27砂糖年度の砂糖の供給量は、198万5000トン(同0.5%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖が196万6000トン(同0.4%増)、含みつ糖が1万9000トン(同11.8%増)と見通している。国内産糖の供給量の見通しは、てん菜については、26年産の豊作基調を背景に生産者の生産意欲が高まったことなどにより、作付面積が前年産に比べて2.5%(約1400ヘクタール)増加したこと、平均気温は平年並みで寒暖差もあったことから、根重・糖度ともに順調に推移し、製糖作業も順調に進んだことから、産糖量は67万7000トン(前年産比11.3%増)、供給量は67万6000トン(精製糖換算。前年度比11.4%増)と見通している。

 サトウキビについては、近年の不作からの脱却に向けた関係者一体となった取り組みなどにより収穫面積の減少傾向に歯止めがかかり、前年産に比べて2.2%(約500ヘクタール)増加したこと、長雨や日照不足などにより、生育が大幅に遅延している地域や、台風被害が発生した地域はあるものの、全体としてサトウキビ原料が増加したことから、産糖量は13万5000トン(前年産比5.5%増)、供給量は12万9000トン(精製糖換算。前年度比5.7%増)と見通している。この結果、国内産分みつ糖の供給量は80万5000トン(同10.4%増)とかなりの程度増加する見通しである。

(3)異性化糖の需給
 平成27砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、82万1000トン(前年度比3.7%増)と見通している。また、異性化糖の供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。

 

  

  

2. 異性化糖の移出動向

6月の移出数量は前年同月からやや減少
 2016年6月の異性化糖の移出数量は、8万7203トン(前年同月比4.2%減、前月比6.1%増)となった(図1)。
 
 6月の規格別の移出量は、次の通りであった(図2)。

果糖含有率40%未満   389トン
 (前年同月比7.1%減、前月比2.8%減)
同40%以上50%未満   2万1274トン
 (同2.1%減、同3.0%増)
同50%以上60%未満   6万4322トン
 (同5.6%減、同7.5%増)
同60%以上   1217トン
 (同56.3%増、同7.9%減)
 

 

 

3. 輸入動向

【分みつ糖の輸入動向】
5月の輸入量は前年同月からかなりの程度減少

 財務省「貿易統計」によると、2016年5月の分みつ糖(HSコード 1701.14-110)の輸入量は、5万1845トン(前年同月比8.7%減、前月比27.4%減)であった(図3)。輸入先国はタイ、米国、中国の3カ国で国別の輸入量は次の通りであった(図4)。

タイ   5万1786トン
 (前年同月比8.8%減、前月比27.4%減)
米国  56トン
 (同2.2倍増、同2.9倍増)
中国  3トン
 (前年同月および前月輸入実績なし)

 同月における豪州からの高糖度原料糖(糖度98.5度以上99.3未満、HSコード1701.14-200)の輸入量は、2万8517トン(前年同月比2.7倍増、前月比50.4%減)であった。

 

 

 

 2016年5月の1トン当たりの輸入価格は、4万2588円(前年同月比3.7%高、前月比0.2%高)となった(図5)。
 
 同月の国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

タイ  4万2485円
 (前年同月比3.8%高、前月同)
米国  13万4750円
 (同61.9%安、同33.1%高)
中国  10万4667円
 (前年同月および前月輸入実績なし)
 

 

【含みつ糖の輸入動向】
5月の輸入量は前月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2016年5月の含みつ糖の輸入量は、631トン(前年同月比41.8%増、前月比57.1%減)であった(図6)。輸入先国はタイ、中国、フィリピンの3カ国であった。

 同月の国別の輸入量は次の通りであった(図7)。

タイ   247トン
 (前年同月比36.5%増、前月比74.8%減)
中国  360トン
 (同49.4%増、同9.5%減)
フィリピン    24トン
 (同84.6%増、同66.7%減)
 

 

 

 2016年5月の1トン当たりの輸入価格は、11万2838円(前年同月比15.5%安、前月比7.4%安)となった(図8)。

 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

タイ   9万8846円
 (前年同月比20.8%安、前月比16.3%安)
中国  11万5431円
 (同7.2%安、同4.2%安)
フィリピン    21万7958円
 (前年同、同29.5%高)
 

 

【加糖調製品の輸入動向】
5月の加糖調製品の輸入量は前月からやや減少

 財務省「貿易統計」によると、2016年5月の加糖調製品の輸入量は、4万6010トン(前年同月比6.0%増、前月比3.1%減)となった(図9)。

 同月の品目別の輸入量は、次の通りであった。

ミルク調製品   1万5204トン
 (前年同月比33.5%増、前月比8.2%増)
ソルビトール調製品    8649トン
 (同9.2%減、同12.3%減)
ココア調製品   6314トン
 (同22.1%減、同8.9%減)
その他調製品  6501トン
 (同10.9%増、同1.7%減)
調製した豆(加糖あん)   5478トン
 (同6.8%増、同8.2%減)
穀粉調製品   3817トン
 (同13.9%増、同5.5%減)
コーヒー調製品  47トン
 (同91.4%増、同35.7%増)
 

 

4. 価格動向

【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移

 6月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。

上白糖(大袋)
東京  1キログラム当たり187〜188円
大阪  同188円
名古屋 同191円
関門  同191円
 
上白糖(小袋)
東京  1キログラム当たり200〜201円
大阪  同202円
 
本グラニュー糖(大袋)
東京  1キログラム当たり192〜193円
大阪  同193円
名古屋 同196円
 
ビート・グラニュー糖(大袋)
東京  1キログラム当たり187〜188円
大阪  同188円
名古屋 同189円

 6月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

果糖分42%もの
 1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの
         同137〜138円
 
【小売価格】
6月の上白糖小袋の首都圏で前月比13.9円高

 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける6月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、191.7円(前年同月比0.1円高、前月比2.6円高)であった。

 同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった。

北海道 196.0円
 (前年同月比4.1円高、前月比1.9円安)
東北  195.9円
 (同1.8円安、同0.4円高)
関東など  179.1円
 (同3.6円高、同2.2円高)
首都圏 197.9円
 (同1.2円高、同13.9円高)
中部  180.5円
 (同0.3円安、同1.7円安)
関西  188.8円
 (同6.6円安、同0.7円安)
中国・四国  199.2円
  (同2.2円高、同0.4円高)
九州・沖縄  192.2円
 (同1.8円安、同0.6円安)

 最も高かったのは首都圏で、最も安かった関東などとの価格差は18.8円であった。
 
(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県


6月のグラニュー糖小袋の平均小売価格は前月と同水準
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける6月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、236.8円(前年同月比1.3円高、前月比0.2円高)であった。

 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった。

北海道 192.1円
 (前年同月比3.4円高、前月比0.8円安)
東北  270.3円
 (同1.4円高、同1.3円安)
関東など  247.6円
 (同1.5円高、同1.1円高)
首都圏 242.2円
 (同3.6円高、同1.5円高)
中部  250.0円
 (同0.9円高、前月0.3円安)
関西  226.2円
 (同0.2円安、前月同)
中国・四国  245.7円
 (同1.1円高、同0.2円安)
九州・沖縄  219.2円
 (同1.8円安、同1.2円高)

 最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は78.2円であった。
 
6月の三温糖小袋の平均小売価格は前月と同水準
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける6月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、232.6円(前年同月比0.4円安、前月比0.9円高)であった。

 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった。

北海道 242.7円
 (前年同月比2.1円安、前月比7.7円高)
東北  263.4円
 (同2.3円高、同1.3円安)
関東など  236.9円
 (同1.4円高、同0.2円高)
首都圏 227.3円
 (同4.2円安、同1.8円高)
中部  226.6円
 (同1.1円高、前月同)
関西  224.5円
 (同2.0円安、同0.5円安)
中国・四国  244.1円
 (同1.7円高、同2.8円安)
九州・沖縄  208.3円
 (同0.1円安、同1.3円高)

 最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は55.1円であった。

【購入金額および購入量】
5月の1世帯当たりの砂糖にかかる支出金額は前月から大幅に増加

 総務省「家計調査」によると、2016年5月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は38で、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は、100円(前年同月比5.7%安、前月比17.6%高)となった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、426グラム(同2.3%減、同5.4%増)となった(図11)。
 

 

 

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713