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4. 日本の主要輸入先国の動向(2018年7月時点予測)

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最終更新日:2018年8月10日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2018年7月時点予測)

2018年8月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであったが、2017年の主要輸入先国ごとの割合は、豪州が69.5%(前年比17.3ポイント増)、タイが25.0%(同22.7ポイント減)と、この2カ国で9割以上を占めている(財務省「貿易統計」)。

 豪州およびタイについては毎月の報告、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回は南アフリカを報告する。 

豪州

2017/18年度、サトウキビの減産に伴い、砂糖生産量、輸出量ともに減少の見込み
 2017/18砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、38万ヘクタール(前年度比2.4%増)とわずかな増加が見込まれている。一方、生産量は、2017年3月に上陸したサイクロンにより、少なくとも1300ヘクタール、サトウキビ生産量に換算して50万トン程度の被害を受けたことや、前年度が記録的な高収量であったことなどから、3350万トン(同8.2%減)とかなりの減少が見込まれている(表6)。これに伴い、砂糖生産量は448万トン(同7.0%減)とかなりの減少が見込まれている。輸出量についても、主要輸出先国である中国が追加関税措置を実施していることなどが影響して、359万トン(同10.5%減)とかなりの減少が見込まれている。

6月から本格的な収穫作業が始まる
 オーストラリア砂糖生産工場連絡会(Australian Sugar Milling Council)(注1)によると、6月から始まったサトウキビの収穫作業は前年度より早いペースで進み、7月中旬までに製糖工場で圧搾されたサトウキビの量が666万3042トン(前年同期比18.1%増)に達した。これは、2018/19砂糖年度に見込まれているサトウキビ生産量(3338万1000トン)の5分の1がすでに処理されたことになる。また、同時点のCCS(可製糖率:サトウキビのショ糖含有率)も、12.7%(同0.9ポイント増)と前年度よりも高い値で推移している。クイーンズランド州北部では2018年3月上旬、数日間降り続いた豪雨の影響で大規模な洪水が発生し、サトウキビの生産地帯が冠水するなどの被害を受けたことから品質低下が懸念されたが、今のところその影響はほとんどみられない。

(注1)豪州の製糖業者が加盟する団体。

世界砂糖連盟、国際相場の低迷を受け意見交換
 世界砂糖連盟(Global Sugar Alliance)(注2)は7月、スイスのジュネーブで会合を開き、低迷する国際相場への対応について意見交換を行った。同連盟の会長を務める豪州のグレッグ・ビーセル氏は「政府の支援を受け輸出されているインドやパキスタンの砂糖(注3)は、低迷する国際相場にとって大きな脅威となっている。現在の価格は、われわれのような効率的な生産を行う国でさえ採算が取れない水準になっている」と述べ、各国政府と緊密に連携してインドとパキスタンの両国に対しWTO規則を順守するよう求めていく方針だと語った。

(注2)豪州、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、グアテマラ、南アフリカ、タイの製糖業者が加盟する組織。砂糖の貿易自由化の推進、世界の砂糖取引環境の改善などに取り組んでいる。
(注3)インド政府は2018年3月、製糖業者に200万トンの最低輸出義務を課し、5月には生産者に補助金を交付する計画を公表した。パキスタン政府は、砂糖の国内供給量を調整するため、2018年1月から輸出補助金の対象数量を50万トンから200万トンに引き上げた。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2017/18年度、砂糖生産量、輸出量ともに大幅増の見込み
 2017/18砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、キャッサバなどの他作物からの転作を受け、171万ヘクタール(前年度比8.2%増)とかなりの増加が見込まれている。生産量は、2年連続で続いた干ばつからの回復による単収の増加などを受け、1億3493万トン(同45.2%増)と大幅な増加が見込まれている(表7)。砂糖生産量は、好天による製糖歩留まりの向上もあり、1559万トン(同46.3%増)と大幅な増加が見込まれている。輸出量については、急激な増産をすべて吸収できる国内需要がないことから、1042万トン(同40.9%増)と大幅な増加が見込まれている。

政府、TPP11協定参加への意向を改めて表明
 日本とタイの両政府は7月18日、菅義偉官房長官やタイのソムキット・チャトゥシーピタク副首相らによる第4回ハイレベル合同委員会を東京で開催した。委員会終了後、タイ政府はTPP11協定への参加の意向を改めて表明するとともに、日本政府はタイが参加するために必要な支援を行うことを約束する旨の共同声明を発表した。また、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国に日本、韓国、中国、インド、豪州、ニュージーランドの6カ国を加えた東アジア地域包括的経済連携(RCEP)についても、高い水準の貿易自由化と、質の高いルールの整備を実現する協定をできるだけ早く妥結できるよう、両国が緊密に協力していくことを確認した。

表7 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

南アフリカ

2017/18年度、砂糖生産量、輸出量ともに大幅増の見込み
 2017/18砂糖年度(4月〜翌3月)は、サトウキビ収穫面積は28万ヘクタール(前年度比10.0%増)、生産量は1886万トン(同25.1%増)と深刻な干ばつの影響により大きく落ち込んだ前年度をかなり上回ると見込まれている(表8)。このため、砂糖生産量は215万トン(同25.4%増)、輸出量は80万トン(同3.6倍)と、ともに大幅な増加が見込まれている。

砂糖の輸入関税、徴収漏れが判明
 現地報道によると、2017年4月から9月までに輸入された砂糖について、本来適用すべき税率よりも低い税率が適用され、そのうち数週間は無税で通関されていたことが判明した。政府は、具体的な金額を公表していないものの、貿易統計などから試算すると、数億南アフリカ・ランド(1南アフリカ・ランド=約8円)を超える額が徴収されなかったとみられる。

 政府は「行政手続き上のミス」と釈明したものの、事態は沈静化せず、6月下旬に納得できない生産者や製糖関係者らによる大規模な抗議デモが発生した。さらに、2018年4月から糖類を含む飲料に課税を開始したことで、国内の砂糖産業は苦戦を強いられていることもあり、今回の件に端を発して政府や政策への不満が表面化しつつある。

表8 南アフリカの砂糖需給の推移

(参考) 南アフリカの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

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