中里組合は収穫の他、株揃え、耕運、植え付けの作業を受託している(
表5)。このうち収穫作業は、受託面積のうち半分程度は中里地区外となっている。地区外の割合が高いことは喜界島の特徴でもあり、以前から生産者間で定着している。地区ごとに割り振る方が作業効率上好ましいが、受託作業は委託する生産者と受託者との信頼関係によるものであることからやむを得ないと考えられる。
中里組合では、作業の順番を地区外の遠方から中里地区に戻ってくるようにすることで、効率化を図っている。また、1台のハーベスタを3人のオペレーターで効率的に使用できること、整備士の資格を持つ弟の貴也氏が極力ハーベスタのメンテナンスを行うことでコスト削減ができることも中里組合の強みとなっている。
さらに、株揃えや耕運も受託し、高齢化が進む島内の生産者の声に応えている。これらは1人での作業が可能なため、柔軟に対応できることから今後も積極的に取り組む方針である。一方、植え付けの受託は平成28年産に開始した。この作業は、発芽の状況ではっきり結果が目に見えてしまい、生産者の手取りに影響してくることから責任が大きい。このため、しばらくは受託面積を抑え、申し込み体制の確立などの諸条件が整ってから本腰を入れたい意向である。
受託するに当たっては、収穫作業は農協が一括で受け付ける仕組みとなっているが、その他は利用者である生産者から直接申し込みを受けている。生産者からの申し込みについては原則断らない方針であり、高齢者や地元地区の方を大切にするという力氏の教えを守り、丁寧な作業に努めている。
その他、安全面に力を入れている。新規で申し込む生産者には作業の流れを必ず事前に説明するとともに、受託作業は遅くても19時までに切り上げ夜間に行わないこととし、事故が発生しないよう無理のない作業に努めている。