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平成29年産てん菜の生産状況について

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最終更新日:2018年6月11日

平成29年産てん菜の生産状況について

2018年6月

北海道農政部生産振興局農産振興課

【要約】

 平成29年産てん菜は、前年から作付面積は減少したものの、好天に恵まれたことで10アール当たり収量が過去10カ年の中で最高となったことから、27年産に迫る収穫量となった。

 また、根中糖分は17%を超え、ほぼ平年並みであった前年産を上回り、産糖量は高水準になることが見込まれる。

1.最近のてん菜の作付け動向

 てん菜は、北海道の畑作経営の輪作体系を維持する上で基幹的な作物であるとともに、てん菜糖業は地域経済の維持・発展に重要な役割を担っており、平成12年以前の作付面積は7万ヘクタール前後と安定して推移していた。

 近年、生産者の高齢化や経営規模の拡大に伴う労働力不足、他作物への転換、天候不順の影響による不作などによって作付面積は減少しているため、24年以降は6万ヘクタールを下回っている(図1)。

図1 てん菜の作付面積の推移(平成15年以降)

2.29年産てん菜の生育概況

 ()(しゅ)作業は順調に行われ、出芽期はほぼ平年並みとなった。移植作業も好天に恵まれたことから全道的に順調に進み、移植は平年より1週間程度早く終わり、活着も良好であった。

 また、6月は降水量が平年を上回り日照時間が平年をやや下回ったことから、上川地域などでは湿害により生育の停滞した()(じょう)も見られたが、全体的に生育は順調に推移した。なお、病害虫については、ヨトウガの第1回、第2回の発生量はともに平年より少なめとなり、褐斑病、根腐病および西部萎黄病は平年より発生が少なく、そう根病は平年並みとなった。

表1 生育の遅速の推移(平成29年産)

3.29年産てん菜の生産状況

 平成29年産てん菜の作付面積は、前年産と比べ1251ヘクタール減少し5万8139ヘクタール、10アール当たり収量は1341キログラム増加し6710キログラム(平年比113%)、生産量は71万2000トン増加し390万1000トン(前年比122%)となった。また、平均根中糖分は17.1%と、前年産を0.8ポイント上回る糖分となった(表2図2)。

表2 地域別生産実績(平成29年産)

図2 根中糖分の推移(平成15年以降)

 品種別の作付け構成は、「カーベ2K314」(30.0%)、「パピリカ」(23.6%)、「アンジー」(19.5%)、「リボルタ」(11.7%)の順となっている(表3)。

 特に、褐斑病やそう根病の抵抗性が優れる「カーベ2K314」は前年より作付面積を大きく伸ばし、そう根病抵抗性に優れ糖量のやや多い「ライエン」が新規に作付けされるなど、近年新しく認定された優良品種への転換が進んでいる。

表3 品種別作付面積(平成29年産)

 てん菜の作付け戸数は全道的には減少傾向が続いており、平成29年は10年前の20年と比べ1969戸減少(22%減少)し、7161戸となった。また、1戸当たりの作付面積は、29年は1戸当たり8.1ヘクタールと、10年で0.9ヘクタール増加した(表4)。このような作付け規模の拡大や労働力不足などに対応するため、近年では、春の育苗・移植作業に要する労働力を大幅に削減できる直播栽培に取り組む地域が増加しており、29年の直播栽培面積は、前年より553ヘクタール増加の1万3757ヘクタール(作付面積の23.7%)となった(図3)。

表4 作付け戸数および戸当たり作付面積の推移

図3 直播栽培面積の推移

4.てん菜糖の生産状況

 北海道内の製糖工場は、3社8工場が操業しており、平成29年産原料処理量は390万1000トンで前年比122%となった。また、一部の製糖工場における操業が現在(5月18日時点)も行われており、農林水産省公表の「平成29砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回)」によれば、砂糖生産量は前年産の50万5000トンを大きく上回る65万6000トン程度になることが見込まれている。

おわりに

 平成28年は相次ぐ台風の襲来による被害が発生したが、29年は比較的好天に恵まれ生育が順調に進み、収量・糖分とも前年を大きく上回ったことから、産糖量は高水準になることが見込まれている。

 また近年、砂糖の需要が低迷する中で、てん菜・てん菜糖をめぐる情勢は大きく変化しており、輪作体系上重要な基幹作物であるてん菜は、作付けの安定化を図ることが引き続き重要となっている。

 こうしたことから、生産者団体、製糖業者、行政などの関係者が連携し、低コストで省力的な持続的生産体制の確立や新品種の導入など、安定生産に向けた取り組みを推進しているところである。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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