前述の情報・自動化技術について、低コスト化や使いやすさの改善などにより今後一層の普及が期待される。また、衛星画像や気象情報、土壌や収量などの情報の融合した栽培支援技術についても発展が期待されている。これらの技術による省力化面での貢献が期待できる一方で、地域としては、人口減少の進む中でいかに現在の生産を維持、そして地域社会を維持するかが重要であり、高性能農業機械を基軸とした生産体制の再構築が注目されている。
農林水産省の委託プロジェクト(革新的技術開発・緊急展開事業〈うち経営体強化プロジェクト〉)にて、北農研が研究代表を務める「寒地畑作を担う多様な経営体を支援する省力技術およびICTを活用した精密農業の実証」では、新たな生産システムの構築との両輪で新技術の現地実証を進めている。
例えば圃場作業効率の向上を目的に、複数の生産者の圃場をあたかも一つの圃場として管理するトランスボーダーファーミング(仮想的農地集約)
5)の現地導入では、GISや収量センサーを活用して取得した、各生産者の圃場部分の情報から適正な利益配分ができる手法が不可欠である。
その他、津別町では、ドイツ製の大型てん菜収穫機を国内の栽培に適合するよう改良して導入し(
写真2)、ロボット移植機の開発なども進める一方で、それらの高性能機械を地域で効率的に利用するための農作業支援組織を周辺地域の農作業受委託組織(コントラクター)やドイツの農作業仲介組織(マシーネンリング)などを参考に設立、運営を進めようとしている。