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4. 日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2016年9月9日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2016年8月時点予測)

2016年9月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.14−110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14−200)の合計)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであったが、2015年の主要輸入先国ごとの割合は、タイが56.0%(前年比1.9ポイント減)、豪州が39.0%(同8.7ポイント増)、グアテマラが4.9%(同3.2ポイント増)と、この3カ国でほぼ全量を占めている(財務省「貿易統計」)。

 タイおよび豪州は毎月、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回はフィリピンを報告する。
 

 

2015/16年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量は前年度並みの見込み
 2015/16砂糖年度(10月〜翌9月)は、コメからの転作が前年度ほど進まず、サトウキビ収穫面積は141万ヘクタール(前年度比0.6%増)となるものの、干ばつの影響による単収の低下のため、生産量は9405万トン(同10.9%減)と、かなりの減少が見込まれる(表6)。

 また、砂糖生産量も、サトウキビ生育時期の干ばつと成熟時期の過度な降雨によって産糖量の減少が見られることから、1003万トン(同13.4%減)とかなりの減少が見込まれる。

 タイ製糖協会の5月時点の生産実績報告によると、2015/16年度のサトウキビの圧搾は、前年度よりも約1カ月早い4月10日をもって終了した。このため、同年度のサトウキビ圧搾量は9405万トン(同11.2%減)、砂糖生産量は978万トン(同13.5%減)と、ともにかなり減少した。

 砂糖輸出量は、インドネシアへの粗糖の輸出が好調であるものの、ミャンマーなど一部の国への精製糖輸出の低迷などにより、807万トン(前年度同)と前年度並みにとどまると見込まれる。

 ただし、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)(注1)によれば、国際砂糖価格の上昇につれ、カンボジアやラオス、ミャンマー、ベトナムなどへの砂糖の流出による国内供給不足が懸念されている。このため、OCSBは7月、今年2月に250万トンへの引き上げを承認した国内供給向け砂糖(A割当)の販売割当数量(注2)を260万トンまでさらに10万トン引き上げることとした。

 また、OCSBは、2016/17年度の生産見通しについて、2014年から続いている干ばつ被害のさらなる拡大や他作物への転換により、サトウキビ生産量は9000万トンまで減少し、これにより、砂糖生産量は940万トンと、2010/11年度以来の低水準になると予想している。

 現地報道によると、先に2017年7月からの導入が検討されていた砂糖を含む飲料に対する課税については、製糖企業や食品企業、サトウキビ生産者などからの要請を受け、その導入が無期限で延期された。同税は、砂糖の過剰摂取の抑制を目的として、100ミリリットル当たり6グラム以上の砂糖を含む飲料(発酵乳や豆乳飲料なども含む)を対象に課税され、砂糖含有量が同10グラム未満の飲料の小売価格が20%、同10グラム以上の飲料の小売価格が25%、それぞれ値上がりするとされていた。政府は、代替策として、砂糖の過剰摂取が健康に与える影響などに関する国民への啓発活動を検討している。

(注1)タイのサトウキビおよび砂糖関連政策の執行機関である3省(工業省(製糖関係)、農業協同組合省(原料作物関係)、商務省(砂糖の売買関係))とサトウキビ生産者および製糖企業の代表で構成され、工業省内に設置された「サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)」の事務局。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当制度が行われている。

 

 

 

 

2015/16年度の砂糖生産量、輸出量ともにわずかに増加の見込み
 2015/16砂糖年度(7月〜翌6月)は、特にアジアへの輸出需要の高まりから、サトウキビ収穫面積は39万3000ヘクタール(前年度比8.3%増)とかなりの増加が見込まれるものの、主産地であるクイーンズランド(QLD)州が一時干ばつに見舞われたため、生産量は3310万トン(同2.3%増)とわずかな増加にとどまるものと見込まれる(表7)。
 また、砂糖生産量は486万トン(同2.0%増)、輸出量は375万トン(同1.7%増)と、ともにわずかな増加が見込まれる。

2016/17年度の砂糖生産量はわずかに減少、輸出量は前年度並みの見込み
 2016/17砂糖年度は、6月上旬にブンダバーグ地区などのQLD州南部が暴風雨に見舞われ、サトウキビが倒伏するなどの被害があったことなどから、サトウキビ収穫面積は38万8000ヘクタール(前年度比1.3%減)、生産量も3214万トン(同2.9%減)と、ともにわずかな減少が見込まれる。

 サトウキビの減産を受けて、砂糖生産量は480万トン(同1.3%減)とわずかに減少し、輸出量は372万トン(同0.9%減)と見込まれる。

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)が6月中旬に公表した2016/17年度の生産予測によると、サトウキビ栽培面積は40万ヘクタール(同1.3%増)とわずかに増加し、単収の向上により、砂糖生産量は508万トン(同5.9%増)とやや増加が見込まれる。輸出量も400万トン(同4.1%増)と、やや増加が見込まれる。

 現地報道によると、QLD州の開墾規制強化法案は8月18日、州議会で否決された。同法案は、世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフの保護や持続可能な農業の促進などが目的とされていたが、開墾を進めたい生産者を支持者に抱える議員が反対した。
 

 

 

2015/16年度の砂糖生産量はやや減少、輸出量は大幅増の見込み
 2015/16砂糖年度(9月〜翌8月)のサトウキビの収穫面積は、42万ヘクタール(前年度比3.6%減)、生産量は3085万トン(同4.7%減)と、ともにやや減少が見込まれる(表8)。これは、2014年から続いている干ばつの影響により、サトウキビが生育不良になっていることに加え、トウモロコシやパイナップルなどの他作物へ転換を図る生産者も見られるためと考えられる。
 また、サトウキビの減産に伴い、砂糖生産量は224万トン(同3.6%減)とやや減少が見込まれる。

 砂糖統制委員会(SRA)(注)が発表した2015年10月〜2016年7月上旬の生産実績報告によると、サトウキビ圧搾量は2320万トン(前年同期比0.4%減)、砂糖生産量は224万トン(同3.5%減)となった。

 砂糖の減産を受けて、同年度の砂糖輸入量は、25万トン(前年度比7倍)と大幅な増加が見込まれる。SRAは、需給のひっ迫への対策として、10万トンの追加輸入を検討している。

 一方で、砂糖輸出量も、14万トン(同3倍)と大幅な増加が見込まれる。SRAは、2015年12月、2015/16年度に生産される砂糖は全て国内供給に充てると発表するとともに、米国向けの輸出割当数量13万5508トンを満たすため、同年度に限り、国内の輸入業者が輸入する砂糖1.25トン当たり1トンを米国向けに再輸出することを許可した。今後、米国向け以外の輸出は行われないものとみられる。

(注)砂糖の供給管理政策など国内砂糖産業の管理・監督などを実施する政府機関。
 

 

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