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4. 日本の主要輸入先国の動向(2018年2月時点予測)

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最終更新日:2018年3月9日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2018年2月時点予測)

2018年3月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであったが、2017年の主要輸入先国ごとの割合は、豪州が69.5%(前年比17.3ポイント増)、タイが25.0%(同22.7ポイント減)と、この2カ国で9割以上を占めている(財務省「貿易統計」)。
 豪州およびタイは毎月の報告、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回はフィリピンを報告する。

豪州

2017/18年度の砂糖生産量はやや減少、 輸出量はかなり減少の見込み
 2017/18砂糖年度(7月〜翌6月)のサトウキビ収穫面積は40万ヘクタール(前年度比1.8%増)とわずかな増加が見込まれているものの、3月に襲来したサイクロンの影響による単収の減少から、生産量は3343万トン(同8.4%減)とかなりの減少が見込まれている(表6)。これに伴い、砂糖生産量は、471万トン(同4.3%減)とやや減少が見込まれている。輸出量は、中国向けなどの減少に伴い357万トン(同8.8%減)とかなりの減少が見込まれている。

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)が2017年12月中旬に公表した2017/18年度の生産予測によると、サトウキビ栽培面積は38万ヘクタール(同2.2%増)とわずかに増加するものの、サイクロンの被害に伴い、1ヘクタール当たり収量が88トン(同10.0%減)とかなりの減少が見込まれていることから、砂糖生産量は、470万トン(同2.2%減)とわずかに減少すると見込まれている。輸出量については、前年度並みの399万トン(同0.6%減)と見込まれている。

 豪州砂糖製造業者協議会(ASMC)によると、2017/18年度のサトウキビ圧搾実績は3335万トン(同8.7%減)とかなり減少し、年度当初見込みより60万6000トン下方修正された。

 豪州政府は2月12日、ペルーとの自由貿易協定に署名した。これにより、豪州産粗糖は、無税の関税割当の下で、ペルーへ輸出されることとなる。豪州産粗糖の関税割当は、初年度は3万トンであるが、今後5年で6万トン、18年で9万トンへ、毎年拡大される予定である。これにより、ペルーの粗糖輸入量に占める豪州産の割合は30%に拡大すると見込まれている。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2017/18年度の砂糖生産量は大幅増、輸出量はかなり増加の見込み
 2017/18砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、他作物からの転作の進展などにより154万ヘクタール(前年度比9.4%増)、生産量は1億500万トン(同12.9%増)と、ともにかなりの増加が見込まれている(表7)。

 砂糖生産量は、好天により製糖歩留まりが向上し、1200万トン(同16.5%増)と大幅な増加が見込まれている。このため、輸出量は、817万トン(同15.5%増)とかなりの増加が見込まれている。現地報道によると特に、高い輸入関税措置を講じる中国に代わり、台湾向けが堅調で、2017年の台湾への輸出量は80万7000トン(前年比6.8倍)と大幅に増加している。

 現地情報によると、砂糖産業関連法の改正案は2017年12月上旬、閣議で承認された(注1)。この改正によって、砂糖産業全体の収益をサトウキビ生産者と製糖業者で7:3の割合で分配する現行の収益分配方式は存続するが、砂糖の販売割当(注2)は一部を除いて廃止され、製糖企業は、生産量に応じた在庫量の確保が新たに義務付けられる予定である。政府が設定している国内砂糖価格の上限は廃止されることとなる。関係者によると、変更後の政策の完全施行は、2017/18年度のサトウキビ圧搾開始時期である2017年12月が予定されていたが、最終調整まで時間を要しているため、次年度まで持ち越される可能性もある。このような中、政府は1月15日、国内砂糖価格については同日から2年間、現行のサトウキビ・砂糖法を適用しないことで、実質的な価格自由化への即時移行を発表した。また、国内供給向けの砂糖の販売割当に関する規定も併せて廃止された。

 現地情報によると、国内砂糖価格については、商務省が法改正後も引き続き監視するとみられる。これまで砂糖小売価格は、1キログラム当たり23.50バーツ(83円〈1月末日TTS:1バーツ=3.55円〉)を上回らないよう管理されてきたが、1月15日以降、同23バーツ(82円)から同21.50バーツ(76円)程度へ下落しているとの情報もある。なお、商務省は毎月、参照価格を公表することで、今後も小売価格が参照価格以下となるよう促すものとみられる。

(注1)タイ政府は2016年4月初旬、国際砂糖価格の低迷時などに製糖企業を通じて生産者に支払われる補てん金や、砂糖の販売割当および国内砂糖価格の設定は、間接的な輸出補助金に当たりWTO協定に違反しているとして、ブラジル政府からWTOに提訴された。これを受け、タイ政府は同年11月3日、ブラジルとの2国間協議の場に、同年10月中旬に閣議承認された砂糖政策の改革案を提出した。その後、改革案は、公聴会を実施してから再提出するよう、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)へ差し戻された。OCSBはその後、公聴会を実施し所用の見直しを行った後、再度改革案を閣議へ提出し、2017年12月上旬に承認された。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当に基づき管理されている。

表7 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

フィリピン

2017/18年度の砂糖生産量はかなり減少、 輸出量はかなり増加の見込み
 2017/18砂糖年度(9月〜翌8月)のサトウキビ収穫面積は47万ha(前年度同)、生産量は3404万トン(前年度同)と見込まれている。砂糖生産量は、製糖歩留まりの低下に伴い、227万トン(前年度比9.2%減)とかなりの減少が見込まれている(表8)。

 砂糖統制委員会(SRA)(注1)が発表した2017年9月〜翌2月上旬の生産実績報告によると、サトウキビ圧搾量は1119万トン(前年同期比1.6%減)とわずかに減少し、粗糖生産量は95万トン(同4.0%減)とやや減少した。

 砂糖輸出量は、22万トン(前年度比8.6%増)とかなりの増加が見込まれている。これは、期首在庫量が高水準であったことから、年度当初に輸出が堅調であったことが背景にある。

 SRAは1月下旬、国内供給の安定化を図るため、同年度の国内供給向けの砂糖の割当数量を砂糖生産量の80%から同93%へ引き上げることを決定し た(注2)。これに伴い、米国向けの割当数量は同6%、米国以外の輸出向けは同1%へ引き下げられた。

 現地報道によれば、2017年12月13日、糖類を含む飲料への課税が盛り込まれた総合的な税制改革法案が可決された。税率は、1リットル当たり6ペソ(14円〈1月末日TTS:1ペソ=2.28円〉)、異性化糖が使用された清涼飲料水は、同12ペソ(27円)となっている。課税の決定を受け、国内の飲料製造業者には使用する糖類を異性化糖から国産糖へ切り替える動きが出てきている。同国は中国産異性化糖の最大の輸入国で、2017年の輸入量は約29万トンと、中国産異性化糖の総輸出量のうち半数を占めていた。今回の切り替えの動きにより、中国国内での異性化糖の供給過剰が懸念されている。

(注1)砂糖の供給管理政策など国内砂糖産業の管理・監督などを実施する政府機関。
(注2)2017/18年度の砂糖の割当数量は、2017年8月末時点では、国内生産量のうち、10%を米国向け(特恵的な関税枠を有す)▽80%を国内向け▽10%を輸出向け―に設定していた。

表8 フィリピンの砂糖需給の推移

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