ホーム > 砂糖 > 各国の糖業事情報告 > ベトナムの伝統的な砂糖生産を訪ねて(その1)
最終更新日:2017年5月10日
昭和女子大学国際文化研究所 客員研究員 荒尾 美代
ベトナムでも、筆者は当時、交趾と呼ばれていたベトナムの中部に着目してきた(図1)。
(3)釜1の圧搾汁が加熱されて約15分後に、焼いた赤貝殻を砕いた粉を入れ、浮いてくるあくはすくい取る(写真8)。
(4)釜2〜4に糖液を移動させながら煮詰める。
(5)あくを取りながら加熱1時間後(糖液に泡が立ってきて100度を超えたころ)、4種の葉(グァバ、ジャックフルーツ、スターアップル、その他これに類するもの)をすりつぶして搾った水溶液に、焼いた赤貝殻の粉とピーナツオイルを加えた液を釜2〜4に入れる。グリーンがかった透明感を出すためという(注2)。
(6)釜3を釜2と4に分け入れ、加熱開始から3時間15分で糖蜜が出来る(釜2の糖蜜の温度は105度、pH5.28、ブリックス74.0%、釜4の糖蜜の温度は105度、pH5.22、ブリックス74.0%)。
完成した糖蜜は、主にゼリーシュガー(ドン・デオ)を作る業者に販売される。
(注1)聞き取りに基づく品種。NCo310、POJの可能性がある。
(注2)今回これらの葉の水溶液を使用したのは、糖蜜を製造した残りの糖液をさらに煮詰めて、円すい形の砂糖(ドン・ムン)を作るためである。ドン・ムンの作り方は7月号で紹介する。