2017/18年度、砂糖生産量は大幅増、輸出量もかなり増加の見込み
2017/18砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ生産については、収穫面積は483万ヘクタール(前年度比11.7%増)とかなりの増加が見込まれる上、生産量は、十分な降雨を得られたことで、3億9272万トン(同28.3%増)と大幅な増加が見込まれている(
表3)。
砂糖生産量は、サトウキビ生産の増加を受け、3429万トン(同56.9%増)と大幅に増加すると見込まれている。砂糖輸出量は、前月予測からは25%近く大幅に下方修正されたものの、生産量の増加に伴う在庫の積み上がりを背景に、254万トン(同13.9%増)とかなりの増加が見込まれている。
砂糖300万トンの調整保管を実施
インド政府は5月22日、国内砂糖供給のダブつきを抑制するために、300万トンの砂糖(年間生産量の1割程度に相当)を1年間保管すると発表し、調整保管が行われることとなった。実施に当たっては、製糖業者が保管に要した経費を政府が補助するとしており、121億5000万ルピー(215億550万円)の予算措置を行う見込みである。
これまでインド政府は、国内砂糖価格の下落を防ぐために、サトウキビ出荷量1トン当たり55ルピー(97円)の補助金の直接交付や、砂糖の最低販売価格の設定などを行ってきた。この他にも、需給の引き締めを図るために輸出関税を撤廃したりするなど、さまざまな対応策を矢継ぎ早に打ち出してきたものの、期待する効果が得られなかったことから、今回、調整保管の実施に至ったとみられる。
また、詳細については言及されていないが、政府は今後、製糖企業の利払いの肩代わりや、負債償還期限の延長により、製糖企業の経営を支えるとともに、バガス、糖蜜などの副産物やエタノールに対する付加価値税(消費税に相当)を減税して需要喚起を図るなど、砂糖需給の引き締めを図るべくさらなる対策を打ち出すとしている。
中国への砂糖輸出に活路
6月1日付けの現地報道によると、インド製糖協会(ISMA)は、中国の製糖企業25社と、インドから中国へ向けた砂糖輸出の可能性について協議したとみられる。現在、中国が設定している砂糖輸入関税について、ISMAは削減の可能性を言及している。
この協議の1週間前に、両国首脳は非公式に会談しており、インド政府は、700万トン近い砂糖の余剰在庫のうち、150万トン余りを中国向けに輸出したいという意向を伝えたとみられる。
砂糖相場の下落、製糖業者に打撃
サトウキビの主要な産地であるウッタルプラデシュ州では、記録的な増産により、砂糖価格が下落し、製糖業者の一部では、生産者へのサトウキビ代金の支払が滞るなど、経営への影響が見られている。現地報道によると、このまま砂糖価格の低迷が続けば、次年度の操業が困難になることから、契約するサトウキビ生産者に対し、次年度の作付けを減らすよう指示を出している製糖業者もあるという。
また、国内の銀行各社は、このまま砂糖価格の低迷が続き、製糖業者の業績に改善が見られなければ、運転資金の融資を停止するとしており、製糖業者や生産者にとって予断を許さない状況となっている。