清水町には、町やJAに代わり、農作業支援を行う有限会社清水町農業サポートセンター(以下「農業サポートセンター」という)がある。農家の高齢化や大規模化に伴う労働力不足に対応するため、町とJA十勝清水町の支援の下、平成9年に前身である農作業受託協議会が設立された。そして、13年にJA十勝清水町や個人農家などの出資により、現在の法人形態となった。
農業サポートセンターが受託している作業で最も多いのは牧草やデントコーンの収穫であり、28年産の実績は3700ヘクタールに上る。また、播種や堆肥散布でもそれぞれ、910ヘクタール、735ヘクタールを受託している。同町における飼料作物の作付面積は7300ヘクタール余りであることから、約半分の面積において農業サポートセンターによる作業支援が行われていることとなり、農業サポートセンターが町内の酪農家における粗飼料確保などに大きな役割を果たしていることがうかがえる。
てん菜については、移植作業を受託しており、受託面積は28年産71ヘクタール、29年産88ヘクタールとなっている。
また、移植作業以外では、4カ所の育苗センターが育苗作業を支援している。育苗センターは、てん菜の移植栽培を行うためペーパーポット
(注)に播種を行う施設であり、移植栽培に係る育苗作業の負担を軽減するために道内各地で農協や共同利用組織が主体となって運営されている。
てん菜の植え付けに当たっては、ペーパーポットであらかじめ苗を育ててそれを畑に定植する移植栽培と、種子を直接畑に播く直播栽培がある。移植栽培は直播栽培に比べて収量が高く初期生育が安定しやすい反面、育苗および移植作業に時間と労力を要する。このことから、近年では、移植栽培に比べ収量は落ちるものの、育苗および移植作業に係る時間と労力が省ける直播栽培の割合が拡大傾向にあり、平成28年産は全道平均で2割に達し、清水町内でも同様の割合となっている(
図3)。
(注)移植用の紙筒のこと。ペーパーポットは、1冊当たり1400個の紙筒が連結している。10アール当たりの苗の作付け本数を7200本とすると、発芽不良の分も考慮して、1ヘクタール当たり約55冊のペーパーポットが必要となる。