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4. 日本の主要輸入先国の動向(2017年1月時点予測)

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最終更新日:2017年2月10日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2017年1月時点予測)

2017年2月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.14−110)および甘しゃ糖・その他(同1701.14−200)の合計)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであったが、 2015年の主要輸入先国ごとの割合は、タイが56.0%(前年比1.9ポイント減)、豪州が39.0%(同8.7ポイント増)、グアテマラが4.9%(同3.2ポイント増)と、この3カ国でほぼ全量を占めている(財務省「貿易統計」)。
 タイおよび豪州は毎月の報告、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回は南アフリカを報告する。

タイ

2016/17年度の砂糖生産量は前年度並み、輸出量はかなり減少の見込み
 2016/17砂糖年度(10月〜翌9月)は、サトウキビ収穫面積は141万ヘクタール(前年度比0.2%減)と前年度並みと見込まれる一方、サトウキビの単収の回復が見込まれることから、生産量は1億436万トン(同11.0%増)と、かなりの増加が見込まれている。

 しかし、長引く干ばつの影響により特に新植サトウキビの生育不良が見られることに加え、長雨により例年より約1カ月遅れの12月上旬からの収穫となったことから、製糖歩留まりの低下が予想され、砂糖生産量は、1000万トン(同0.2%減)と前年度並みと見込まれている。輸出量は、中国の輸入減少などに伴い、709万トン(同9.1%減)と、かなりの減少が見込まれている。

 また、タイ製糖協会が発表した2016年12月の生産実績によると、サトウキビ圧搾量は1337万トン(前年同期比33.3%減)、砂糖生産量は118万トン(同30.6%減)と、ともに大幅に減少した。

 なお、現地報道によると、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)(注1)は10月上旬、20年来で最も深刻な干ばつの影響によりサトウキビから他作物へ転換する生産者もあることなどから、2016/17年度の砂糖生産量は930万〜940万トンとの予測を発表した。

 一方、タイ政府は、2月までに砂糖産業関連法の改正に向けた手続きを開始し、2017/18年度から適用する構えである(注2)。 この改正によって、砂糖産業全体の収益をサトウキビ生産者と製糖業者で7:3の割合で分配する現行の収益分配方式や販売割当(注3)を廃止するとともに、政府が設定している国内砂糖価格を固定制から変動制に移行するものとみられる。

 (注1)タイのサトウキビおよび砂糖関連政策の執行機関である3省(工業省(製糖関係)、農業協同組合省(原料作物関係)、商務省(砂糖の売買関係))とサトウキビ生産者および製糖企業の代表で構成され、工業省内に設置された「サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)」の事務局。
 (注2)タイ政府は4月初旬、国際砂糖価格の低迷時などに製糖企業を通じて生産者に支払われる補てん金や、砂糖の販売割当および国内販売価格の設定は、間接的な輸出補助金に当たり国際貿易協定に違反しているとして、ブラジル政府からWTOに提訴された。これを受け、タイ政府は11月3日、ブラジルとの2国間協議の場に、10月中旬に閣議承認された砂糖政策の改革案を提出した。
 (注3)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当に基づき管理されている。

表6 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

豪州

2016/17年度の砂糖生産量はやや増加、輸出量はわずかに減少の見込み
 2016/17砂糖年度(7月〜翌6月)は、サトウキビ収穫面積は39万ヘクタール(前年度比3.2%増)とやや増加し、生産量は3550万トン(同1.9%増)とわずかな増加が見込まれている。

 一方、豪州砂糖製造事業者協議会(ACMC)によると、例年10月で終了するサトウキビ圧搾作業が、年明け(1月8日)まで行われ、サトウキビ圧搾量は3651万トンとなった。これは、ニューサウスウェールズ州や主産地であるクイーンズランド(QLD)州の一部の地域で降雨が続いたことが影響したとみられる。現地報道によると、QLD州北部地域のマッカイでは、過度な降雨による生育不良などから約6万トンのサトウキビの収穫が来年度に持ち越されることとなり、サトウキビ圧搾量が当初計画の7%減となった工場があった。

 サトウキビの増産に加え、製糖歩留まりの向上も見られることから、砂糖生産量は523万トン(前年度比5.8%増)と、やや増加が見込まれている。一方、中国の輸入減少などに伴い、輸出量は401万トン(同2.5%減)と、わずかな減少が見込まれている。

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)が12月中旬に公表した2016/17年度の生産予測によると、サトウキビ栽培面積は39万ヘクタール(同3.1%増)とやや増加し、単収の向上により、砂糖生産量は510万トン(同3.7%増)とやや増加が見込まれる。輸出量も405万トン(同2.7%増)と、わずかな増加が見込まれる。

表7 豪州の砂糖需給の推移

南アフリカ

2016/17年度の砂糖生産量はわずかに減少、輸出量は大幅減の見込み
 2016/17砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は29万ヘクタール(前年度比4.2%減)、生産量は1623万トン(同4.9%減)と、ともにやや減少が見込まれている。

 砂糖生産量は、製糖歩留まりの改善がみられることから、170万トン(同1.6%減)とわずかな減少にとどまると見込まれている。2015/16年度から砂糖の消費量が生産量を上回る状況が続き在庫量が減少していることから、輸出量は20万トン(同33.6%減)と、大幅な減少が見込まれている。

 2014/15年度から続く干ばつの影響により、平年並みの降雨が続いたとしても、国内のダム貯水量が回復するまでには2〜5年を要すという調査結果もあることから、2017/18年度以降もサトウキビおよび砂糖生産への影響が懸念される。

表8 南アフリカの砂糖需給の推移

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