2016/17年度の砂糖生産量は前年度並み、輸出量はかなり減少の見込み
2016/17砂糖年度(10月〜翌9月)は、サトウキビ収穫面積は141万ヘクタール(前年度比0.2%減)と前年度並みと見込まれる一方、サトウキビの単収の増加が見込まれることから、生産量は1億436万トン(同11.0%増)と、かなりの増加が見込まれている(
表7)。
しかし、長引く干ばつの影響により特に新植サトウキビの生育不良が見られることに加え、長雨により例年より約1カ月遅れの12月上旬からの収穫となったことから、製糖歩留まりの低下が予想され、砂糖生産量は、1000万トン(同0.2%減)と前年度並みと見込まれている。輸出量は、中国の輸入減少などに伴い、703万トン(同10.0%減)と、かなりの減少が見込まれている。
一方、タイ農業協同組合省農業経済局が先ごろ発表した主要農産物の生産見通しの中で、2016/17年度のサトウキビ収穫面積は、政府による生産者への適地適作の奨励や製糖企業によるサトウキビ栽培への転作促進により、145万ヘクタール(同1.8%増)とわずかな増加が見込まれている。また、生産量は、1億515万トン(同11.7%増)とかなりの増加が見込まれている。これは、サトウキビ生産者の肥培管理などの技術の向上により、単収の増加が見込まれていることなどが要因とされる。砂糖生産量も1094万トン(同11.8%増)とかなりの増加が見込まれており、これに伴い、輸出量も844万トン(同17.4%増)と大幅な増加が見込まれている。
政府は1月、民間企業と共同で、2017/18年度から今後10年かけて同国のバイオ産業を発展させる計画を発表した。同計画では、総額4000億バーツ(1兆3280万円(2017年1月末日TTS:1バーツ=3.32円))近くが投資され、3段階に分けて展開される。第1段階では、まずはバイオ燃料の生産拡大に向け、約510億バーツ(1693億円)が投資され、東部のラヨーン県や北東部のコーンケーン県に精製工場の新設などが予定されている。
さらに、政府は、バイオ製品の原料となるサトウキビやキャッサバの確保のため、コメからの転作を引き続き積極的に奨励する意向を示しており、計画期間中にサトウキビ栽培面積を256万ヘクタールに拡大することを目標としている。
また、政府は、2017/18年度からの適用を目指し、砂糖産業関連法の改正
(注1)に向けた手続きを開始した。 この改正によって、砂糖産業全体の収益をサトウキビ生産者と製糖業者で7:3の割合で分配する現行の収益分配方式や販売割当
(注2)を廃止するとともに、政府が設定している国内砂糖価格を固定制から変動制に移行するものとみられる。なお、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)
(注3)によれば、変動制は、遅くとも2018年4月までに開始されるとしている。
(注1)タイ政府は2016年4月初旬、国際砂糖価格の低迷時などに製糖企業を通じて生産者に支払われる補てん金や、砂糖の販売割当および国内販売価格の設定は、間接的な輸出補助金に当たり国際貿易協定に違反しているとして、ブラジル政府からWTOに提訴された。これを受け、タイ政府は同年11月3日、ブラジルとの2国間協議の場に、同年10月中旬に閣議承認された砂糖政策の改革案を提出した。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当に基づき管理されている。
(注3)タイのサトウキビおよび砂糖関連政策の執行機関である3省(工業省(製糖関係)、農業協同組合省(原料作物関係)、商務省(砂糖の売買関係))とサトウキビ生産者および製糖企業の代表で構成され、工業省内に設置された「サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)」の事務局。