2017/18年度、サトウキビの減産に伴い砂糖生産量、輸出量ともに減少の見込み
2017/18砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は37万ヘクタール(前年度比1.4%増、前月予測と同水準)とわずかな増加が見込まれているものの、2017年3月に襲来したサイクロンの影響による単収の減少から、生産量は3346万トン(同8.3%減)とかなりの減少が見込まれている(
表6)。これに伴い、砂糖生産量は、457万トン(同5.1%減、前月予測と同水準)とやや減少が見込まれている。輸出量は、中国向けなどの減少に伴い368万トン(同8.2%減、前月予測比1.1%増)とかなりの減少が見込まれている。
3月上旬の洪水による被害見込み額は100万豪ドル程度
豪州農業資源経済科学局(ABARES)が3月6日に公表した生産予測によると、2018/19年度は、サトウキビの収穫面積が拡大し生産増が予想されることから、砂糖生産量は483万トン(前年度比2.8%増)とわずかな増加が見込まれているものの、輸出量は386万トン(同0.5%増)にとどまると見込まれている。
しかし、クイーンズランド州北部では3月上旬、数日間降り続いた豪雨の影響で大規模な洪水が発生し、サトウキビの生産地帯では
圃場が冠水し、サトウキビを工場に輸送するための鉄道網が寸断するなどの甚大な被害を受けた。現地報道によると、これによる被害額は100万豪ドル(8500万円)程度と見込まれている。被害が大きかったケアンズからタウンズビルにかけての地域では、サトウキビが倒伏したり、長時間水に浸かったりしたため今期の減産が予想される一方、近年干ばつ傾向で推移していたことから、今回の雨をむしろ前向きに捉え、乾いた土壌に十分な水を行き渡らせる効果があったとする声もある。
世界砂糖連盟、インドとパキスタンが実施する輸出支援策を非難
豪州に事務局を置く世界砂糖連盟(Global Sugar Alliance)
(注1)は5月上旬、声明を発表し、インドとパキスタンの両政府が実施する砂糖の輸出支援策
(注2)に対し、「長期的には自国の砂糖産業の持続的な生産や成長を阻害することになる」と警告するとともに、「世界的な供給過剰を引き起こす要因となっている」と非難し、WTOのルールを順守するよう求めた。
(注1)豪州、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、グアテマラ、南アフリカ、タイの製糖業者が加盟する連合組織。砂糖の貿易自由化の推進、世界の砂糖取引環境の改善などを行っている。
(注2)インド政府は2018年3月、製糖業者に200万トンの最低輸出義務を課し、5月には生産者に補助金を交付する計画を公表した。パキスタン政府は、砂糖の国内供給量を調整するため、2018年1月から輸出補助金の対象数量を50万トンから200万トンに引き上げた。