2016/17年度の砂糖生産量はわずかに増加、輸出量はかなり減少の見込み
2016/17砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、141万ヘクタール(前年度比0.2%減)と前年度並みが見込まれる一方、長引く干ばつの影響で単収が減少することから、生産量は9300万トン(同1.1%減)とわずかな減少が見込まれる(
表7)。
しかし、砂糖生産量は、製糖歩留まりの向上などから、1030万トン(同2.7%増)とわずかな増加が見込まれている。一方、輸出量は、中国向けの減少などに伴い、708万トン(同9.3%減)とかなりの減少が見込まれている。
2017/18年度の砂糖生産量は大幅増、輸出量はやや減少の見込み
2017/18年度のサトウキビ収穫面積は、他作物からの転作の進展などにより154万ヘクタール(前年度比9.4%増)、生産量は1億500万トン(同12.9%増)と、ともにかなりの増加が見込まれている。
砂糖生産量は、天候に恵まれたことで、製糖歩留まりが向上し、1200万トン(同16.5%増)と大幅な増加が見込まれている。一方、輸出量は、中国向けの減少などに伴い、680万トン(同3.9%減)とやや減少が見込まれている。
タイ製糖協会が10月中旬に発表した見通しによると、2017/18年度のサトウキビ圧搾量は、一部の地域で洪水による影響が見られるものの、前年度から10%増の1億400万トンと見込まれている。
政府は現在、砂糖産業関連法の改正
(注1)に向けた手続きを行っている。この改正によって、砂糖産業全体の収益をサトウキビ生産者と製糖業者で7:3の割合で分配する現行の収益分配方式や販売割当
(注2)、および政府が設定している国内砂糖価格は廃止されるとみられる。
現地報道によると、法改正後の新制度の施行開始時期については、当初12月1日が予定されていたが、サトウキビ取引価格の算定方法に関する関係者との協議や国内砂糖小売価格の自由化に係る関連規程の改正などに時間を要しており、予定どおりの施行が危ぶまれている。生産者団体は、将来的にサトウキビおよび砂糖産業に深刻な影響が及ぶとして、運用方針が固まらない限り延期するよう求めている。菓子業界からは、施行後の価格の見通しや消費者への影響が不透明であるとして、政府に説明を求める声が出ている。
現地報道によると、9月16日から実施されている糖類を含む飲料に対する税率は、糖類含有量に応じて設定され、2年ごとに引き上げられる(
表8)。飲料製造者が徐々に糖類を減らした製品を製造できるよう、6年間の猶予期間が設けられ、高い税率が課される糖類含有量の上限値は段階的に引き下げられることとなっている。
(注1)タイ政府は2016年4月初旬、国際砂糖価格の低迷時などに製糖企業を通じて生産者に支払われる補てん金や、砂糖の販売割当および国内販売価格の設定は、間接的な輸出補助金に当たりWTO協定に違反しているとして、ブラジル政府からWTOに提訴された。これを受け、タイ政府は同年11月3日、ブラジルとの2国間協議の場に、同年10月中旬に閣議承認された砂糖政策の改革案を提出した。サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)によると、改革案はその後また閣議レベルで吟味され、公聴会を実施してから再提出するよう、OCSBへ返却された。その後、OCSBは公聴会を実施したが、関連規程の改正などに時間を要し、現在に至る。改革案は近いうちに閣議へ再提出される予定となっている。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当に基づき管理されている。