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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2016年11月10日

砂糖類の国内需給

2016年11月

調査情報部、札幌事務所

1.需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。9月に「平成28砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第1回)」を公表した(詳細は2016年10月号参照)。

平成28砂糖年度砂糖(10月〜翌9月)の見通し

表1 平成28砂糖年度における砂糖の需給見通し

表2 平成28砂糖年度における異性化糖の需給見通し

2.てん菜の生産見込み

作付面積は2年連続で増加するものの生産量は前年産を下回る見込み
  北海道農政部生産振興局農産振興課は、9月30日に「平成28年産てん菜の生産見込数量(平成28年8月20日現在)」を公表した。なお、公表された値は、8月下旬以降の台風などに係る影響については加味されていないことに留意されたい。

 作付面積は、5万9390ヘクタール(前年産比1.2%増)と、豊作基調から前年産に比べて707ヘクタール増加し、2年連続の増加となった(表3)。地域別に見ると、十勝地域が2万6056ヘクタール(同1.3%増)、オホーツク地域が2万4379ヘクタール(同1.1%増)、道央地域4377ヘクタール(同0.6%減)、道南地域4578ヘクタール(同3.4%増)であった。

 1ヘクタール当たりの収量は、57.7トン(同13.8%減)の見込みであり、気象条件に恵まれ豊作となった平成27年産をかなり大きく下回っている。その結果、平成28年産のてん菜の生産量は342万8000トンと、前年産比12.7%減少することが見込まれている。
 
 関係者への聞き取りによると、台風の上陸や接近に伴う大雨の影響で、全体の作付面積の6〜7%に相当する()場が冠水、浸水などの被害を受けたとみられることから、1ヘクタール当たりの収量および生産量は、公表された値を下回る可能性が高いとみられる。

表3 平成28年産のてん菜生産見込み

3.異性化糖の移出動向

9月の移出数量は前年同月からかなりの程度増加
 2016年9月の異性化糖の移出数量は、6万7395トン(前年同月比10.3%増、前月比11.1%減)となった(図1)。
9月の規格別の移出量は、次の通りであった(図2)。

果糖含有率40%未満      364トン
 (前年同月比2.6%増、前月比10.6%増)
同40%以上50%未満  1万7204トン
 (同2.0%増、同6.7%減)
同50%以上60%未満  4万8896トン
 (同13.0%増、同13.2%減)
同60%以上          931トン
 (同52.9%増、同25.4%増)
 

図1 異性化糖の移出量の推移

図2 異性化糖の種類別移出量の推移

4.輸入動向

【分みつ糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月からやや増加

 財務省「貿易統計」によると、2016年8月の分みつ糖(HSコード 1701.14-110)の輸入量は、6万2409トン(前年同月比5.8%増、前月比17.6%増)であった(図3)。輸入先国はタイ、豪州、米国の3カ国で国別の輸入量は次の通りであった(図4)。
 
タイ 4万8604トン
 (前年同月比17.5%減、前月比8.4%減)
豪州 1万3787トン
 (前年同月および前月輸入実績なし)
米国     18トン
 (前年同月比62.5%減、前月比5.3%減)
 
 
 同月における豪州からの高糖度原料糖(糖度98.5度以上99.3未満、HSコード1701.14-200)の輸入量は、3万4021トン(前年同月比66.0%増、前月比35.0%減)であった。
 
 

図3 分みつ糖の輸入量の推移

図4 分みつ糖の国別輸入量の推移

 2016年8月の1トン当たりの輸入価格は、5万2439円(前年同月比29.1%高、前月比7.1%高)となった(図5)。
 同月の国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

タイ 5万1272円
 (前年同月比26.7%高、前月比4.8%高)
豪州 5万6384円
 (前年同月および前月輸入実績なし)
米国 18万333円
 (前年同月比16.0%安、前月比84.9%高)

図5 分みつ糖の輸入価格の推移

【含みつ糖の輸入動向】
8月の輸入量は前年同月および前月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2016年8月の含みつ糖の輸入量は、282トン(前年同月比22.6%増、前月比78.5%増)であった(図6)。輸入先国は中国、タイ、フィリピンの3カ国であった。
 同月の国別の輸入量は次の通りであった(図7)。

中国     248トン
 (前年同月比89.3%増、前月比6.5倍)
タイ      21トン
 (同50.0%減、同65.6%減)
フィリピン   13トン
 (同31.6%減、同66.7%減)
 
 
 

図6 含みつ糖の輸入量の推移

図7 含みつ糖の国別輸入量の推移

 2016年8月の1トン当たりの輸入価格は、11万2216円(前年同月比18.8%安、前月比18.8%安)となった(図8)。
 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

中国 10万8512円
 (前年同月比20.0%安、前月比3.9%安)
タイ   8万6429円
 (同25.5%高、同13.8%安)
フィリピン 22万4538円
 (同5.8%高、同7.6%高)

 

図8 含みつ糖の輸入価格の推移

 【加糖調製品の輸入動向】
8月の加糖調製品の輸入量は前年同月からやや増加

 財務省「貿易統計」によると、2016年8月の加糖調製品の輸入量は、4万5684トン(前年同月比5.1%増、前月比0.9%減)となった(図9)。
 同月の品目別の輸入量は、次の通りであった。

ミルク調製品     1万1413トン
 (前年同月比11.1%減、前月比13.7%減)
ソルビトール調製品  1万1062トン
 (同14.2%増、同9.6%増)
ココア調製品       7311トン
 (同13.1%増、同3.7%減)
その他調製品       7259トン
 (同6.7%増、同1.3%増)
調製した豆(加糖あん)  4955トン
 (同5.3%増、同3.5%減)
穀粉調製品         3661トン
 (同23.9%増、同29.0%増)
コーヒー調製品         23トン
 (同2.1倍、同38.9%減)
 
 

図9 加糖調製品の品目別輸入数量の推移

5.価格動向

【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移

 9月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。

上白糖(大袋)
東京  1キログラム当たり187〜188円
大阪              同188円
名古屋             同191円
関門              同191円
 
上白糖(小袋)
東京   1キログラム当たり200〜201円
大阪               同202円
 
本グラニュー糖(大袋)
東京   1キログラム当たり192〜193円
大阪               同193円
名古屋              同196円
 
ビート・グラニュー糖(大袋)
東京   1キログラム当たり187〜188円
大阪               同188円
名古屋              同189円
 
 9月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

果糖分42%もの 1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの         同137〜138円
 
【小売価格】
9月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で23.9円

 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、192.5円(前年同月比4.2円高、前月比4.2円高)であった。
 同月の地域別(注)の平均小売価格は、次の通りであった。

北海道    196.5円
 (前年同月比3.7円高、前月比3.4円高)
東北     201.0円
 (同9.5円高、同6.5円高)
関東など   177.1円
 (同1.9円高、同0.7円安)
首都圏    198.9円
 (同14.3円高、同12.9円高)
中部     178.3円
 (同1.3円安、同0.8円高)
関西     193.0円
 (同1.1円安、同2.0円高)
中国・四国  200.5円
 (同2.8円高、同0.5円安)
九州・沖縄  191.2円
 (同2.4円安、同4.2円高)

 最も高かったのは東北で、最も安かった関東などとの価格差は23.9円であった。
 
(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
   首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
   中部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
   関西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県

 
9月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で81.9円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、237.9円(前年同月比2.8円高、前月比0.3円安)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった。

北海道    191.8円
 (前年同月比1.9円高、前月比2.5円高)
東北     273.7円
 (同5.0円高、前月同)
関東など   246.5円
 (同0.4円高、前月同)
首都圏    245.4円
 (同7.7円高、前月同)
中部     248.7円
 (同1.0円安、前月比0.3円安)
関西     231.7円
 (同5.5円高、同0.8円安)
中国・四国  245.7円
 (同1.4円高、前月同)
九州・沖縄  217.9円
 (同0.7円安、前月比1.8円安)

 最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は81.9円であった。
 
9月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で49.4円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける9月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、233.6円(前年同月比2.9円高、前月比1.4円高)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は、次の通りであった。

北海道    249.6円
 (前年同月比7.1円高、前月比8.5円高)
東北     257.7円
 (同2.9円高、同2.6円高)
関東など   236.5円
 (同1.0円安、同0.8円高)
首都圏    227.1円
 (同3.2円高、同0.5円高)
中部     225.7円
 (同0.6円高、同0.1円安)
関西     231.1円
 (同5.2円高、同0.1円安)
中国・四国  243.1円
 (同0.6円高、同0.4円高)
九州・沖縄  208.3円
 (同0.1円高、同1.1円高)

 最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は49.4円であった。
 
【購入金額および購入量】
8月の砂糖の購入数量は前年同月からかなりの程度減少

 総務省「家計調査」によると、2016年8月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は36で、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は、94円(前年同月比2.2%高、前月同)となった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、420グラム(同7.9%減、同0.7%減)となった(図11)。
 

図10 1世帯当たりの砂糖に係る支出額の推移

図11 1世帯当たりの砂糖の購入数量の推移

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