ホーム > 砂糖 > 海外現地調査報告 > ブラジルのサトウキビ・砂糖の生産見通し
最終更新日:2018年10月10日
コラム1 本格化する第2世代バイオエタノールの生産Raízen(ハイゼン)社は、2010年に石油元売会社シェルグループとブラジルの製糖大手Cosan(コサン)社が共同出資して設立した合弁企業で、売上高が2兆円を超える製糖業者である。同社は、年間約7300万トンのサトウキビを生産・収穫し、26の製糖工場で約430万トンの砂糖を生産する。
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コラム2 付加価値のある砂糖南米はオーガニックシュガー(注)の生産が盛んで、世界の生産量の過半を占め、中でもブラジルは世界最大の生産地である(コラム2-図1)。同国の生産量はおおむね増加傾向で推移しており、2017/18年度はおよそ22万トンと推定される(コラム2-図2)。国際価格の低迷や健康志向の高まりなどの影響で輸出・国内需要ともに苦戦が続くコモディティとしての砂糖と対照的に好調な伸びを示していると言える。(注)「オーガニック」または「有機」と表示できる砂糖は、各国の認証基準に多少の違いがあるものの、共通するのは、原料となるサトウキビが有機栽培であることはもちろんのこと、化学的に合成された添加物や薬剤を使用せず加工・精製したものを指す。
背景には、世界的なオーガニック食品に対するニーズの高まりがある。独立行政法人日本貿易振興機構の調べによると、食の安全性や環境問題などへの意識・関心の高まりを受け、農産物だけでなく調味料や菓子類、飲料などの加工食品にもオーガニックを求める消費者が増え、世界のオーガニック市場は数兆円規模に達した。こうした状況を反映し、オーガニックシュガーは、海外の食品メーカーからの引き合いが強く、ブラジルでの生産量の約9割が輸出に仕向けられている(コラム2-図3)。
ブラジルは、300を超える製糖工場がある中、オーガニックシュガーを生産する工場は手工業的なものを含めても数カ所に限られる。PLANETA VERDE(プラネタ・ヴェルデ)社はその数少ない製糖業者の一つで、サンパウロ州内陸部の多様な野生生物が生息する自然豊かな地帯に工場を構え、30年以上にわたり操業を続けている。
コラム2-図4は、製造工程を大まかに示したものである。製造ラインは、異物混入を防ぐ対策として、圧搾から充てん・包装までの各工程を無人で連続的に行うシステムが構築されている。加えて、日本向け輸出に特別な対応を図っている。二次濃縮工程と結晶化工程の間に、加熱によって褐色に着色するメイラード反応を促進させるための設備(再加熱工程)が設置されており、これを通過したオーガニックシュガーは暗褐色を呈する(コラム2-写真2)。日本の黒糖により近い色合いを出すことが目的で、同社従来品と比べ風味や味に違いはない。
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▼ ハーベスタで収穫可能な区画について2014年までに、それ以外の区画は2017年までに焼き畑による収穫を禁止する。 ▼ 生産者および製糖業者は、上記の期限前に焼き畑を実施する場合、州政府の許可を得なければならない。 ▼ 生産者および製糖業者は、水源の確保、生物多様性の確保、土壌浸食の防止、CO2の排出を削減するための具体的な行動計画を策定し、これを実施するよう努めなければならない。 ▼ 州政府は、生産者および製糖業者の行動計画に基づく取り組みに関し、特に優れていると認められる者に対し、認定書を交付する。 |