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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2017年2月10日

砂糖類の国内需給

2017年2月

調査情報部

1. 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。12月に「平成28砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第2回)」を公表した。

平成28砂糖年度(10月〜翌9月)の見通し

(1)砂糖の消費量

 平成27砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、195万8000トン(前年度比0.6%増)となった(表1)。内訳を見ると、分みつ糖の消費量が192万3000トン(同0.6%増)、含みつ糖の消費量が3万5000トン(同2.9%増)であった。
 28砂糖年度の砂糖の消費量は、197万トン(同0.6%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の消費量は、近年の消費動向を基に、景気はこのところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いていることなどを踏まえ、193万5000トン(同0.6%増)と見通している。含みつ糖の消費量は、近年の消費動向などを勘案し、3万5000トン(前年度同)と見通している。

(2)砂糖の供給量

 平成27砂糖年度の砂糖供給量は、198万8000トン(前年度比0.7%増)となった。内訳を見ると、分みつ糖の供給量が196万9000トン(同0.6%増)、含みつ糖の供給量が1万9000トン(同11.8%増)であった。このうち国内産糖の供給量は、81万3000トン(同10.3%増)と、かなりの程度増加した。

 28砂糖年度の砂糖の供給量は、187万8000トン(同5.5%減)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖が185万9000トン(同5.6%減)、含みつ糖が1万9000トン(前年度同)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜については、2年連続の豊作基調から作付面積が前年産に比べて1.2%(約700ヘクタール)増加するものの、5月の強風、6月以降の長雨、8月中下旬の台風被害、11月初旬の降雪の影響により生育停滞が生じていることから、産糖量は50万9000トン(前年産比24.8%減)、供給量は50万9000トン(精製糖換算。前年度比24.8%減)と見通している。

 サトウキビについては、長雨で前年産の収穫が遅れ、植え付けが遅れた地域もあることから、収穫面積は前年産に比べて1.9%(約400ヘクタール)減少したものの、全体として作柄はおおむね順調に推移していることから、産糖量は16万2000トン(前年産比19.9%増)、供給量は15万5000トン(精製糖換算。前年度比19.9%増)と見通している。

(3)異性化糖の需給

 平成28砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、82万4000トン(前年度比0.7%増)と見通している。また、異性化糖の供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。

表1 平成28砂糖年度における砂糖の需給見通し

表2 平成28砂糖年度における異性化糖の需給見通し

2. 異性化糖の移出動向

12月の移出数量は前年同月からわずかに減少
 2016年12月の異性化糖の移出数量は、5万9704トン(前年同月比1.0%減、前月比6.5%減)となった(図1)。
 12月の規格別の移出量は、次の通りであった(図2)。

果糖含有率40%未満    436トン
 (前年同月比19.6%増、前月比12.4%増)
同40%以上50%未満 1万7298トン
 (同5.0%増、同2.8%減)
同50%以上60%未満  4万1388トン
 (同3.4%減、同7.9%減)
同60%以上           583トン
 (同10.1%減、同22.0%減)
 

図1 異性化糖の移出量の推移

図2 異性化糖の種類別移出量の推移

3. 輸入動向

【分みつ糖の輸入動向】
11月の輸入量は前年同月からかなりの程度減少

 財務省「貿易統計」によると、2016年11月の分みつ糖(HSコード 1701.14-110)の輸入量は、6万8919トン(前年同月比8.7%減、前月比3.6倍)であった(図3)。輸入先国はタイ、豪州および米国の3カ国で、国別の輸入量は次の通りであった(図4)。

タイ   4万2388トン  (前年同月比14.4%減、前月比2.2倍)
豪州   2万6493トン  (同2.0%増、前月輸入実績なし)
米国      38トン  (同22.6%増、前月輸入実績なし)

 同月における豪州からの高糖度原料糖(糖度98.5度以上99.3度未満、HSコード1701.14-200)の輸入量は、8万9409トン(前年同月比46.7%増、前月比9.4%増)であった。

図3 分みつ糖の輸入量の推移

図4 分みつ糖の国別輸入量の推移

 201611月の1トン当たりの輸入価格は、5万7151円(前年同月比37.0%高、前月比11.8%高)となった(図5)。
 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

タイ   5万4436円
 (前年同月比30.7%高、前月比6.5%高)
豪州   6万1431円
 (同47.5%高、前月輸入実績なし)
米国   10万632円
 (同56.5%安、前月輸入実績なし)
 

図5 分みつ糖の輸入価格の推移

【含みつ糖の輸入動向】
11月の輸入量は前年同月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2016年11月の含みつ糖の輸入量は、580トン(前年同月比2.0倍、前月比14.4%増)であった(図6)。輸入先国はボリビア、ブラジル、中国、タイおよびフィリピンの5カ国で、国別の輸入量は次の通りであった(図7)。

ボリビア   293トン
 (前年同月比92.8%増、前月比2.4倍)
ブラジル    152トン
 (同2.7倍、同2.0倍)
中国       59トン
 (同47.5%増、同78.1%減)
タイ       42トン
 (同2.0倍、同2.0倍)
フィリピン  34トン
 (同2.1倍、同61.9%増)
 

図6 含みつ糖の輸入量の推移

図7 含みつ糖の国別輸入量の推移

 201611月の1トン当たりの輸入価格は、145400円(前年同月比8.9%安、前月比15.7%高)となった(図8)。
 
国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

ボリビア   12万9328円
 (前年同月比10.8%安、前月比4.9%高)
ブラジル    20万8908円
 (同9.7%安、同0.7%高)
中国     10万7220円
 (同7.0%安、同2.1%安)
タイ       9万310円
 (同11.9%安、同4.7%高)
フィリピン  13万4294円
 (同40.9%安、同47.5%高)

 

図8 含みつ糖の輸入価格の推移

【加糖調製品の輸入動向】
11月の加糖調製品の輸入量は前年同月からかなりの程度増加

 財務省「貿易統計」によると、2016年11月の加糖調製品の輸入量は、5万1274トン(前年同月比8.8%増、前月比3.2%増)となった(図9)。
 同月の品目別の輸入量は、次の通りであった。

ミルク調製品     1万5025トン
 (前年同月比32.7%増、前月比7.4%増)
ソルビトール調製品   9577トン
 (同9.9%減、同14.0%減)
ココア調製品       9907トン
 (同6.7%増、同1.2%増)
調製した豆(加糖あん)  5684トン
 (同2.1%増、同32.0%増)
穀粉調製品         3825トン
 (同13.8%増、同2.9%増)
コーヒー調製品       15トン
 (同64.3%増、同44.1%減)
その他調製品       7242トン
 (同3.9%増、同7.5%増)

図9 加糖調製品の品目別輸入数量の推移

4. 価格動向

【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移

 12月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。

上白糖(大袋)
東京  1キログラム当たり192〜193円
大阪                同193円
名古屋              同196円
関門                同196円

上白糖(小袋)
東京  1キログラム当たり205〜206円
大阪                同207円

本グラニュー糖(大袋)
東京  1キログラム当たり197〜198円
大阪                同198円
名古屋              同201円

ビート・グラニュー糖(大袋)
東京  1キログラム当たり192〜193円
大阪                同193円
名古屋              同194円

 12月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

果糖分42%もの
 1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの
           同137〜138円

【小売価格】
12月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で25.8円

 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける12月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、189.4円(前年同月差1.7円高、前月差1.5円安)であった。
 同月の地域別(注)の平均小売価格は次の通りであった。

北海道     193.2円
 (前年同月差1.6円高、前月差1.0円高)
東北      188.4円
 (同4.4円安、同8.5円安)
関東など    175.4円
 (同0.1円安、同2.3円安)
首都圏      198.5円
 (同8.3円高、同0.7円高)
中部        175.7円
 (同2.0円高、同2.2円安)
関西       188.9円
 (同1.1円安、同2.2円安)
中国・四国    201.2円
 (同2.7円高、同1.1円高)
九州・沖縄   187.7円
 (同1.8円安、同2.0円安)

 最も高かったのは中国・四国で、最も安かった関東などとの価格差は25.8円であった。

(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県


12月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で76.1円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける12月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、238.6円(前年同月差2.4円高、前月差0.4円安)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった。

北海道     197.0円
 (前年同月差3.1円高、前月差0.2円安)
東北      273.1円
 (同4.2円高、同0.1円高)
関東など     245.4円
 (同0.7円安、同0.2円高)
首都圏      242.4円
 (同2.7円高、同3.9円安)
中部        248.7円
 (同1.0円安、前月同)
関西       231.0円
 (同4.7円高、前月差0.2円安)
中国・四国   250.1円
 (同4.1円高、同3.5円高)
九州・沖縄   220.9円
 (同1.6円高、同0.4円高)

 最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は76.1円であった。

12月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で41.8円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける12月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、231.0円(前年同月差1.5円高、前月差1.5円安)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった。

北海道      233.9円
 (前年同月差2.2円高、前月同)
東北        250.2円
 (同9.8円安、前月差11.5円安)
関東など     240.0円
 (同2.3円高、同0.7円高)
首都圏      225.9円
 (同1.1円高、同0.6円安)
中部        223.5円
 (同1.1円高、同2.5円安)
関西        231.5円
 (同8.3円高、同0.4円高)
中国・四国    242.9円
 (同0.3円安、同0.8円安)
九州・沖縄    208.4円 
 (同3.0円高、同1.0円高)

 最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は41.8円であった。

【購入金額および購入量】
11月の砂糖の購入数量は前年同月からやや増加

 総務省「家計調査」によると、2016年11月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は42で、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は、108円(前年同月同、前月比14.9%高)となった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、502グラム(前年同月比4.4%増、同18.7%増)となった(図11)。
 

図10 1世帯当たりの砂糖に係る支出額の推移

図11 1世帯当たりの砂糖の購入数量の推移

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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