従来、種子島では、生産者は梢頭部(サトウキビの先端部)を切り落としたサトウキビを製糖工場に出荷しなければならない。このため、収穫期には、梢頭部を切り落とす作業を行う補助員が5〜6人必要になり、その労働力のほとんどが女性であった。
しかし、自分の身長より高い位置にある梢頭部を1本1本手で刈り取る作業は、大変な重労働であるため、高齢化や過疎化などにより人員確保が年々厳しくなっていた。また、人員の確保ができなかったり、自身で対応できなかったりする生産者は、離農や規模縮小せざるを得ず、地域の生産力低下の要因にもなっていた。
そこで、平成14年4月、収穫期の作業負担の軽減を図ることなどを目的に南種子町内の9人の生産者が発起人となり、脱葉処理を専門に行う任意団体 「南種子精脱葉利用組合」を設立した。同時に、砂糖の原料になる部分と梢頭部を含むトラッシュ(夾雑物)を選別する工場(以下「精脱工場」という)を整備し、収穫されたサトウキビが製糖工場に搬入される間の中間処理施設として稼働を開始した(
図2)。
精脱工場の誕生により、
圃場での梢頭部の切り落とし作業が不要となったことから、生産者は収穫期の人員確保と重労働から解放された。
同組合とは別組織として、同年10月、「有限会社南種子精脱葉」を設立し、圃場から精脱工場▽精脱工場から製糖工場−へのサトウキビの運搬業務も手掛けるようになった。
組合発足から7年が経過し、継続して利益を上げていたことから、社会的信用の向上や、より強固な組織体制および運営を維持・確立していくため、法人格移行に向けた機運が高まった。これを受け、 21年、南種子精脱葉利用組合と有限会社南種子精脱葉を統合し、「農事組合法人 南種子さとうきび生産組合」を設立、それから3年後の24年、施設の利用を希望する生産者(組合員外)にも広く門戸を開くため、株式会社に移行し、現在、「株式会社南種子精脱葉」として事業を展開している(
写真1)。