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最終更新日:2016年11月10日
コラム1 豪州砂糖研究センター(SRA)の取り組み豪州砂糖研究センター(SRA)は、サトウキビ生産者および製糖企業、連邦政府、QLD州政府の拠出による基金(注1)により、サトウキビおよび砂糖の生産性の向上のための技術研究を行う非営利組織である。SRAの事業は図の1〜8の分野で構成されており、サトウキビの品種開発、育成および普及が、全資金使用額の半分を占めている。なお、QLD州で普及している主な品種は表の通りで、最も普及しているQ208は、さび病(注2)やモザイク病(注3)など複数の病害への耐性があり、株出し栽培に適し、収穫期を通じて安定した収量が期待できるといった特徴がある。SRAは各地域に5年ごとに3品種を発表することを目標に掲げている。 病害虫および除草対策事業では、対策冊子の配布のほか、2012年にQLD州で発生が確認されたイエローキャノピーシンドローム(注4)の発生原因や影響の調査、対策の研究なども実施している。SRAは、ブラジルやインドなど複数の砂糖生産国との技術協力を行うほか、研究成果や生産者および製糖企業に対する調査結果は、連邦政府や州政府の政策立案に役立てられている。 (注1)2015/16年度の拠出額は、サトウキビ生産者および製糖企業が2400万豪ドル(18億9600万円)、連邦政府が500万豪ドル(3億9500万円)、QLD州政府が300万豪ドル(2億3700万円)の合計3200万豪ドル(25億2800万円)。このうち、サトウキビ生産者と製糖企業の積立金額は、工場に搬入されたサトウキビ1トン当たりそれぞれ、生産者25豪セント(20円)と製糖企業45豪セント(36円)の合計70豪セント(55円)。 (注2)葉に筋状で褐色の病斑が発生し、病斑の密度が高くなると、葉が枯れる病害。 (注3)葉や茎の外部に淡黄色や濃緑色の長さが不ぞろいな筋が生じる病害。 (注4)葉が黄変し、単収やCCS(可製糖率。サトウキビのショ糖含有率、繊維含有率および搾汁液の純度から算出される回収可能な糖分の割合。日本の品質取引に用いられる甘しゃ糖度に回収率(結晶として回収し得る砂糖の割合)を掛けたもの)の低下などの影響が懸念されている現象。 |
コラム2 生産者によるサトウキビ生産性向上の取り組み今回の現地調査で、QLD州バーデキン地区のPozzebon氏の農場を訪問した。同氏は126ヘクタールの圃場でサトウキビを生産する大規模生産者である。父から継承した後、25年間サトウキビ生産を続けている。同氏は、「Smart Cane BMP」の認定生産者で、QSLの生産者代表委員も務めている(コラム2−写真1)。
栽培面積の割合は、サトウキビは、新植とその後の株出し1〜3回、そして連作障害防止のための他作物(マメやコメ、トウモロコシなど)が、およそ20%ずつである。 |