表1で示した通り、農業労働の高齢化と担い手不足のために、基幹的農業従事者数が確実に減少してきている。サトウキビ生産を対象に、高齢化の現状と今後の見通しを検討してみよう。
新光糖業に出荷する経営体の経営主の年齢を5歳区切りの年齢階層で把握し、それぞれの階層の経営体数を平成19年、24年、29年(19年と24年は実際に出荷した戸数で、29年は出荷前の申込数)の3カ年について確認した。そして、この3カ年の実績を基に、34年(29年の5年後)の年齢階層別戸数を予測した。例えば50〜54歳の階層については、19年の45〜49歳の戸数に対する24年の50〜54歳の戸数の倍率と、24年の45〜49歳の戸数に対する29年の50〜54歳の戸数の倍率とを求め、両者の平均値を29年の45〜49歳の戸数に乗ずることで求めた。34年の予測値も含めて年齢階層別の戸数をグラフ化したのが
図4である。
これはこれまでの推移を基に、将来継続する経営体の数を単純に予測したものである。経営継承が成功して存続した経営体もあるし、経営主が高齢化してそのままリタイヤしてしまったものもあるだろう。後者が増えていくと、経営体は急速に減少することになる。19年の経営体数は2565、24年は2349、29年は1762であった。34年は1414になると予測されたが、減少数はやや控えめであり、実際にはもっと減少するのではないかと思われる。
経営体が少なくなる中で耕作面積を維持しようとすれば、規模を拡大すると同時に雇用労働を増やさなければならない。しかし今後も人口減少が続き、遠隔地では人手不足がますます深刻になってくるであろう。農作業にピークがあっても、これからは季節労働を雇うことで対応することは難しいことが予想される。