一方、DMI剤の耐性菌は当初感受性低下菌として報告された(
表1)。薬剤の効果が全く認められないレベルではないものの、薬剤濃度に対する感受性レベルは上昇していた。その対策として、作用機作の異なる薬剤とのローテーションを推奨していた。しかし、近年、試験データより薬剤の残効期間が短くなっていることが明らかとなり、29年に分離菌の圃場接種で薬剤試験を実施したところ、防除効果が全く認められない菌株が明らかとなった (
表3)。これは、低感受性菌のレベルではなく、明らかに耐性菌と呼べる結果であった。道内から分離した310菌株について耐性菌と判断された菌株はジフェノコナゾールに対して69.7%、フェンブコナゾールでは41.3%、テトラコナゾールでは65.5%、テブコナゾールでは64.8%と高く、かつ、北海道の各地から分離されていることが明らかとなっ た
2)。
さらに同一菌株を用いて、カスガマイシンに対する感受性も調査したところ、耐性菌の割合は約55%に達していた
3)。築尾ら(1984)は褐斑病菌のカスガマイシン耐性菌を初めて報告したが、その発生割合は0.2%とごくわずかの発生であった。しかし、近年の菌株では半分以上が耐性菌であり、実際の防除効果は期待できないと考えられる(
表4)。