今回の取り組みは、NEDOの国際実証事業として月島機械株式会社とJFEエンジニアリング株式会社の2社に委託して実施した。事業期間は2012〜16年度の5カ年、事業前半は日本国内でのプラント設計、主要機器製作を行い、NEDOとタイ工業省サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB:The Office of the cane and sugar Board)との間で2015年に締結した基本協定(MOU)に基づき、タイ王国サラブリ県にあるThai Roong Ruang Energy(TRE)社内にバイオエタノール製造設備を建設した。TRE社は九つの製糖工場を持つThai Roong Ruang(TRR)グループ傘下のバイオエタノール製造会社である。
実証プラントの規模は、バガスの年間処理能力が1300トン、バイオエタノールの生産規模は年間100キロリットルとして設計した。プラントは水熱前処理設備、酵素生産設備、糖化・発酵設備および蒸留設備(もろみ塔)などから成り、プラント建設から実証運転費用を含む事業費用は総額約12億円であった
3)。
プラントは2015年8月に
竣工、その後約1年半にわたる実証運転を行った。実証運転の目的として、原料バガスの季節変動の把握▽前処理バガスの無菌搬送▽前処理方法の選定▽パイロット規模でのオンサイト酵素生産技術の確立▽オンサイト酵素のコスト評価▽50立方メートル規模でのエタノール生産の実証▽もろみ塔の運転ーなどの課題について検証を行った。現在は実証運転を終了し、事業の目的を達成した2017年2月末に、NEDOからOCSBへプラント譲渡が行われた。以下、今回の実証実験に供したバガスおよび実証プラントの写真を紹介す る
4)(
写真1、
写真2)。