2018/19年度、砂糖生産量は増加見通しも、在庫増が課題
2018/19砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ生産については、収穫面積は512万ヘクタール(前年度比6.1%増)とかなりの程度の増加が見込まれている。生産量は、主要生産州で潤沢な降雨を得られる見通しであるものの、4億443万トン(同2.8%増)と、面積の増加に比して増加はわずかなものと見込まれている(
表3)。
砂糖生産量は、サトウキビの増産を受け、3558万トン(同2.5%増)とわずかな増加が見込まれている。砂糖輸出量は、386万トン(同64.6%増)と、積み上がった在庫を輸出増によって処理する政府の方針もあり(後述)、大幅な増加が見込まれている。
供給過剰の砂糖、輸出先を模索
インド政府は、生産増加によって緩慢になった国内需給に対し、輸出増によって需給の引き締めを図ろうとしている。
現地報道によると、インド政府は現在、バングラデシュ、マレーシア、インドネシア、中国の4カ国に対し、同国産砂糖のさらなる市場開放を求めたとされる。このうち、バングラデシュは、距離的な近接性を生かし、10〜12月にかけて220万トンの砂糖を輸入する意向を伝えており、マレーシアも同様に、同国からの輸入を前向きに検討しているとされる。
一方、世界でも有数の砂糖輸入国であるインドネシアとの交渉については、インドネシア側が、インドが一方的に輸入関税を引き上げたパーム油関連製品の関税引き下げが先であるとして譲らず、難航している。中国についても、潜在的に150万〜200万トンの輸入需要があるものの、輸入枠の数量上限が厳しく、市場開拓は容易ではないとしている。
インド産の砂糖は、政府が定めるサトウキビ買取価格の水準が高いこともあり、生産コストが高く、国際市場における価格競争力が低いとされている。現地報道によると、2017/18年度の期末在庫が1000万トン超に積み上がる中、2018/19年度は、生産量も3500万トンに上ると見込まれている。このため、国内消費が前年度並みの水準で推移した場合、前年度を大幅に上回る期末在庫が生じることから、需給の引き締めが急務となっている。
政府、サトウキビ圧搾汁からのエタノール生産を認可へ
インド政府は7月27日、製糖業者に対し、糖蜜やバガス(サトウキビの搾りかす)といった副産物からの製造しか認めていなかったエタノールについて、サトウキビの圧搾汁からの直接生産を認めると発表した。また、政府は、エタノールの最低買取価格の引き上げを併せて発表し、2018年12月以降、副産物由来のエタノールについては1リットル当たり43.70インド・ルピー(78円)、圧搾汁から生産されたエタノールについては同47.49インド・ルピー(85円)となる。
インド政府は、ガソリンへのエタノール混合率10%を目指していることもあり、同国におけるエタノール生産は、近年急速に増加しているものの、それでも需要に供給が追い付かず、混合率は4%程度にとどまっているとされる。
現地報道によると、今回の制度変更によって、サトウキビからのエタノール生産の拡大が進めば、結果的に砂糖需給の引き締めも期待できるとしている。