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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2018年2月9日

砂糖類の国内需給

2018年2月

調査情報部

1. 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。12月に「平成29砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第2回)」を公表した。

平成29砂糖年度(10月〜翌9月)の見通し

(1)砂糖の消費量

 平成28砂糖年度(10月〜翌9月)の砂糖の消費量は、192万9000トン(前年度比1.5%減)となった(表1)。内訳を見ると、分みつ糖の消費量が189万3000トン(同1.6%減)、含みつ糖の消費量が3万6000トン(同2.9%増)であった。

 29砂糖年度の砂糖の消費量は、193万7000トン(同0.4%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の消費量は、近年の消費動向を基に、景気は緩やかな回復基調が続いていることなどを踏まえ、190万トン(同0.3%増)と見通している。含みつ糖の消費量は、近年の消費動向などを勘案し、3万7000トン(同3.0%増)と見通している。

(2)砂糖の供給量

 平成28砂糖年度の砂糖供給量は、188万9000トン(前年度比5.0%減)となった。内訳を見ると、分みつ糖の供給量が186万9000トン(同5.1%減)、含みつ糖の供給量が2万トン(同5.3%増)であった。

 29砂糖年度の砂糖の供給量は、193万4000トン(同2.4%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖が191万3000トン(同2.4%増)、含みつ糖が2万1000トン(同5.0%増)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜については、前年6月以降の全道的な長雨や8月中下旬の台風などの被害により不作となったことから、作付面積は前年産に比べて2.1%(約1300ヘクタール)減少した。作柄については、低温・多雨の影響により生育が停滞した地域があったものの、全体としては気象条件に恵まれ、病害虫の発生も少なかったことなどによりおおむね順調に推移したことから、産糖量は66万6000トン(前年産比31.8%増)、供給量は66万5000トン(精製糖換算。前年度比31.7%増)と見通している。

 サトウキビについては、沖縄県を中心に前年産の豊作を受けて生産意欲が高まったことなどから、収穫面積は前年産に比べて3.7%(約850ヘクタール)増加した。作柄については、台風被害が発生した地域があったものの、全体としては被害が少なく平年以上の収量が見込まれることから、産糖量は14万7000トン(前年産比19.1%減)、供給量は14万トン(精製糖換算。前年度比19.1%減)と見通している。

(3)異性化糖の需給

平成29砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、81万5000トン(前年度比2.0%減)と見通している(表2)。また、異性化糖の供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。

表1 平成29砂糖年度における砂糖の需給見通し

表2 平成29砂糖年度における異性化糖の需給見通し

2.異性化糖の移出動向

12月の移出数量は前年同月からやや増加
 2017年12月の異性化糖の移出数量は、6万2537トン(前年同月比4.7%増、前月比2.7%増)であった(図1)。
 12月の規格別の移出量は、次の通りであった(図2)。

果糖含有率40%未満     467トン  
 (前年同月比7.1%増、前月比6.7%増)
同40%以上50%未満 1万7533トン  
 (同1.4%増、同0.7%減)
同50%以上60%未満 4万3846トン  
 (同5.9%増、同4.1%増)
同60%以上          691トン  
 (同18.6%増、同10.4%増)

図1 異性化糖の移出量の推移

図2 異性化糖の種類別移出量の推移

3.輸入動向

【分みつ糖の輸入動向】
11月の輸入量は前年同月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2017年11月の分みつ糖(HSコード 1701.14-110)の輸入量は、1万9977トン(前年同月比71.0%減、前月比14.8%減)であった(図3)。
 輸入先国はタイ、フィリピンおよび米国の3カ国で、輸入量は次の通りであった(図4)。

タイ    1万972トン  
 (前年同月比74.1%減、前月比4.2%減)
フィリピン  9000トン  
 (前年同月輸入実績なし、同4.5倍)
米国      5トン  
 (前年同月比86.8%減、前月輸入実績なし)

 また、同月における豪州からの高糖度原料糖(糖度98.5度以上99.3度未満、HSコード1701.14-200)の輸入量は、13万2421トン(前年同月比48.1%増、前月比2.4倍)であった。

図3 分みつ糖の輸入量の推移

図4 分みつ糖の国別輸入量の推移

 2017年11月の1トン当たりの輸入価格は、4万3369円(前年同月比24.3%安、前月比2.3%高)であった(図5)。

タイ     4万3879円  
 (前年同月比19.7%安、前月比1.1%高)
フィリピン   4万2527円  
 (前年同月輸入実績なし、同4.4%安)
米国    43万9400円  
 (前年同月比4.4倍、前月輸入実績なし)

 また、同月における豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、4万2584円(前年同月比25.4%安、前月比3.8%高)であった。

図5 分みつ糖の輸入価格の推移

【含みつ糖の輸入動向】
11月の輸入量は前年同月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2017年11月の含みつ糖(HSコード 1701.13-000、1701.14-190)の輸入量は、399トン(前年同月比31.2%減、前月比58.5%減)であった(図6)。

 輸入先国はボリビア、フィリピン、中国、ブラジルおよびタイの5カ国で、国別の輸入量は次の通りであった(図7)。

ボリビア   192トン  
 (前月同月比34.5%減、前月比2.5倍)
フィリピン   89トン  
 (同2.6倍、同6.0%増)
中国      59トン  
 (前年同月同、同91.8%減)
ブラジル   38トン  
 (前年同月比75.0%減、前月同)
タイ      21トン  
 (同50.0%減、前月同)

図6 含みつ糖の輸入量の推移

図7 含みつ糖の国別輸入量の推移

 2017年11月の1トン当たりの輸入価格は、14万6456円(前年同月比0.7%高、前月比10.2%高)であった(図8)。
 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

ボリビア   13万6839円  
 (前年同月比5.8%高、前月比0.3%高)
フィリピン  14万8584円  
 (同10.6%高、同34.3%高)
中国    13万2407円  
 (同23.5%高、同0.7%高)
ブラジル  23万9395円  
 (同14.6%高、同0.9%高)
タイ     9万6667円  
 (同7.0%高、同0.9%高)

図8 含みつ糖の輸入価格の推移

【加糖調製品の輸入動向】
11月の加糖調製品の輸入量は前年同月からやや減少

 財務省「貿易統計」によると、2017年11月の加糖調製品の輸入量は、4万8902トン(前年同月比4.6%減、前月比3.1%増)であった(図9)。
 品目別の輸入量は、次の通りであった。

ミルク調製品     1万3873トン  
 (前年同月比7.7%減、前月比0.7%減)
ソルビトール調製品   9461トン  
 (同1.2%減、同2.9%増)
ココア調製品        8937トン  
 (同9.8%減、同2.2%減)
調製した豆(加糖あん)  5422トン  
 (同4.6%減、同15.6%増)
穀粉調製品        3881トン  
 (同1.5%増、同0.1%減)
コーヒー調製品       22トン  
 (同41.6%増、同69.4%増)
その他調製品      7305トン  
 (同0.9%増、同11.5%増)

図9 加糖調製品の品目別輸入数量の推移

4.価格動向

【市場価格】
砂糖、異性化糖ともに前月と同水準で推移

 12月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。

上白糖(大袋)
東京 1キログラム当たり189〜190円
大阪               同190円
名古屋              同193円
関門               同193円

上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり202〜203円
大阪               同204円

本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり194〜195円
大阪               同195円
名古屋             同198円

ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり189〜190円
大阪               同190円
名古屋             同191円

 12月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

果糖分42%もの  
 1キログラム当たり131〜132円

果糖分55%もの          
           同137〜138円

【小売価格】
12月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で22.1円

 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける12月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、190.8円(前年同月差1.0円高、前月差2.6円安)であった。
 同月の地域別(注)の平均小売価格は次の通りであった。

北海道    197.9円  
 (前年同月差8.4円高、前月差0.3円高)
東北     200.6円  
 (同12.5円高、同0.1円高)
関東など  181.7円  
 (同5.3円高、同0.2円安)
首都圏   188.9円  
 (同5.6円安、同5.6円安)
中部     179.6円  
 (同4.0円高、同0.8円高)
関西     190.8円  
 (同0.3円高、同1.1円安)
中国・四国 201.7円  
 (同10.1円安、同7.3円安)
九州・沖縄 192.2円  
 (同4.9円高、同4.8円安)

 最も高かったのは中国・四国で、最も安かった中部との価格差は22.1円であった。

(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県


12月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で74.8円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける12月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、241.5円(前年同月差1.4円高、前月差2.4円安)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった。

北海道    201.8円  
 (前年同月差5.5円高、前月差0.5円安)
東北      276.6円  
 (同5.0円高、前月同)
関東など   249.7円  
 (同4.8円高、前月差0.2円高)
首都圏     244.9円  
 (同0.5円安、同3.2円安)
中部     248.3円  
 (同0.1円高、同0.8円安)
関西     230.0円  
 (同1.7円高、前月同)
中国・四国  251.2円  
 (同4.0円安、前月差10.2円安)
九州・沖縄  222.6円  
 (同6.3円高、同1.5円安)

 最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は74.8円であった。

12月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で45.9円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける12月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、234.2円(前年同月差3.7円高、前月差2.2円安)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった。

北海道      245.3円  
 (前年同月差15.4円高、前月差4.8円高)
東北      259.2円  
 (同9.9円高、同4.9円安)
関東など   243.0円  
 (同3.5円高、同2.8円高)
首都圏    228.1円  
 (同4.1円高、同2.9円安)
中部      226.7円  
 (同2.5円高、同1.7円安)
関西      223.5円  
 (同1.9円安、同3.4円安)
中国・四国  247.0円  
 (同0.5円安、同7.6円安)
九州・沖縄  213.3円  
 (同2.3円高、同0.9円高)

 最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は45.9円であった。

【購入金額および購入量】
11月の砂糖の支出金額は前年同月からかなりの程度下落

 総務省「家計調査」によると、2017年11月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は40で、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は、99円(前年同月比8.3%安、前月比8.8%高)であった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、418グラム(同16.7%減、同6.6%増)であった(図11)。

図10 1世帯当たりの砂糖に係る支出額の推移

図11 1世帯当たりの砂糖の購入数量の推移

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