2016/17年度の砂糖生産量はわずかに増加、輸出量はかなり減少の見込み
2016/17砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、141万ヘクタール(前年度比0.2%減)と前年度並みと見込まれる一方、単収の低下が見込まれることから、生産量は9300万トン(同1.1%減)とわずかな減少が見込まれる(
表7)。
しかし、砂糖生産量は、長引く干ばつの影響があったものの、製糖歩留まりの向上が見られることなどから、1030万トン(同2.7%増)とわずかな増加が見込まれている。また、輸出量は、中国向けの減少などに伴い、708万トン(同9.3%減)とかなりの減少が見込まれている。
タイ製糖協会によると、5月3日までに2016/ 17年度のサトウキビの圧搾が終了し、同年度のサトウキビ圧搾量は9295万トン(同1.2%減)とわずかに減少した。干ばつの影響によるサトウキビの減産に伴い、サトウキビ圧搾量が前年度比で8%減少した工場も見られた。
政府は現在、砂糖産業関連法の改正
(注1)に向けた手続きを行っている。この改正によって、砂糖産業全体の収益をサトウキビ生産者と製糖業者で7:3の割合で分配する現行の収益分配方式や販売割当
(注2)、政府が設定している国内砂糖価格は廃止されるとみられる。
現地報道によると、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)
(注3)は5月中旬、各製糖企業に対し、国内供給用に、生産量の一定割合を常に在庫として確保するよう求めること、今後は、OCSBが国際価格を基に算出した基準価格を発表することなど、改正の方向性について関係者間で合意に達したと明らかにし、改正法は11月までに施行される見込みであるとした。
(注1)タイ政府は2016年4月初旬、国際砂糖価格の低迷時などに製糖企業を通じて生産者に支払われる補てん金や、砂糖の販売割当および国内販売価格の設定は、間接的な輸出補助金に当たり国際貿易協定に違反しているとして、ブラジル政府からWTOに提訴された。これを受け、タイ政府は同年11月3日、ブラジルとの2国間協議の場に、同年10月中旬に閣議承認された砂糖政策の改革案を提出した。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当に基づき管理されている。
(注3)タイのサトウキビおよび砂糖関連政策の執行機関である3省(工業省(製糖関係)、農業協同組合省(原料作物関係)、商務省(砂糖の売買関係))とサトウキビ生産者および製糖企業の代表で構成され、工業省内に設置された「サトウキビ・砂糖委員会(TCSB)」の事務局。