2017/18年度の砂糖生産量は大幅増、輸出量はかなり増加の見込み
2017/18砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、他作物からの転作の進展などにより154万ヘクタール(前年度比9.4%増)、生産量は1億500万トン(同12.9%増)と、ともにかなりの増加が見込まれている(
表7)。
砂糖生産量は、好天により製糖歩留まりが向上し、1200万トン(同16.5%増)と過去最高に達すると見込まれている。このため、輸出量は、788万トン(同11.4%増)とかなりの増加が見込まれている。
現地情報によると、砂糖産業関連法の改正案は2017年12月上旬、閣議で承認された
(注1)。この改正によって、砂糖産業全体の収益をサトウキビ生産者と製糖業者で7:3の割合で分配する現行の収益分配方式は存続するが、砂糖の販売割当
(注2)は一部を除いて廃止され、製糖企業は、生産量に応じた在庫量の確保が新たに義務付けられる予定である。政府が設定している国内砂糖価格は廃止されることとなる。改正後の新制度の施行時期については、当初12月1日が予定されていたが、サトウキビ取引価格の算定方法に関する関係者との協議や国内砂糖小売価格の自由化に係る関連規定の改正などに時間を要している。このような中、政府は1月15日、国内砂糖価格については同日から2年間、現行のサトウキビ・砂糖法を適用しないことで、実質的な価格自由化への即時移行を発表した。
現地情報によると、国内砂糖小売価格については、商務省が法改正後も引き続き監視するとみられる。現在、砂糖小売価格は、1キログラム当たり23.50バーツ(83円〈12月末日TTS:1バーツ=3.53円〉)を上回らないよう管理されており、商務省は毎月、参照価格を公表することで、今後も小売価格が参照価格以下となるよう促すものとみられる。
(注1)タイ政府は2016年4月初旬、国際砂糖価格の低迷時などに製糖企業を通じて生産者に支払われる補てん金や、砂糖の販売割当および国内販売価格の設定は、間接的な輸出補助金に当たりWTO協定に違反しているとして、ブラジル政府からWTOに提訴された。これを受け、タイ政府は同年11月3日、ブラジルとの2国間協議の場に、同年10月中旬に閣議承認された砂糖政策の改革案を提出した。サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)によると、改革案は再度閣議レベルで吟味され、公聴会を実施してから再提出するよう、OCSBへ返却された。その後、OCSBは公聴会を実施したが、関連規程の改正案などに時間を要していた。改革案は、その後閣議へ再提出され、2017年12月上旬に承認された。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当に基づき管理されている。