2016/17年度の砂糖生産量はやや増加するも輸出量はやや減少の見込み
2016/17砂糖年度(7月〜翌6月)のサトウキビ収穫面積は39万ヘクタール(前年度比3.2%増)とやや増加し、生産量は3550万トン(同1.9%増)とわずかな増加が見込まれている(
表6)。 サトウキビの増産に加え、製糖歩留まりの向上も見られることから、砂糖生産量は523万トン(同3.3%増)とやや増加が見込まれている。一方、中国向けの減少などに伴い、輸出量は400万トン(同3.8%減)とやや減少が見込まれている。
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は3月7日、2016/17年度および2017/18年度の生産見通しを発表した。これによると、2016/17年度の砂糖生産量は、収穫面積の拡大に伴うサトウキビ生産量の増加により、509万トン(同3.4%増)とやや増加が見込まれ、また、砂糖輸出量も429万トン(同3.6%増)とやや増加が見込まれている。2017/18年度も、引き続き、収穫面積の拡大および生産量の増加が予想されることから、砂糖生産量は516万トン(同1.5%増)とわずかな増加が予想されているが、砂糖輸出量は、430万トン(同0.2%増)にとどまると予想されている。
3月28日、過去6年で最大勢力のサイクロン「デビー」が豪州北東部を直撃し、マッカイなどのサトウキビ主要生産地域を襲った。サトウキビの収量低下のほか、倒伏などにより、収穫作業経費の増加が危惧されている。サトウキビ生産者団体Canegrowersが同月31日に発表した第1回被害状況調査によると、クイーンズランド(QLD)州のサトウキビの損失額は、1億5000万豪ドル(132億円〈3月末日TTS:1豪ドル=88円〉)と見込まれている。QLD州政府は4月2日、今回のサイクロン被害を受けた生産者を支援するため、緊急的な作物の移送経費への補助(上限5000豪ドル〈44万円〉)や低利融資(上限25万豪ドル〈2200万円〉)などを措置すると発表した。
また、2017/18年度以降の新たな輸出契約に関し、連邦政府は4月5日、「砂糖産業に対する強制行動規範」を施行した。同規範は、サトウキビ生産者、製糖企業および砂糖輸出企業の3者間の紛争仲裁手続きについて規定したものである。連邦政府は、今回の規範施行の背景として、QLD州の砂糖輸出産業が同州で最も重要な産業であり、持続的な発展と効率的な管理が期待されながら紛争が続いていたことから、「QLD州砂糖産業法」
(注)などの既存の枠組みを早急に補う必要があったことを挙げている。これによって、QLD州の砂糖産業で、およそ2年にわたり続いていた紛争が収束に向けて一歩前進した。
これに対し、豪州砂糖製造事業者協会(ASMC)は4月5日、交渉が難航していた製糖企業1社がQLD州砂糖公社(QSL)と3月2日に大筋で合意に達していたにもかかわらず、連邦政府が協議もなく「手荒い」規制を行使したとして、非難する声明を発表している。
(注)2015年12月、実質的に一元輸出を継続していたQLD州砂糖公社(QSL)以外の砂糖輸出企業を生産者が選択できるよう改正された。この改正に伴い、QSLを選択する生産者ともサトウキビ供給契約(CSA)を結ぶことにした製糖企業がある中、最大手の企業は直接輸出に固執し、交渉が長期化していた。