2017/18年度の砂糖生産量は大幅増、輸出量はかなり増加の見込み
2017/18砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、他作物からの転作の進展などにより154万ヘクタール(前年度比9.4%増)とかなり増加し、生産量は、単収の増加から、1億1000万トン(同22.2%増)と大幅な増加が見込まれている(
表7)。
砂糖生産量は、好天により製糖歩留まりが向上し、1255万トン(同21.9%増)と大幅な増加が見込まれている。このため、輸出量は、817万トン(同15.4%増)とかなりの増加が見込まれている。
サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)によると、砂糖生産量は1300万トン以上に達すると見込まれている。なお、現地報道によると、2017年12月〜翌3月上旬までの砂糖生産量は、すでに前年度の砂糖生産量を上回る1012万トン(前年同期比20.2%増)となった。
現地情報によると、砂糖産業関連法の改正案は2017年12月上旬、閣議で承認された
(注1)。この改正によって、砂糖の販売割当
(注2)は一部を除いて廃止され、製糖企業は、生産量に応じた在庫量の確保が新たに義務付けられることとなる。政府が設定している国内砂糖価格の上限は廃止される。なお、砂糖産業全体の収益をサトウキビ生産者と製糖業者で7:3の割合で分配する現行の収益分配方式は存続する。
政府は1月15日、国内砂糖価格については同日から2年間、現行のサトウキビ・砂糖法を適用しないことで、実質的な価格自由化への即時移行を発表した
(注3)。また、国内供給向けの砂糖の販売割当に関する規定も併せて廃止された。OCSBによると、価格自由化へ移行後、砂糖卸売価格は1キログラム当たり17〜18バーツ(60〜63円〈2018年2月末日TTS:1バーツ=3.5円〉)に下落しており、国際砂糖価格も低水準にあることから、2018/19年度のサトウキビ取引価格は、1トン当たり700バーツ(2450円)程度まで下落すると見込まれている。
関係者によると、改正後の政策の完全施行は、2018/19年度まで持ち越される可能性もある。現地報道によると、一部のサトウキビ生産者組合が、改正案におけるサトウキビ副産物の定義などに異議を唱えており、代替案を国民立法議会に提出する準備を進めているという。
(注1)タイ政府は2016年4月初旬、国際砂糖価格の低迷時などに製糖企業を通じて生産者に支払われる補てん金や、砂糖の販売割当および国内砂糖価格の設定は、間接的な輸出補助金に当たりWTO協定に違反しているとして、ブラジル政府からWTOに提訴された。これを受け、タイ政府は同年11月3日、ブラジルとの2国間協議の場に、同年10月中旬に閣議承認された砂糖政策の改革案を提出した。その後、改革案は、公聴会を実施してから再提出するよう、サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)へ差し戻された。OCSBはその後、公聴会を実施し所要の見直しを行った後、再度改革案を閣議へ提出し、2017年12月上旬に承認された。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当に基づき管理されている。
(注3)現地情報によると、国内砂糖価格については、商務省が法改正後も引き続き監視する予定である。商務省は毎月、参照価格を公表することで、今後も小売価格が参照価格を下回るよう促すものとみられる。