2017/18年度の砂糖生産量、輸出量ともに前年度並みの見込み
2017/18砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、884万ヘクタール(前年度比2.3%減)とわずかに減少するものの、生産量は単収の増加から、6億4763万トン(同1.5%減)と見込まれている(
表2)。
砂糖生産量は、4080万トン(同0.7%増)と前年度並みが見込まれている。これは、サトウキビの砂糖への仕向け割合の増加に加え、製糖歩留まりの向上が予想されているためである。輸出量については、国際的な砂糖需要が弱まると見込まれ、2870万トン(同0.1%減)と見込まれている。
ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)
(注1)が発表した2017年4〜11月の生産実績報告によると、中南部地域のサトウキビ圧搾量は、多雨の影響から、5億6818万トン(前年同期比2.3%減)とわずかに減少したが、砂糖生産量は、3509万トン(同1.1%増)とわずかに増加した。一方、エタノール生産量は、2446万キロリットル(同0.2%増)と前年度並みとなり、輸出量も含めたエタノールの販売量は、1760万キロリットル(同3.6%減)とやや減少した。含水エタノール
(注2)の国内販売量は、価格の上昇により1007万キロリットル(同3.3%減)とやや減少したが、10月は150万キロリットル(前年同月比22.0%増)と大幅に増加し、2015年9月以来の高水準となった。これは、7 月にブラジル国営石油公社ペトロブラスがガソリン卸売価格を引き上げたことで、競合する含水エタノールの価格競争力が高まっているためである。石油・天然ガス・バイオ燃料監督庁(ANP)によると、11月の含水エタノール小売価格(サンパウロ州)は、1リットル当たり2.65レアル(93円〈11月末日TTS:1レアル=35円〉)とガソリン小売価格の同3.82レアル(134円)の70%
(注3)を下回った。これにより、今後もエタノール需要が高まると見込まれることから、製糖企業によるサトウキビのエタノール仕向け割合が増加するとの見方が強まっている。
現地報道によると、南米南部共同市場(メルコスール)とEUの自由貿易協定(FTA)は、12月中を目途に大筋合意を目指していたが、2018年へ持ち越される可能性が高まっている。EUは、同FTAにおいて、粗糖については10万トンの関税割当(枠内税率は1トン当たり98ユーロ〈1万3132円〈11月末日TTS:1ユーロ=134円〉〉で、現行のCXL割当枠
(注4)の枠内税率と同率)を導入し、エタノールについては6年以内に60万トンの関税割当を導入し、このうち40万トンは化学工業向けとするとみられている。これに対し、UNICAは、粗糖の市場アクセスが改善されない場合、ブラジル砂糖産業は十分な恩恵を受けることができないと非難している。
また、パリ協定に基づく温室効果ガス排出量の抑制などを目的とする新たな再生可能エネルギー法(RenovaBio)案が12月中旬、議会上院で可決された。同法案は、現行27%のガソリンへの無水エタノールの最低混合率を、2022年までに30%、2030年までに40%へ引き上げることなどが盛り込まれており、2019/20年度までに施行されるとみられている。
(注1)ブラジル全体の砂糖生産量の9割を占める中南部地域を区域としている団体。
(注2)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に得られた水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除きアルコール100%としたもので、ガソリンに混合して利用される。
(注3)一般的なフレックス車のエタノール燃料効率がガソリンの70%程度とされていることから、消費者の購入判断の基準となっている。
(注4)粗糖輸入国であったフィンランドなどのEU加盟に当たり協議、合意の下に設定された関税割当で、対象は、精製糖製造用の甘しゃ粗糖(ただし、インドはHSコード1701台のすべての品目)。